突如現れたHIPHOPグループ、謎に包まれた4人組=oops cool J-POPへの憧れと等身大の歌

「基本的に悪ふざけしていきたい」――現代に甦らせる“ユルさ”が反映された楽曲
――これまでに3曲リリースしていますが、「Too busy work」はどんなテーマで書いたんですか?
Jariboy:僕らの同世代は、社会人になってある程度仕事に慣れてきた年代で、毎日同じことの繰り返しで疲れてくる人も出てくると思うんです。僕らも音楽活動を始めるまでは「ずっとこの仕事か……」と思ったりして疲れもあったんですけど、oops coolの活動を始めてみたら「毎日をこんなに楽しめるんだ!」っていう気づきがあったんですよね。なので、同世代の社会人に向けた応援歌というか、エールを届けられたらなと思って作りました。
――「青春GAMEOVER」はどんな気持ちを書いたんですか?
NiseChi:自分たちは学生時代にコロナ禍の影響を受けた世代で、サイファーも2メートルくらい距離をあけてやってたんですよ(笑)。そうやって物理的な距離も心の距離もあけて過ごしていたから、「本当はもっと楽しいことができたのに」っていう思いがあって。今は社会人になって音楽をやれているから、どうせなら今までの鬱憤やストレスを表現できたらっていうところから作った曲です。青春を取り戻す、みたいな。
――“取り戻す”なのに、タイトルに「GAMEOVER」と入れた理由は?
Peppu:青春と呼ばれる時間は一旦終わったという意味合いですね。一旦青春は終わっているんですけど、でもそこからどうするか。そういう歌なんです。社会人なので青春とは呼びませんけど、「ストレスを抱えたまま頑張って仕事を続けるのか?」っていう自分たちの葛藤を描きたくて。
――願わくは「青春CONTINUE」なんですか?
Peppu:そうですね。みんなそうだと思うんですよ。社会人になっても遊びたいし、仕事がイヤっていうわけじゃないけど、仕事をしながら自分の好きなこともやりたい。その両立を叶えたいという気持ちが根底にあって、そのフラストレーションを発散するために作った曲です。
――リリックに〈黒が白に変わる予定帳〉というフレーズが出てきます。これはどんなことを表現しているんですか?
Peppu:僕らは大学生活の後半でコロナ禍にぶち当たって、その時期は予定が全部飛んだんですよ。自分はスケジュール帳に日記のようなものをつけていたんですけど、真っ白になっちゃって。何をするにもできません、みたいな。大学1、2年生でほとんど単位を取ってたんですよ。で、3、4年生で遊ぶぞと思っていたらコロナ禍で、卒業旅行も行けなかったですし。そういうことに対するフラストレーションですね。「やり返してやる!」みたいな。
――3rdシングル「スキャンダラス」のテーマは?
Peppu:生きていて隠したいことや知られたくないことってあるじゃないですか。ちっちゃいことだけど、中学生の頃って彼女がいることを友達に知られたくない時期があったりして。そういうのがバレた時とか、親にエロサイトを観てるのがバレた時とか(笑)、あの緊迫感みたいなものを曲にしたいなって。隠し事のひとつやふたつはみんな持ってるからこそ、そういう時も寛大に、いちいち目くじら立てる必要もないよなっていう歌です。
――「自分らしくあれ」とか「好きなことをやろうよ」っていうメッセージも込めているんですか?
Peppu:そうです。ありのままでありたいというか、むしろ隠すのは恥ずかしいよね、って。恥ずかしいと思う気持ちもわかるし、隠したい時があるのもわかる。そういう人間のアンバランスな部分を認めてほしいというか、要は僕らのハードルを下げたくて作った曲です(笑)。
――あははは。今後のための予防線を張っておこうと(笑)。
Peppu:そうです。予防線はあればあるほど、いろいろ逃げ切れる(笑)。
――リリックで世の中を風刺したり、皮肉りたい気持ちはありますか?
Peppu:皮肉というほどじゃないですけど、世論とのズレを感じることはたまにありますね。「そんなのどうでもいいよ」みたいなニュースとか、そういう部分のズレ。たとえば、重んじるマナーのひとつとして、目上の人に「了解です」を使っちゃダメっていうじゃないですか。でも、「いや、いいだろ」って思うんです。重んじるべきは僕に尊敬する気持ちがあるかどうかだから。敬意を持って「了解です」とちゃんと目を見て言ってるんだから。でも、それでもよくないって言われることがあるんですよ。もちろん礼節をわきまえなきゃいけないことはわかってるけど、そういうズレに対しては、もう少しユルくてもいいんじゃないかなと思うところがありますね。
――堅苦しい世のなかで飄々とありたい、みたいな。
Peppu:そうです。基本的に悪ふざけしていきたいなと思っているので。プロモーションするにしてもマジメになりすぎるのがいちばん好きじゃないかもしれないです。
――そういう姿勢も含めてoops coolには、2000年代初頭の日本にあった明るくて楽観的な空気を感じます。グループでいえば、RIP SLYMEとかケツメイシとか。飄々とした感じ、抜け感を現代にやりたいのかなと思ったんです。
Peppu:まさしく、そんなイメージです。彼らのような音楽をたくさん聴きたいと思っているけど、現状、新しいモノがそこまであるように感じないというか。だからこそ、そういうものを聴きたいと僕ら自身が思っていて、そこに夢や憧れを持ったんだと思います。
「BAD HOPにはなれない」という自覚、J-POPとして浸透していく音楽

――Peppuさんは、今の日本語ラップシーンをどう見ていますか?
Peppu:10年くらい前に唾奇さんとか、同世代だとLeon FanourakisとかSANTAWORLDVIEWとか、そういう方たちがガツンと出てきた時代のラップは好きで聴いてたんです。その後、新しいラッパーが次々出てきて、この数年は回転が速い。いろんなタイプのラッパーがいるけどみんなかっこいいですし、それぞれ個性的なバックボーンもあって、それぞれが「主人公だなあ」って思うんです。だけど、自分は主人公とは違う生き方をしてきたし、HIPHOP的な「ゲットーの生まれで……」みたいなものとは無縁なんですよ。
――要は、BAD HOPにはなれませんと。
Peppu:そうです。かっこいいなと思うけど、なれない。僕たちが頑張って悪ぶっても、せいぜいピンポンダッシュくらいだと思うんです。だからこそ、作る曲は等身大の自分でありたい。自分たちが好きでこれまで聴いていたラップミュージックは、いわゆるHIPHOPな人たちがやってたんですけど、彼らの音楽はJ-POPとして浸透していったじゃないですか。そういう音楽を僕たちはやりたいと思ってます。
――デビューしてまだ半年ですが、今後はどんなことをしていきたいと考えていますか?
Peppu:まずは初ライブをしたいですね。
――覆面問題はどうします?
Peppu:これ、どうしたらいいんですか?
――逆質問(笑)! でも、たしかに口元が開いているマスクでもないですしね。まずはマスクの口を開けるところから始めますか?
Peppu:そうなんですよね。ライブのためにそういうものを手配しなければいけない。
――素材がニット系だから暑さ対策もしないと。
Peppu:本当にそう。「Too busy work」のMV撮影は真夏にしたんですけど、もう絶望しかなかった(笑)。
WANTAI:撮影の後半は、もう熱中症みたいな。みんなふわふわしてました(笑)。
――Adoのようにシルエットでやる方法もありますよ。
Peppu:ですよね。でも、僕らは欲があって。やっぱりちょっと出たいっていう(笑)。
Jariboy:それはあるね。「顔なんて出してもいいけど?」くらいの気持ちでいるんですけど(笑)。でも、なんせ世間が許してくれないもんで。
NiseChi:世間じゃなくて会社がね(笑)。
Peppu:でも、マジメな話、何か対策を考えて今年中には初ライブをやりたいなと思います。ライブ用のマスクを作るのか、あるいはとにかく隠すのか(笑)。
NiseChi:自分たちの好きな音楽を作っているから、自分たちが好きな音楽を好きな人たちとライブで一緒に盛り上がりたいですね。
――ライブ以外の目標は?
WANTAI:僕は同僚に「お前、このグループ知ってる?」って言われるまでは、この活動を頑張りたいと思います(笑)。それまでは、「これ、俺だよ」って言うのは我慢。一度スマホケースにoops coolのステッカーを入れようかと思ったことがあるんですけど、我慢してます。
Jariboy:同級生なんで、oops coolの活動を理由にいろんなところに旅行みたいなノリで行きたいですね。
――それを世間ではライブツアーと言うんですが(笑)。
Jariboy:oops coolの活動にかこつけて、『FIFA ワールドカップ』を観に行きたいんですよ(笑)。僕ら全員サッカー部だったので、サッカーに関わる曲とか仕事とかもしたいし。それはみんな共通の目標だと思います。
Peppu:僕は出たがりなのでテレビにも出たいです。憧れがあるんですよ、テレビで観る人たちに。
――インタビューで名前が挙がったグループは、『Mステ』(『ミュージックステーション』)とかに出てる人たちですしね。
Peppu:そうなんですよ。かっこいいじゃないですか。
――じゃあ、めざせ『Mステ』! めざせ『CDTV ライブ! ライブ!』!
Peppu:それが叶えば僕たちは大満足です。
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