2025.04.14 18:00

MUCCが1990年代から2025年へと繋いだ音楽　YUKKEが語る、アルバム『1997』に刻まれるバンドの物語

28年というバンドの歴史があったから作れたアルバム

――お話を伺っていると、レコーディングもスムーズだったのかと思いますが。

YUKKE：うん。でも、16曲を録るタイムスケジュールでは到底なかったんですけど（笑）。無事に間に合って録れたので、スムーズだったと思いますよ。

――年末に逹瑯さんにお話を伺う機会があったんですが、彼はソロアルバムを作り、有村竜太朗さんとのイベントをやり、それと並行してMUCCのレコーディングをしていたようで。スムーズだったとはいえ大変さもあったのでは。

YUKKE：年末からお正月あたりで歌を録りきらなきゃというスケジュールだったので、逹瑯は「YUKKEももう一曲ぐらい歌詞書けよ」とお客さんの前で言ったりするんですよ（笑）。最初は一曲だと思ってたんです、「△（トライアングル）」だけかと。そうしたら、どんどん具体的になっていって。僕、自分の曲以外、メンバーの曲に歌詞を書いたことないんですよ。でも、今回は挑戦してみようかなと思って。結果やってよかったなと思ったので、逹瑯に「ありがとう」って言いました。

――「LIP STICK」はそんな経緯で作詞されたんですね。ほかの方の曲に歌詞をつけるのはどうでしたか。

YUKKE：もちろんプレッシャーはあって。ほかのバンドでも、普段はあまり歌詞を書かないメンバーが書くと、「いつも書いてる人が書いたら、この曲はどうなっていたんだろう？」と思っちゃう時もあるじゃないですか。そう思わせたくない気持ちもありました。僕が書いてもちゃんと“MUCCの曲”として成立させたいというのは、いつも以上にありましたね。曲の雰囲気とか曲調がこういうものだから、そこに合う、曲が呼んでいる言葉選びもできた気がします。80年代、90年代が両方入ってる曲だと思うので、その時代感の棲み分けもパートごとに違う気がしていて。80年代で始まるけどサビは90年代、とか。その行き来感をどう出そうか、自分なりに考えていました。この手のタイプの曲に詞を乗せたことがなかったけど、Aメロとかはよく書けたなと思った（笑）。自分で書いた歌詞に初めて僕自身ドキッとした瞬間があって、少しアダルトに書けたんじゃないかな。

――それはすごいですね。どのあたりにドキッとされたんですか。

YUKKE：言いたくない（笑）。でも、〈君の夢を見ない〉というところが書けた時に、これが書けたからそのあとも歌詞が続いた気がした。サビから書き出す人もいると思うんですけど、僕は上から埋めていきたくて。

――いいフレーズですよね。逹瑯さんのアドバイスで新たな作詞のチャレンジをすることになったのは、逹瑯さんがYUKKEさんの新しい一面を引き出そうという思いがあったのかも。

YUKKE：そういう思いがあったのか、単純に「もう一曲書いて」という自分の時間との戦いがあったのか、わからないけど、結果いい方向にいきましたよね。いい経験ができたな、って。またやってみたいですね。

――『1997』は、「Daydream」をプロローグ、「Daydream Believer」がエピローグという構成なのもコンセプチュアルな作品らしいです。完成させての手応えはいかがですか。

YUKKE：インストは、ミヤがマスタリング直前まで作ってくれてました。たぶん、これがSEになってライヴが始まっていくでしょうね。16曲入りですごいボリュームですけど、すごく楽しめるアルバムだなと思っていて。幅広い人に聴いてもらいたい作品だし、MUCCの歴史からすると――毎回そうですけど――いちばんいいのができたなと思ってます。ここまでコンセプトを持たせてフルアルバムを作ったのは初めてで、28年というバンドの歴史があったから作れたアルバムだと思います。

――1997年は、日本でいちばんCDが売れた年だそうです。安室奈美恵さんやGLAYなどが大ヒットして、洋楽でもTHE OFFSPRINGやOasis、Radioheadなどもヒットして。

YUKKE：ああ、そうかあ。そういう時代に多感な時を過ごしていたんですね、僕たちは。そういう時代を知ってる人に、MUCCの曲として聴いてもらえるのも楽しみだし、最近の若い世代に聴いてもらってどう感じるかというのも興味があるし、幅広い年齢の人に楽しんでもらいたいなとすごく思っていますね。

――1997年のYUKKEさんはどんな感じでしたか。

YUKKE：高校2年か3年で、友達と遊んだりしてたけど、その頃から音楽というものに触れて、ベースを買って。バンドを組んだことはなかったけど、将来はプロになるんだと漠然と思ってた。「YUKKE、バンドやらないの？」って友達にずっと言われながらも、3年間はバンドをやらなかった。卒業する時も漠然と東京に行くことは決めてたけど、バンドをやっていたわけでもなく、地元のヴィジュアル系界隈の仲間に片足突っ込んでるぐらいで。ヴィジュアル系も大好きでベースを弾いていたけど、普通の高校生だったと思います。MUCCのメンバーはその頃から友達で、前のベースが抜けたタイミングで誘ってくれて、入ったんです。

――最初からベースを選んだのは誰かの影響ですか。

YUKKE：友達が、6畳の部屋にライヴハウスにあるぐらいのベースアンプを置いていて、そこでBUCK-TICKを弾いてたんですよ、「密室」とか。高校1年生であの爆音を聴かされたら、そりゃあ撃ち抜かれますよね（笑）。そこからLUNA SEAとかGLAY、L'Arc〜en〜Cielも聴いていって。部屋中、天井の隙間がないぐらいポスターを貼って。インディーズショップみたいでしたよ。

――まさに青春ですね（笑）。『MUCC TOUR 2025「Daydream 1997」』も発表されていますが、アルバム収録の16曲で1ステージできそうですよね。

YUKKE：そうなんです。「ここに既存の曲を2、3曲入れると、それでセットリストになるね」って話していて。過去と向き合うツアー（『Timeless』ツアー）も最近あったので、ガラッと変わったものを見せられると思います。お客さんも楽しいんじゃないかな。

■リリース情報
17th ALBUM『1997』
発売中

配信URL：https://tjc.lnk.to/MUCC_1997

初回限定盤（CD＋Blu-ray）
・TKCA-75270／6,900円（税込）
・スリーブケース仕様＋40P特別ブックレット付

通常盤（CD）
・TKCA-75271／3,400円（税込）

＜CD収録内容＞
01. Daydream
02. 桜
03. 蜻蛉と時計
04. invader（2025 Remaster）
05. Boys be an Vicious
06. Guilty Man
07. B&W
08. October（2025 Remaster）
09. LIP STICK
10. Round & Round
11. △（トライアングル）
12. 不死鳥
13. 空っぽの未来
14. 蒼　
15. 愛の唄（2025 Remaster）
16. Daydream Believer

＜Blu-ray収録内容＞※初回限定盤のみ収録
LuV Together 2024
2024.09.16 EX THEATER ROPPONGI
01. 睡蓮
02. 娼婦
03. サイレン
04. 愛の唄
05. 1979
06. Violet
07. G. G.
08. 目眩 feat. 葉月（lynch. ）
09. ニルヴァーナ
10. 蘭鋳 feat. reiki（キズ）
11. 大嫌い feat. YUKI-Starring Raphael-, アンティック-珈琲店-, lynch. , キズ

■ツアー情報
『MUCC TOUR 2025「Daydream 1997」』
※終了した公演は割愛
2025年4月12日（土）水戸ライトハウス
OPEN 16:15／START 17:00

2025年4月13日（日）水戸ライトハウス
OPEN 13:45／START14:30

2025年4月19日（土）岡山CRAZYMAMA KINGDOM
OPEN 16:15／START 17:00

2025年4月20日（日）高松MONSTER
OPEN 16:15／START 17:00

2025年4月26日（土）KYOTO MUSE
OPEN 16:15／START 17:00

2025年4月27日（日）神戸太陽と虎
OPEN 16:15／START 17:00

2025年5月3日（土）福岡BEAT STATION
OPEN 16:15／START 17:00

2025年5月4日（日）福岡BEAT STATION
OPEN 13:45／START 14:30

2025年5月7日（水）Zepp Shinjuku
OPEN 17:00／START 18:00

2025年5月10日（土）札幌PENNY LANE24
OPEN 16:15／START 17:00

2025年5月11日（日）札幌PENNY LANE24
OPEN 13:45／START 14:30

2025年5月17日（土）仙台Rensa
OPEN 16:15／START 17:00