初音ミク生誕の地でメモリアルな歴史的瞬間が幕開け “雪ミク”も駆けつけた『初音ミクシンフォニー』札幌夜公演

『初音ミクシンフォニー』札幌公演レポ

ジャンルを自由に超えてクロスオーバーする夢の空間

 後半戦を盛り上げるのは、人気クリエイターのふわりPが2018~2019年に書き下ろし、オールキャストで話題になった「たいせつなこと」だ。弦楽器やオルガン、荘厳な響きを鳴らすトロンボーンなどの管楽器が連動する様は、各キャラクターが目の前に登場するかのような躍動感。オールキャスト=フルオーケストラで、オリジナルのリズム感とシンフォニックなアレンジの融合がここに極まる。「演奏を続ける」を意味する最終曲「プレイオン」は、10周年テーマ曲として「未来序曲」と同じMitchie Mが作曲。直江香世子がアレンジを担当した。初音ミクシンフォニーのこれまでの「歴史」を振り返り、これからの「希望」になる新たなアンセムだ。融合形態として途中、オルガニスト 石丸由佳がしめやかに演奏するパイプオルガンがJ.Sバッハ作曲「G線上のアリア」の旋律を演奏し、神々しさを演出。さらにベートーベン作曲『交響曲第9番』第4楽章で歌われる「歓喜の歌」が管弦それぞれのパートでかけ合い、その歴史と希望のイメージがポリフォニックに織り込まれる。

 アンコール1曲目は、『初音ミクシンフォニー』5周年テーマ曲「舞台」だった。演奏後、上手から登場したMC藤田が「まだ聴いてない曲ありますよね」と客席の目を引く。それはステージ中央上手寄りに置かれた10周年記念オリジナルで制作されたヴァイオリン。コンサートマスター会田莉凡が手に取る。オリジナル制作ヴァイオリンがオーケストラに加わり、アンコール2曲目「クリスタルスノウ」が演奏される。続いて「みなさん心待ちにしていた曲」とMC藤田が紹介した「Hand in Hand」がアンコール最終曲かと思いきや、熱狂の声援に応じてさらにアンコール曲「メルト」。オルガンの前奏が聴こえた途端に客席がどよめく。

【初音ミクシンフォニー2025】クリスタルスノウ【Live at 札幌コンサートホール Kitara】

 アンコール最終曲演奏後、客席はスタンディングオベーションで10周年の歴史を讃え、歓喜を叫ぶ。栗田が各楽器を紹介すると、奏者一人ひとりに客席から「おー!」と声援が送られる。この「おー!」と万雷の拍手は、鳴りやみそうになかった。電子的なボカロ曲がアコースティックな時間として脈打ち、ジャンルを自由に超えてクロスオーバーする夢の空間だった。

■ライブ情報

『初音ミクシンフォニー2025 10th Anniversary』
大阪公演チケット一般発売中(先着)
https://sp.wmg.jp/mikusymphony/sp/10th/osaka-tokyo/
指揮者栗田博文による楽曲解説コーナーあり。
※大阪公演と東京公演は一部演奏曲が異なります。

2025年4月12日(土) 
ザ・シンフォニーホール【大阪】
チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/mikusymphony-25/

ローソンチケット
https://l-tike.com/mikusymphony25/

イープラス
https://eplus.jp/mikusymphony25/

『初音ミクシンフォニー2025』
札幌、東京公演を収録した開催10周年アニバーサリーCD
 2025年10月1日(水)リリース

『Miku Symphony Live at Sapporo & Tokyo - 10th Anniversary Best -』
https://sp.wmg.jp/mikusymphony/10th/anniversary_best/

・初音ミクシンフォニー2025札幌公演(札幌コンサートホールKitara)・東京公演(サントリーホール)2公演分の全演奏曲収録
・LPサイズパッケージ仕様の超豪華初回生産限定盤

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