Novel Core「命ある限り、マイクを置くことはありません」 仲間と作ったアイデアの遊園地『BRAIN LAND』

およそ一年前、Novel Coreは初の武道館単独ライブを成功させた。今回はさらに大きいステージとなるが、「“アリーナ単独公演”というか、“アリーナ公演”だね。これだけ仲間もきてくれているし」とゲストへの感謝を滲ませたうえで、「毎年、できる限りステージを更新していきたい理由があって」と続ける。語られたのは、家族との思い出だった。小学生の時に両親が離婚したこと。ある時、「あなたはもう父親じゃないんだから」とキツく言ってしまったこと。父が還暦を迎えた際に、家族で久々に集まった遊園地で直接謝ったこと。直後に自身も誕生日を迎え、再び父と食事に行ったが、それが親子の最後の時間になってしまったこと――。突然の事故で亡くなってしまった父の財布には、遊園地のチケットの半券が大切にしまってあったという。

「俺がデカいステージに立ち続けたい理由は、天国で見ている親父に『今年も去年よりデカいところにこれたよ』『味方を増やして、いいステージで、いい景色見せてもらっているよ』『スタッフも仲間も増えて、幸せに楽しくやっているよ』って、パフォーマンスを通して伝えるためです」
そう語り、「家族のためだけに一曲歌わせてもらってもいいですか?」と前置きしたうえで、父の命日にレコーディングをしたという「EVE」を歌い上げる。ステージに照明はついていない。だが、〈俺はもう一人じゃない〉と気持ちを込めて歌う彼の姿は、客席からはっきりと見える。Novel Coreという人間を愛している人たちが掲げるスマホライトが、彼を照らしているからだ。今、彼をあたたかく見守っている人はこんなにもいる。どんなに誇らしい光景だろう。

「ライト、そのままで」と促すと、「これは俺が頑張り続けるもうひとつの理由。あなたのための歌です」と語り、今度はOUTERに寄り添うように「Right Here」を届けた。歌い終えると、目の前に広がる無数の灯りを噛みしめるように見つめながら、「ありがとう」と呟いた。
「どうかこの時間が長く続きますように」と「Hey, Rainy」「ずっと」を歌い、そこから「BYE BYE」「One, Two, Three」と、Novel Core & THE WILL RABBITS名義の楽曲が続く。「OUTERに向けて書いた曲」だという「Green Light」が始まる前、長くアレンジされたイントロで、Novel Coreは「みんなのおかげで、今日も楽しく幸せにステージで歌わせてもらってます」とあらためて感謝を告げた。「……にしても、すごい人だな!」と会場のすみずみまで手を振りながら、センターステージ、花道、メインステージと駆け回って笑みを浮かべる。一年前の武道館もそうだったが、この曲を歌う彼は心底幸せそうな、本当にいい表情をしていた。

「WAGAMAMA MONDAIJI」「I Think I Guess」で本編を締めくくり、アンコールでは「TYPHOON」「SORRY I'M A GENIUS」で自身もキレキレのダンスを披露。ここで、同公演のDVD&Blu-rayの発売決定と、EP『LOVE U + MISS U』のリリース、そして5月から行われる過去最大公演数となる全国ツアー『“BACK TO AGF” TOUR 2025』の開催が発表された。「俺はこの命ある限り、マイクを置くことはありません」と強く宣言し、聴いてくれる人が「明日も頑張ろう」と思えるような期待を作ることが、自身が歌い続ける理由だと語る。そして、以前から大切に歌い続けてきた「THANKS, ALL MY TEARS」でパレードのラストを飾ったのだった。
再び陽気な音楽が流れ出し、「本日は『BRAIN LAND』にご来場いただき、誠にありがとうございました」と、一夜限りのアミューズメントパークが閉園時刻となる旨が告げられる。アナウンスを聞きながら、過ぎ去ったパレードの余韻に浸る再びの幸せな時間。寂しさもあるが、一年後にはまた華やかなパレードが待っているかもしれない。それは、さらに盛大なものになっているのではないか――そんな予感がした。


























