櫻坂46は挑戦し続けることがアイデンティティ 「UDAGAWA GENERATION」MVで示した伝統と革新
その音楽性をより顕著に表しているのがMVである。監督は、欅坂46時代からグループに寄り添ってきた映像ディレクターの池田一真。グループの原点である「サイレントマジョリティー」を筆頭に、山下瞳月がセンターを務めた「自業自得」など、グループの節目となる楽曲を担当してきた。池田自身も公式X(旧Twitter)で「チャレンジングな撮影でメンバー、スタッフ共に試行錯誤しながら作り上げました」と語っているように、今作では初めてのワンカット撮影に挑戦している。ワンカットで撮影されているのは、森田が一人サーカス場のような空間に歩いていく冒頭から、森田がライトを消して衣装が切り替わるまでの約2分半。楽曲全体の大部分を締めるこのワンカットパートだが、お馴染みのRemi Takenouchiによるユニークで大胆なスタイリング、そして細かな動きの多いダイナミックなダンス、サーカス団らしい仕掛けなど、ファンには嬉しい要素が散りばめられている。
だが、MVの見どころは以降の後半1分半にあると思う。14人それぞれが奇抜な衣装を身にまとい、万華鏡のような色鮮やかな道化師へと変身する。全員を引きで撮った映像も圧巻だが、接写で撮影された映像のインパクトは抜群だ。すでに櫻坂46としてのある種固定されたイメージが染み付いている中で、大胆なスタイリングでこれまで想像すらできなかった世界観を作り上げた制作陣の気概には頭が下がる。
櫻坂46は今年5周年イヤーに突入した。グループの土台を作り上げてきた一期生全員の卒業があり、四期生の加入もおそらく今年中にあるだろう。まさに過渡期にある今の櫻坂46だが、安全を第一に保守に走るのではなく、常にチャレンジを続ける姿を示してくれたのが今回のシングルだ。先述したように今作は渋谷を歌にしたグループの原点回帰という意味合いもあり、そして変化していく櫻坂46も表している。櫻坂46のクリエイティビティは国内外で高く評価されてきたが、本作も例外ではない。
本作のMVは伝統を革新してきた櫻坂46だからこそできるクリエイティブの真髄だ。まずは今春発売予定の2ndアルバム、そして4月からスタートする『全国ツアー2025』が革命の一歩となる。

























