Creepy Nuts、星街すいせい、&TEAM、JENNIE、HANA、amazarashi……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はCreepy Nuts「LEGION」、星街すいせい「Orbital period」、&TEAM「Extraordinary day」、JENNIE「Love Hangover (feat. Dominic Fike)」、HANA「Drop」、amazarashi「生活の果てに音楽が鳴る」の6作品をピックアップした。(編集部)
Creepy Nuts「LEGION」
“LEGION”とは、古代ローマの軍団、軍隊を意味する。チルでドープなトラックのなかでR-指定は〈客演要らずとは俺の事/七色のフロー/七色の思考〉というラインを奏でているのだが、事実、ニューアルバム『LEGION』には客演アーティストはおらず、すべてDJ松永のビート、R-指定のリリックとラップだけで構成されている。DJ+1MCというレアな編成を突き詰め、互いの技術と発想を――“中学22年生”のノリで――ぶつけ合いながら、日本語ラップの未開の地を切り開き続けるCreepy Nuts。アルバムのタイトル曲「LEGION」は、「これが自分たちのやり方です」とあらためて提示する、究極のボースティングソング。我々はすっかり慣れて当たり前になってしまっているが、彼らがやっていることは異常だ(褒めてます)。(森)
星街すいせい「Orbital period」
3rdアルバムを携えて2月1日には念願の日本武道館公演を成功させたバーチャルアーティスト・星街すいせい。この新曲は当日ステージで初披露されたもので、作詞作曲を古川本舗が担当。ピアノとストリングスに彩られた王道バラード、歌い出しは〈ねぇ、本当は今もまだ、震えているんだよ。/どんな大きな拍手も聞こえない位。〉なので、まさに武道館ドリームのハイライトとして用意された一曲なのだろう。儚く消えてしまいそうな歌い出しから、次第に唯一無二の存在であるプライドが滲んでいくサビへの移行には、強く心を揺さぶるエモーションが宿る。〈この夜の終わり〉が〈また明日を歌う〉未来への宣言になっていくストーリー展開もなかなか美しい。(石井)
&TEAM「Extraordinary day」
『2025別府大分毎日マラソン』(TBS系)テーマソングとしての書き下ろし新曲。現代的に洗練されたポップスで、負けるなゴールを目指せと煽るスポ根ムードは皆無。〈超えてゆく 僕らは/ひとりじゃない〉と、参加ランナー一人ひとりに微笑みを手渡していくようなニュアンスを感じる。明るい曲、元気が出る曲、爽やかな曲。そのすべてに当てはまるのだが、最も特徴的なのは、疲れさせない曲であること。毒性やアクの強さはもちろん、作り手が無意識に込めてしまう熱も排除。とはいえ無味無臭ではなく、微妙に変化し続けるメロディとメンバー9人の丁寧な歌唱は、最終的にリスナーを柔らかい快感で満たしていくのだ。この“さりげなさ”はちょっとすごい。(石井)