timelesz 新メンバーオーディション最終審査 候補生とメンバーが賭けた人生と夢、そのすべて

『タイプロ』最終審査レポ

 そして、14時30分を少し過ぎた頃、最終審査はスタートした。ステージに現れた3人のメンバーは、まず深く、そして長くお辞儀をした。

 「候補生から教えてもらうことのほうが多かった気がします」(松島)、「人生を変える挑戦、人生を賭けてここにきました」(菊池)、「自分たちの運命を自分たちで変えにきました」(佐藤)。それぞれがこの日の実感を口にしていく。多くの才能と出会い、さまざまな葛藤にも触れた、約10カ月という時間。候補生はもちろんだが、審査直前に本人たちが口にしていたように、そこにはtimelesz 3人自身の変化もあった。自分の、そしてグループの運命が決まる、仲間探しの最後の旅がついに始まったのである。

 大きな拍手で迎えられ、いよいよ現れた8人の候補生たち。下手から、浜川、寺西、原、橋本、猪俣、篠塚、本多、浅井と、5次審査の順位順に並んでいる。

 ファンを初めて前にして、猪俣は「いや、もう、いや……こんにちはー!」と言葉を失うも、続けて「楽しませます、360度!」(後ろ180度はステージセットとモニターしかない)と呼びかける。通常運転である。さらに、司会に衣装のアクセサリーが多いのではないかとツッコまれた菊池は、間髪入れずに「このタイミングでアクセサリー、いるかな?」と返していた。名言や名場面を多く生んだこの旅も、まもなく終わりを迎えてしまう。

 この日、候補生たちには内緒で場内には山根航海や西山智樹、前田大輔といった、途中で別れてしまった仲間たちも駆けつけていた。1万8914人分の思いを背負っていることを、ここで8人は実感したのではないだろうか。出会いがあれば、当然別れもある。しかし、仲間であることに変わりはない。橋本は声を震わせながら「頑張るね、ありがとう!」と声を掛け、原は早くも涙を浮かべていた(ちなみに、彼は本番前から泣いていたらしい)。

 ダンストレーナー・NOSUKEとボーカルトレーナー・宮本美季もステージに登場。大きな拍手で迎えられる。5次審査で大号泣を見せたNOSUKEは、「(顔を見て話を聞く候補生たちに)こっち見ないでもらっていい? 泣きそうだわ!」「本当にアイドルの顔つきになってて……」と、早くも涙を流しそうな勢いである。続く宮本も、「泣きそう」と口にする。トレーナー陣にとっても、それだけかけがえのない時間だったのだと思う。

 最終審査の項目はふたつ。ひとつ目は、REDチームとBLUEチームに分かれて行う新曲「Rock this Party」のパフォーマンス。この曲にはtimeleszの3人も加わり、それぞれ7人編成で披露することになる。もうひとつが「RUN」。メンバーが「とても大事な曲」と呼び、きっとそれはファンにとってもそうなのであろう「RUN」を、候補生8名全員で踊るのだ。

 場内には赤い照明がサーチライトのように動き回る。スタンバイBGMは「because」。そしてやがて、本番前の円陣を組んだのであろうREDチームの大きな声が、ステージ袖から聞こえてきた。

 横長のLEDセットが中央で割れ、7人の姿が現れた。フォーメーションは、下手側から篠塚、原、松島、菊池、佐藤、本多、浅井の横一列。ステージ前方へと歩を進め、そして中央で円陣となる振りから始まった。その統一された空気は、グループとしての姿でもあった。

 原のパートからAメロはスタート。そして、彼の同期でもある佐藤にそのバトンは渡される。自然と笑みが溢れている。浅井がまとうフレッシュな空気、本多の透明な歌声、原の豊かな表情とダイナミックな身体遣い、篠塚の努力が生んだステージスキル。努力が積み重なることでしか成し得ない瞬間が、約2分半のなかにたくさんあった。そこには候補生とtimeleszのあいだで育まれた絆も当然含まれる。

 「Rock this Party」には、Sexy Zoneの始まりの日=11月16日と、timeleszの始まりの日=4月1日を意味する振り付けが含まれている。timeleszの3人が記した歌詞には〈かき集めた夢を叶えていこう〉とある。そのすべてを踊り切り、歌い切り、最後笑顔でフィニッシュしたREDチーム。そこにはピースが掲げられる。たまらなく楽しい、そんな顔だった。

『timelesz project -AUDITION-』最終審査(撮影=本 手)

 後攻はBLUEチーム。こちらも、気合いの声出しが聞こえてきた。スタートは、下手から寺西、橋本、松島、菊池、佐藤、浜川、猪俣という横一列のフォーメーションだ。同期でもある菊池と寺西。そのふたりがステージの上でともに立っているのが、なんだか夢のようでもあった。寺西は満面の笑みである。菊池は噛み締めるような表情で吠えている。

 それに、橋本は完全に殻を破っていた。スタイルのよさを活かしたしなやかな動きは、誰にでも真似できるものではない。浜川は楽曲への理解がやはり深い。〈We’re timelesz〉という歌詞の意味を我が物にしていたその姿は、なんだか誇らしかった。猪俣の所作の美しさも、ここにきてさらに磨き上げられていた。決して力任せにはせず、しかし、しっかりと決意の滲んだ、そんな素直さがあった。候補生4人の個性とtimelesz 3人の揺るがなさ。それらが合わさった、花束のような鮮やかな色がそこには生まれていた。

『timelesz project -AUDITION-』最終審査(撮影=本 手)

 ラストは候補生8人による「RUN」のパフォーマンス。佐藤、菊池、松島は、客席側に設けられた審査員席につく。〈そう 何度でも生まれ変わればいい〉〈過去 今 未来/繋げて生きていく〉――。場内に流れているのは「Birthday」。新しいスタートを祝う歌が、やさしく響いていた。

 大きなスクリーンには、練習風景を収めたVTRが流れる。「この楽曲を審査に使うということは正直リスキーでもあるし、ハードルが高いと思う」。菊池がそう言っていたが、この曲には思い入れが多い。あまりにも多い。Sexy Zoneとしてまわった最後のツアー、そのレポートで私自身「花道を全力で走りながら〈止まらないで 止まらないでよ 僕らはまだ始まったばかりさ〉と歌う彼らはとても切実だった」と書いたが、「RUN」を歌う時のSexy Zoneは、timeleszは、いつも切実だった。そして、どこまでも実直だった。それを今初めて自分たちではない、しかし自分たちの夢を賭ける候補生に託すのだ。何のために。Sexy Zoneとして見た夢をtimeleszがこれから叶えていくために、である。

 アコースティックギターが鳴って始まった「RUN」。浜川から繋がれていく8人の歌は、強かった。スキル面で言えば荒々しさはあったし、完璧にピッチが合っていたわけでは正直ない。だが、すべての想いが乗っていた。乗っかりすぎていた、と言ってもいいかもしれない。それくらい、想いが歌に宿っていた。

 篠塚は涙を流しながら歌っていた。本多と猪俣は歌いながら抱き合っていた。原と寺西は、背中合わせになって〈感じているんだろう? 感じてなきゃダメ/痛みに気づかないふりをするな〉と歌い叫んでいた。全員で〈止まらないで 止まらないでよ 僕らはまだ始まったばかりさ〉と歌っていた。そして最後、右手を突き出して横一列に並んだ8人は、今までこの歌を歌ってきた男たちによく似た顔をしていたような気がした。

 すべての審査パフォーマンスを終え、会場は拍手で満ちる。timeleszの3人がステージへと戻ってきた。佐藤はキラキラした目を何度も瞬かせる。菊池は笑顔が止まらない。松島は8人の候補生それぞれの顔を見ながら、「いろんなプレッシャーがあるなかで、『RUN』を心を込めて歌ってくれたこと、すごく感謝しています」と伝える。「幸せだった」「出会えてよかった」「8人が胸を張ってパフォーマンスできたこと、すごく貴重な時間だった」「胸を張って僕らのすべてなんだということをパフォーマンスできた」「この曲に人生を賭けた」――候補生もひとりずつ感想を述べていく。本当に、全身全霊のステージだった。

 「すべての決断を見守ってほしい」。佐藤がそう言っていたように、前を見て、全員ががむしゃらに進んできた仲間探しの旅を最後まで見届けたい。この最終審査の結果は、2月15日、Netflixの配信にて公開される。

『timelesz project -AUDITION-』最終審査(撮影=本 手)

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