jo0jiの真価、音楽シーンにおける揺るぎない“存在感”  『EIGHT-JAM』音楽プロ絶賛の背景を徹底解剖

 jo0jiの言葉はあけすけだ。彼は歌に乗せてそっと本音を差し出す。〈流行の歌には救いがない〉(「眼差し」)、〈everything all right/んなこたねぇのは知っているだろう〉(「Nukui」)、〈嘘つきほど声高さ/責任とる気は毛ほどもないから〉(「明見」)ーー大事なのは綺麗事より、自分の心に正直であること。友人に向けて書いたという「不屈に花」、亡くなった祖母をテーマにした「cuz」、父が乗る船の名前をタイトルにした「明見」など、初期の楽曲には特に身近な題材が多い。それでいて聴き手が詞に人生を重ね、思案するだけの余白があるのも魅力的だと思う。何より彼の歌声には説得力があり、口語も混じる歌詞は一層その楽曲にリアリティを与えているのである。

 それにしても「不屈に花」である。なんて綺麗な歌だろう。まずはタイトルがいい。誰にとっても容易くはない人生である。確かに不屈にこそ花束は贈られるべきだ。冒頭から入ってくる儚げな鍵盤、心あたたまるおおらかな音色のストリングス、じんわりとした体温を感じるトラック、そしてしっとりとした曲調。そのどれもがこの曲に迫真の力を与えているように思う。何より〈でも散った花が/アスファルトで咲いた/遅まきながら春に触れる〉という一節に含まれる二面性である。大袈裟に言えばそれは喪失と再生であり、人生における明暗や浮き沈みをjo0jiは上手に詩にしていく。悲しみの中にも喜びはあり、光の中にも陰りがある。そして失うことは出会うことなのだ。ほとんどの曲に言えることだが、彼の音楽は慎ましい人生を肯定しているように思う。

jo0ji「不屈に花」 Music Video

 昨年渋谷WWW Xのワンマンライブで見たjo0jiは、思っていたよりもずっと情熱的だった。リズム感が良く、うっとりするような歌はライブの場でも変わらない。バンドメンバーへの信頼も、きっと彼の表現に自信を与えているのだろう。どことなく野生的になる瞬間があり、満員のフロアに向けて言葉を投げかけていく姿がカッコいいと思った。

jo0ji「≒」2024.11.1 ”jo0ji 1st ONEMAN LIVE 漁火”

 jo0jiは「眼差し」のセルフライナーノーツで、「自分はひとの目を見て会話ができない」と書いている。人は大切なことほど言葉にできない。歯痒い生き物なのだ。しかしだからこそ歌があるのだろう。きっとこの音楽はずっと遠くまで飛んでいく。

1st EP『475』ジャケット

■配信情報
jo0ji 1st EP
『475』
配信URL:https://lnk.to/475

01. 明見
02. 言焉
03. 不屈に花
04. ≒
05. cuz

■関連リンク
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