柚希礼音、芸歴25周年と新たな挑戦の集大成 一夜限りのシャンソンリサイタルで到達した新境地

1月19日、柚希礼音が東京・Bunkamura オーチャードホールにて一日限りの『柚希礼音リサイタル〜REON et Chansons(レオン・エ・シャンソン)~』を行った。2024年に芸歴25周年、2025年に宝塚歌劇を卒業して10年を迎えた柚希は、「いつの日か学びたい」と思っていたシャンソンを学び、生誕100周年となる越路吹雪の名曲を歌うシャンソンアルバム『Les Nouvelles Chansons』を1月15日にリリースした。同公演は、そのアルバムのリリースに合わせたリサイタル。19名からなるオーケストラを背負い、全19曲を披露した。
本番前にはプレス向けのフォトコールを実施。語りを務める市毛良枝とともにステージに登場し、市毛の語りから「雪が降る」と「愛の讃歌」を披露した。さらに、「そして今は」では4人のダンサーとともに美しいダンスパフォーマンスも。「挑戦だらけの舞台となっておりますが、こうして皆さんにいらしていただけたので、本番も頑張りたいと思います。どうか応援、よろしくお願いいたします」と挨拶をし、本番への期待へと繋げた。

本番では、真っ赤なドレスを身にまとって登場した柚希が「私の心はヴァイオリン」でリサイタルをスタートさせる。ステージに市毛も登場し、越路の人生を語っていく。花組の男役のトップスターから大抜擢となった『モルガンお雪』の主演を務めるまでが語られると「ビギン・ザ・ビギン」、3カ月間のパリ修行についての語りののちに「枯葉」を歌っていく。
柚月がスッと階段に腰掛けたところで、越路を支えた岩谷時子についての話が展開されていく。そこから「夢の中に君がいる」へと繋げると、越路の恋の話が語られ、柚希は椅子に座ってゆったりと「バラ色の人生」を歌い上げていった。越路の夫となる内藤法美との出会いから結婚の話が語られると、ステージ上の階段に柚希が登場。客席に向かって語りかけるかのように「ラストダンスは私に」を歌っていく。さらに「サン・トワ・マミー」、「雪が降る」を経ると演出家・浅利慶太のお話へ。越路が「一曲を3分のドラマとして演じ切る歌手になっていった」という言葉を表したかのように、黒のドレスに衣装チェンジした柚希が披露したのは「人生は過ぎゆく」。語りパートから歌唱パートへのドラマチックなメリハリに、思わず引き込まれてしまう。客席からも歓声が上がっていたほどだった。

続けて「ケ・サラ」を歌ったところで、「本番前に越路は岩谷に背中に“虎”と書いてもらっていた」という有名なエピソードが語られ、「愛の讃歌」へ。スポットライトを浴びて神々しい空気をまとって歌い上げると、割れんばかりの拍手を浴びながら柚希はステージを後にした。