でんぱ組.inc、第3期BiS、神宿……10年以上続いたグループの解散/活動休止 2024年アイドルシーン振り返り

 2014年9月にデビューした神宿は今年で10周年を迎えるはずだった。2014年に一ノ瀬みか、羽島めい、羽島みき、関口なほ、小山ひなというオリジナルメンバーでスタートした神宿は、原宿を拠点に時代を先取りした音楽性で高い評価を受ける。2016年には初主演映画『神宿スワン』を公開。2019年にはクリエイター事務所・UUUMに加入するなど、いち早くトレンドに乗っかって動画プラットフォームを通して魅力を発信してきた。

神宿「グリズリーに襲われたら♡」MV

 2023年4月には「メンバーらの未来を描いていく時間に充てる」という理由から活動休止を発表し、それぞれがソロで活動しており、いつかくるであろう再結成にファンは期待していたはず。しかし、10周年を迎える今年、メンバーの足並みが揃わないことから2024年8月19日をもって現体制を終了した。2019年に塩見きらが加入してから、より一層メンバー同士の絆は強固になり、グループの音楽性も多様な広がりを見せていただけに、今回の解散は惜しい。

神宿 KAMIYADO '約束をしようか' MV

 ほかにも、Devil ANTHEM.は10周年という節目に活動休止、真っ白なキャンバスは結成から7年で解散、さらにはZOCは現体制の終了、NARLOWは方向性の相違から約1年というタイミングで解散している。真っ白なキャンバスは小野寺梓を中心に着実にキャパを増やしていき、メジャーデビューも実現、この先のブレイクが見込まれていた中での解散だった。真っ白なキャンバスは公式コメントとして「この7人でやっていきたいという気持ちを強く持って活動してきましたが、それぞれの道へと進むことを全員で決めました」(※3)と綴っていた。メンバー各々が自分のやりたいことを見つけて、そこに向かって進んでいくのは喜ばしいことではあるのだが、同時にグループとして同じ目標に向かって歩み続けていくことの難しさを実感させられる。

真っ白なキャンバス / 今日がとけたら(Music Video)

 今回、名前を挙げたグループ以外にも2024年は多くのアイドルグループの解散や活動休止が相次いだ。でんぱ組.incのように、自らが主体的に選んだエンディングの形が理想的ではあるが、その解散がポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、アイドルシーンを盛り上げてきてくれたグループの決断は応援したい。解散や活動休止が相次ぐ一方で、アイドルシーンはそのたびに新しい芽を育みながら次のステージへと進化を遂げている。終わりと始まりが交錯する中で、アイドルシーンの可能性はこれからも広がり続けるだろう。

※1:https://www.youtube.com/watch?v=otM1vo8t9pg
※2:https://www.brandnewidolsociety.tokyo/posts/54931774
※3:https://shirokyan.com/news/3528/

BiSHはライブに生き、ライブに散った 結成から東京ドーム解散公演まで貫かれたパンクな生き様

「楽器を持たないパンクバンド」というキャッチコピーにならうなら、BiSHは最高のライブバンドだった。ライブに生き、ライブに散った…

LUNA SEA“終幕”、WANDS“解体”、でんぱ組.inc “エンディング”……解散表現に表れるアーティストの美学

LUNA SEA“終幕”、WANDS“解体”、でんぱ組.inc “エンディング”など、本稿ではアーティストとしての美学を映し出す…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる