『ユイカ』が初アニメタイアップで大事にした言葉とは? 10代最後の日々と20代への希望も

『ユイカ』初アニメ主題歌で大事にした言葉

清水依与吏の言葉を胸に挑戦したタイアップ曲

――メロディやトラックなど、サウンド面ではどのようなことを意識しましたか?

『ユイカ』:この曲では、私的チャレンジとしてサビで転調しているんです。サビから始まるので、転調したところから始まって、Aメロになって下がって、またサビで上がるという形なんですけど。たとえば、アニメを観ている時って、物語が終わって「面白かった〜!」と思っている時にエンディング主題歌が流れてくるじゃないですか。その瞬間にスッと耳に入ってくるようにするには、1発目からポンッ!と音が飛んでくるようにしたいなと思って。

――実際にオンエアでアニメの最後に「僕らしさ」が流れているところを見ていかがでしたか?

『ユイカ』:すごく感動しました。そもそもテレビから私の声が聴こえてくる時点で、個人的にはちゃめちゃ大興奮なんですけど(笑)。さらにエンドロールのクレジットで『ユイカ』って出て。しかも、“詞・曲”のところにも『ユイカ』の名前がある。それを自分の家のテレビで見た時に、あらためて実感して感動しました。

――これまでにもタイアップはありましたけど、それとはまた違う感動?

『ユイカ』:でしたね。これまでの楽曲ももちろん思い入れがあるんですけど、今回は自分で作った曲で、自分がゼロから生み出したものなので、もはや自分の子供みたいな感覚で。「こんなところまで来たのね、『ユイカ』……」という気持ちになりました(笑)。

TVアニメ『妖怪学校の先生はじめました!』ノンクレジットエンディング

――お話を伺っていると、すごく楽しんで作ったんだろうなと感じます。書き下ろしならではの難しさや面白さはどのように感じましたか?

『ユイカ』:書き下ろしって、“作品に寄せすぎる”と“離しすぎて何について言っているかわからない”のラインの間を狙わなきゃいけないものだと勝手に思っていて。と言うのも、back numberの清水依与吏さんがそうおっしゃっていたんですよ。たとえば、小説が原作の作品だったら、主題歌を作る時には原作の小説を読んで、映画の台本は読まないようにしている、というような話をされていたことがあったんです。それを聞いたのは私が小学生くらいの時だったんですけど、「もしタイアップ曲を作るなら、私もそうしなきゃ!」と思って(笑)。今回タイアップのお話をいただいて、そこから私も清水先生にはらって、寄せすぎず、でもアニメを観たあとに曲を聴いたら「もしかしてこれって……」と感じられるようなものを何か入れたいな、って。それで、これまでの『ユイカ』の曲とはちょっと違うスタイルを取りました。清水先生のおかげです!

――小学生の頃から(笑)!? 主題歌の書き下ろしのための知識がすでに溜まっていたんですね。

『ユイカ』:もうずっと作りたくてうずうずしていました。まだまだ作りたいので、ご連絡はユニバーサル ミュージックまでお願いします(笑)。

――(笑)。ボーカル録りなど、歌ううえで意識したことはありますか?

『ユイカ』:この曲は、本当に自分のことを歌った曲で。いつも実体験をもとにはしているけど、そこには適度に空想が入っていたりするんですよね。

――理想の結末だったり。

『ユイカ』:そうそう。だって、教室で告白されたこととかないですもん(笑)! 「こうだったらいいな」と思うことを織り交ぜて書いているので、レコーディングの時は「この主人公の女の子は、髪の長さはこれくらいで、クラスでの雰囲気はこんな感じで……」というふうにイメージを固めて、その子になろうとしながら歌うことが多いんですけど、今回は本当に嘘偽りなく自分のことを書いているので、レコーディングでも自分のまま、『ユイカ』のまま歌いました。

――タイアップ曲なのに、普段よりも自分らしい曲が出来上がるというのは面白いですね。

『ユイカ』:本当ですよね。私も今こうやってお話ししていて思いました。タイアップの曲だと、自分事とかけ離れるようなものを作る方もいると思うんですけど、私の場合は逆でした。

――最初からそういう曲を作ろうと思ったわけではなかったということですが、今までとはテイストの違う『ユイカ』さんらしい曲が出来上がってみて、ご自身としては今どのような気持ちですか?

『ユイカ』:自分のことだけじゃなくて、主人公の晴明くんのことも思って書いた曲ではあるんですけど、自分のことを歌った「17さいのうた。」を書いて、自分の意思表明として「紺色に憧れて」という曲を書いて、その次に自分のことを書いた曲がこの「僕らしさ」なのかなと思っています。「17さいのうた。」は後ろ向きなことを歌っていて、「紺色に憧れて」は前は向いているけどスタートラインに立った状態。そこから一歩踏み出したのが「僕らしさ」だという感覚が自分のなかにはあるので、その感じが伝わっていたらうれしいです。

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