Crystal Kay、25年間に点数を付けるなら「100点」 ミュージカルから受ける刺激とこれから目指すもの

Crystal Kay、25年間の点数は「100点」

 7月1日からデビュー25周年イヤーに突入したCrystal Kayが、25周年第二弾リリースとなる楽曲「Love Myself」を配信リリース。同曲はCrystal Kayのブレイクのきっかけとなった「恋におちたら」を手がけた坂詰美紗子が作詞・作曲を務め、UTAが編曲を担当。軽快なディスコサウンドに乗せて、気持ちをポジティブにアゲてくれる応援歌に仕上がった。同曲の制作秘話を始め、『RENT』などミュージカル出演について、そして12月に開催する25周年ライブ『CKニーゴー~25TH ANNIVERSARY』についてなど話を聞いた。(榑林史章)

「自分の中から出てくるものを歌いたい」

Crystal Kay “Love Myself” - Official Music Video

――「Love Myself」は、聴いてすごく元気になる楽曲だと思いました。ご本人としてはどんな曲にしたいと思って制作されたのですか?

Crystal Kay:前向きで希望があって、聴くとみんなが踊りたくなったり、一緒に歌いたくなるような感じで、サウンド的にはディスコティックでファンキー寄りの感じにしたいと思いました。あと、そんなにキーが高くなくて、下のレンジも目立たせたいと思って。それで書いてもらうのは誰がいいか考えたんですけど、25周年という記念のタイミングだし、それなら(坂詰)美紗子がいいんじゃないかと。

――Crystal Kayさんの代表曲「恋におちたら」を作詞・作曲した、坂詰美紗子さんですね。

Crystal Kay:はい。それでオファーしたらOKしてくれて。誰が聴いてもパワーがみなぎって「前に進もう」という気持ちになれる曲にしたいとリクエストしました。

ーーいつも明るく元気で前向き、女性の背中を押して元気づける曲をたくさん歌っているイメージ。そんなCrystal Kayさんのイメージにぴったりな曲だなと思いました。“自分らしさ”みたいなものは、どれくらい意識したのですか?

Crystal Kay:基本的に自分が歌う曲は、自分の中から出てくるものを歌いたいと思っています。自分が書いていない場合でも、レペゼンできる曲でなければ、胸を張って届けることができないですから。100%自分に噓のないものを届けたいという気持ちは、昔から変わっていません。だって自分が歌う曲なのに、自分が納得せずに歌うなんてあり得ないじゃないですか。

――Crystal Kayさんのように、ちゃんと自分の気持ちを主張しながら活動している人がいてくれることで、「私も自分の意見を主張したい」とか「主張してもいいんだ」と思ってくれる人が増えたらいいですね。

Crystal Kay:みんなにそう思ってもらえたらうれしいです。でも、私もデビューした頃はまだ子どもだったから、音に対する意識はあっても歌の内容やメッセージ的なところまでは気が回っていなかったかもしれません。T.kuraさんやm-floの☆Takuと制作するようになって、自分でも歌詞を書くようになってから、自分のエッセンスを込めることができるようになりました。自分の言葉というのは、自分の経験とか思いから出てくるものだから、やるならこういうの方がいいなと、自分の主張に対する気持ちが大きくなっていったと思います。

「Love Myself」は「恋におちたら」を手がけた坂詰美紗子が制作

――坂詰さんとは、「恋におちたら」の制作以降も交流が?

Crystal Kay:「恋におちたら」の後、「Lovin' You」というバラードを作ってもらったり、「幸せって。」とか、時々書いてもらっています。坂詰さんは年齢も1歳上で、実は初めて会ったのは私がまだ学校に通っていた頃、地元の駅で「Crystal Kayさんですよね!」って声をかけてくれたのが初対面でした。彼女自身もまだ学生で作家になる前だったんですけど、その後私の楽曲コンペに「恋におちたら」を提出して、採用されて今に至っていて。今回の楽曲制作の時にも、「すごいご縁だよね」って話をしました。

――今作の制作はどんな雰囲気だったのですか?

Crystal Kay:すごく楽しくて、笑ってばかりの現場でしたよ。作詞・作曲をしてもらってから、なかなかピタッとくる音が見つからなくてトラック制作には苦戦して、そのままレコーディングの日になってしまったんですけど、トラックができていないからその日はレコーディングできなくなった日も坂詰さんが来てくれて。本番のレコーディングの時も来てくれて。

――トラックはすごくカッコいいですね。シンプルで、昔ながらのディスコサウンドの感じもあって、すごく聴きやすいです。

Crystal Kay:UTAくんにアレンジしてもらったんですけど、楽器は全部生でやろうと言ってくれて。そもそも私がシンセっぽくないほうがいい、“生っぽさ”が欲しいと言ったからなんですけど、ホーンやストリングスも生で収録したんです。その楽器収録にも私は全部立ち会って、朝から晩まで私がああしてください、こうしてくださいって(笑)。ベースやギターから始まって、ストリングス、ホーン。その場で楽譜を書き換えてもらいました。

――それは、Crystal Kayさんの頭に完成像があったからできたことでしょうね。

Crystal Kay:こうしたほうがもっとグルーヴが出るとか、こっちの方がサプライズ感が出るとか。意見が言えるタイミングは、その時しかないから。でも、今回みたいなことはなかなかないと思います。普通はアレンジャーが譜面を持って来て、演奏して録音して終わるみたいな感じだから。ただ、ベースとギターはいつもビルボードライブでやる時にバックを務めてくださっている、スーパーなベーシストとギタリストだったから、「こういう感じで」と伝えたらすぐ分かってくださって。ストリングスの方は初めましてだったのですが、幸いなことにすごくいい方で、自分で楽譜も書ける方だったからすぐ対応してくださって。その場で対応できる方は少ないらしいから、ラッキーでした。

――プロフェッショナルが集まった現場だからこそできたことですね。

Crystal Kay:はい。超ありがたかったです。13~14時間かかってすごく大変だったけど、充実した時間でした。

――ボーカルに関してですが、とても聴きやすくて、言葉がはっきり飛び込んできてメッセージが真っ直ぐ伝わって来る感じがしました。それはミュージカルの経験が大きいのでしょうか。

Crystal Kay:それは他の方からもすごく言われました。きっと『RENT』効果が出たんだと思います。実際に歌詞を伝えたいという気持ちはありましたし、すごくシンプルなメロディだから、単にきれいに歌うだけではスーッと通り過ぎちゃうと思ったんです。使っている言葉もダイレクトだから、バーンと届くようにという意識はありましたね。

――言葉を丁寧に置いていくようなイメージでした。ディスコサウンドだけど、R&B系の曲みたいのフェイクを入れたり、ニュアンスをすごく付けたりしていないのが、聴きやすくていいなと。

Crystal Kay:サウンドはディスコであっても、あくまでもポップスだから。ポップスは、真っ直ぐ歌うのが秘訣なんじゃないかと思っているんです。12月のライブのリハーサルで歌った時も、母親から「絶対こねくり回して歌わないように」と言われました。もちろんライブで初披露する曲だから、届けることを意識するのは大事だけど、やっぱり真っ直ぐストレートに歌ったほうが、聴いてくださる方にも分かりやすいし。

――「恋におちたら」もJ-POPとしてのキャッチーさを意識して、シンプルに歌ったことがヒットにつながりました。今作もそれと同じというか。

Crystal Kay:はい。そう歌ったほうが、坂詰さんの楽曲の魅力がより引き出せるというか。

自己肯定感を高めるために得る長期の目線

――楽曲「Love Myself」は、「自分自身を愛そう」というタイトルで自己肯定がテーマになっていますが、Crystal Kayさんは、どういう時が自分らしくいられますか?

Crystal Kay:どんな時がというのはなくて、いつもです(笑)。表裏がないというか。

――いつも笑っていて、明るくて前向きというイメージがあります。そういうパブリックイメージに対して、自分ではどう感じていますか?

Crystal Kay:でも、実際にそうだと思いますよ。印象通りです。でもそれは、私のことを知ってくださっている人の印象で、見た目的に一般的にはいかつくて怖く見えるらしいです。ケンカが強そうみたいな(笑)。初対面の方でも一度しゃべると、「え~こんなに気さくな方だったんですね!」ってよく言われます。25年日本語で歌っているのにもかかわらず、見た目で日本語がしゃべれないイメージもあるみたいで、たまにファンの方から英語で話しかけられて、「日本語で大丈夫ですよ」って(笑)。

――明るく前向きな性格は、子どもの頃からですか?

Crystal Kay:そうですね。でも大人になると余計な情報がいっぱい入ってきて、あまり素直になれなかったり、子どもの時のようには無邪気にはなれかったりしますよね。ある年齢から社会のこととか大人のしがらみとか、いろんなことを考えるようになったりして。こう見えて、実は結構いろいろ考えすぎてしまうタイプでもあるんです。だから今流行っているMBTI診断で言うと、E(外向型)とI(内向型)の両方を持っているみたいな感じですね。時と場合でも違うと思うんですけど、大人になってから、よりIの傾向が出てきたかもしれません。でも最近思うのは、またEの部分を出す時期に差し掛かっているのかなということ。それもよく母親から言われるんですけど、「小さい時のあなたはどこへ行っちゃったの?」「もっと自分を表に出しなさい!」って。

 

――そういう内向きに考え込んでしまっているような時、自己肯定感を高めるためとか自信を持つためにやることはありますか?

Crystal Kay:自分自身に磨きをかけることでしょうか。運動をするとか体を鍛えるとか、目に見えて結果が分かるほうが、モチベーションが上がると思います。私の場合は35歳くらいから体が変わって、脂肪が付きやすく落ちにくくなったんですけど、そういう体のことも含めてちゃんと自分自身に意識を向けていないと、自分を愛せないことになっちゃうんです。そこで頑張れるかどうかが、分かれ道です。それも、あのくらいの体になりたいから今超頑張ろうではなく、今の状態を40代や50代までキープするためにはどうしたらいいか。40代を目前にして、そういう長期目線で考えるようになりました。この「Love Myself」は、体を動かす時のBGMにもピッタリだと思います。実際にウォーキングをしながら聴いたんですけど、めっちゃ良かったですよ!外を歩きながらとか、ちょっと気分を切り替えたい時もいいし、何かの準備をしている時とか、何かをやる前に聴くのも気持ちがアガってすごくいいですよ。

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