齋藤飛鳥、一人の表現者として高まる存在感 卓越したダンス、音楽や芸術愛により広がる活躍
齋藤飛鳥の表現者としての存在感が日に日に増してきている。
2022年末をもって乃木坂46を卒業(卒業コンサートは2023年5月に開催)して以降、俳優やモデルとして活躍の場を広げ続け、この年末には、ドラマ・映画『【推しの子】』の配信・公開が控えている齋藤。グループ在籍時からレギュラー出演している『ハマスカ放送部』(テレビ朝日系)などで、音楽や芸術全般への深い愛や造詣を明らかにしていたこともあり、卒業後の彼女がどのようなキャリアを歩んでいくのかについて、様々な期待を抱いていた人は多かったのではないだろうか。そこで、齋藤のそうした側面が大いに活かされた卒業後の活動に注目してみたい。
まず、音楽愛について。特に印象的だったのが、『ハマスカ放送部』の洋楽をフィーチャーした回(9月16日放送「永野の洋楽偏愛先生」)で公開された、齋藤が選んだ「自分の子どもに伝えたい珠玉の洋楽」5曲だ。
フランク・シナトラ「My Way」
ルー・リード「Perfect Day」
ニーナ・シモン 「Feeling Good」
Badfinger「Know One Knows」
Ride「Seagull」
この回にゲスト出演した永野が、「ビビっちゃう」「深すぎて仲良くなれない」とまでリアクションしていたように、日頃からジャンルも年代も幅広い音楽を探求していることが窺える、非常にマニアックな選曲である。特に、齋藤がMONDO GROSSOと2度目のコラボレーションを果たした「STRANGER」(2022年2月/MONDO GROSSO『BIG WORLD』収録)で、彼女の歌声とシューゲイザーの相性の良さに驚かされていたので、90’sシューゲイザーバンドの代表格であるRideを愛聴している点に深い納得感を覚えた。なお、Spotifyでは、上記の5曲に永野が無理矢理(?)1曲を付け加えたプレイリストが公開されているので、ぜひチェックしてみてほしい。
また、音楽だけではなく、齋藤は芸術全般に対して深い愛と興味を持っていて、11月2日に放送された『アナザースカイ』(日本テレビ系)では、芸術家の岡本太郎が手掛けた太陽の塔が、自身にとっての数少ないパワースポットのような存在であり、定期的に足を運んでいると語っていた。番組のロケで太陽の塔の内部に足を運んだ齋藤は、「芸術は呪術である」という岡本の言葉を受けて、10年以上にわたって続けてきたアイドルの仕事や芸能の仕事全般について、「(この仕事は)呪いみたいなもんですよね」「(呪いを)かけてる風だけど、実はめっちゃかけられてると思ってる」と語っていて、そうした言葉は、岡本太郎の名言との深いシンパシーを感じさせるものだったように思う。
さらに、齋藤が乃木坂46を卒業後、最初に話題になった大きな動きの一つが、2023年の夏に公開された星野源の「生命体」MVへの出演である。生命の躍動を鮮やかに伝えるような彼女のダンスパフォーマンスが大きな役割を果たしていて、〈あなたは確かにここにいる〉という同曲のメッセージに、身体表現を通して豊かな説得力を付与し、そして〈“1”〉としての命の実存を深々と刻みつけていく。彼女のダンススキルは、乃木坂46在籍時代からファンの間で高く評価されていたが、このMVを通して従来のファン以外の多くの人にも認知され、後日、星野が自ら編集を手掛けたソロダンスビデオが公開されたことも話題となった。しなやかで美麗でありながら、力強く逞しい芯を感じさせる齋藤のダンスパフォーマンス。過去に乃木坂46「インフルエンサー」「シンクロニシティ」などの振付を手掛け、「生命体」のMVで齋藤のパートの振付を担当したSeishiroは、Instagramに「あすかちゃんには踊り続けてほしいと思っていましたがこのような形ですぐ再開出来てほっこりしました。振付を与えられた次の日、自分という踊りに変わる瞬間がとても印象的でした。素敵に昇華して頂き嬉しく思います」とコメントしている(※1)。