キタニタツヤ、躍進を後押しする多面的な表現力 熱狂の中で心を重ね合った『ROUNDABOUT』ファイナル

キタニタツヤ『ROUNDABOUT』ファイナルレポ

 終盤、キタニは、自らが綴る歌詞について、「スッと入ってくるタイプではない」と前置きした上で、それでも自分の音楽を選んで真剣に聴いてくれるファンへの感謝を述べつつ、そうしたファンを信頼して、これからもこの創作のスタンスを崩さないと宣言した。続けて、言葉は、リリースして自分の手を離れた瞬間にリスナーのものになり、キタニ本人すら気づいていなかった新しい可能性を拾ってくれることもある、と語った。

「僕の言葉を、あなただけのキタニタツヤの言葉として受け取ってほしい」

 そう伝えてから怒涛の終盤戦へ突入。「青のすみか」では、無数の拳が突き上がり、ラストサビ直前の〈さよなら〉の後、一時の静寂を経て大きな歓声が上がる。キタニがエレキギターでコードをかき鳴らしながらサビから歌い出した「スカー」では、マイクを勢いよくフロアに託して大合唱に。その熱狂、いや、狂騒は、次の「悪魔の踊り方」でさらに加速していく。同曲のラストにおける、まるで地獄の底から轟くような渾身の咆哮はあまりにも圧巻だった。この日のライブ、および、今回のツアーを締め括ったのは「次回予告」。子供のセリフ調のパートを観客が全力で歌い上げ、そしてキタニは、残されたエネルギーを全て出し尽くすような全身全霊の歌声で観客の想いに応えていく。最後に彼は、「また次回お会いしましょう!」という言葉を残してステージを去っていった。

 この日の最後に、2025年3月に開催されるアリーナツアータイトルが『ANGEL WHISPERING』に決定したことが発表された。今回のツアーを通して、ライブハウスという熱狂空間における経験をいくつも積んできた彼は、次はアリーナという大舞台でどのようなワンマンライブを展開してくれるのか。期待してその日を待ちたい。

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