加藤ひさしがロックで与えたい衝撃「このまま死ねないよ」 THE COLLECTORS、26枚目のアルバムを語る

THE COLLECTORS、26枚目のアルバムを語る

革新的なソロアルバムを作りたい

THE COLLECTORS・加藤ひさし(撮影=池村隆司)

――で、最後に「ランドホー!」でアルバムが終わって、ちょっとホッとするという。

加藤:そうだね。俺のなかでは、最初はこのアルバムは徹底的に暗くて、「ガベル」で終わろうと思ったの。

――いちばん救いがない曲で。

加藤:うん。The Beatlesで言うと、『SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』が「A DAY IN THE LIFE」で終わるみたいな。ああいう暗いムードで終わるアルバムもありだよな、と思った。でも、「ガベル」があまりにも暗すぎて、「やっぱりTHE COLLECTORSは希望を持たせなきゃダメだな」と思って。それで「ランドホー!」にした、最後に大陸を発見するっていう。それが新しいルールなのか、新しい秩序なのか、新しいスタイルなのかはわからないけど、とにかく大陸を発見できた。「次に進める!」みたいな。

――これはどんな気持ちで書いた曲?

加藤:やっぱり荒波を超えないと、苦労しないと、喜びってないからさ。船乗りの格言で「静かな海じゃ船乗りは育たない」という言葉があるから、そのままサビに使って、歌ってみたらぴったりハマった。

――「ガベル」と「タイムトリッパー」、いちばん重いこの2曲は――。

加藤:もう怒りが湧いて書いちゃった感じだね。特にガザ地区のイスラエルとの戦いを見ていて……その歴史も知っているつもりだし、現状はもうどうしようもないくらいグチャグチャになっているけど。「世界は“いつから悪くなったんだ?”ということを探す旅に、みんな出てみないか?」と言いたくなった。そういうことをしてみないと、世のなかをフラットに見れないんじゃないかなと思って。そのうえで、いつまで時代を遡って国境線を引くか。紀元前、もっと前……一体いつまでいったら、みんなが「OK、それならいいよ」って言ってくれるのか。だから時間の旅をしてみたんだけど、どこに行っても争っていて、いろんな場所で、いろんな理由で、いつまで俺たちは争うの?――という。

THE COLLECTORS・加藤ひさし(撮影=池村隆司)

――ちなみに、歌詞は苦しみながらなんとかひねり出す、っていつもおっしゃっていますけど、メロディはそんなことはない?

加藤:ない。メロディは、どんどん出てきちゃうんだよ。ソングライターとしてOasisに入りたいぐらいだよ(笑)。そうだ、今、俺のソロアルバムを作らせてくれってコロムビアに言ってるんだけど「イヤだ」って言うのよ。

――(笑)。

加藤:ずーっと言ってるんだよ。「メロディが出てきてしょうがないんだよ!」って言っても、「いや、お待ちを……」とか言われて。これ、絶対に書いておいてよ(笑)。“ブラスと歌”っていう、革新的なソロアルバムを作りたいの。みんな、ロックンロールはエレキギターとエレキベースとドラムだと思ってんじゃん。昔から「そのスタイルはどうなのか?」と思ってるの。

――そのスタイルの代表者に言われても(笑)。

加藤:でも、俺は学生の頃ブラスバンドに所属していたり、ミュージカルも観たり、バレエも好きなのよ。そういった意味では、いろんな音楽のいろんないいところを知ってるつもり。ほら、BEN FOLDS FIVEっていうバンドがいたでしょ? ピアノとベースとドラム、あと歌。

――ああ。たしかに、最初びっくりしました。

加藤:あの時にびっくりしたこと、覚えてるでしょ? 「エレキギターじゃないんだ?」っていう。普通のロックの曲のギターがピアノに替わっただけで、あの衝撃があったんだよ。だから、ブラスとドラムと歌でやったらすごくかっこいい、全然違うロックが聴けるんじゃないかなと思ってる。みんな、聴いたことないでしょ? でも、俺はわかってるんだよ。それを聴かせたいもん。このまま死ねないよ。これは、BEN FOLDS FIVEがヒントをくれたこと。

――あの当時から思っている?

加藤:思ってる。その頃からコロムビアさんに……1996年ぐらいからずーっと言ってるんだけど、ずーっとOKくれないの(笑)。コータローのソロは3枚も出してるのにさ(笑)! でも、俺の面白さってそこなんだよね。普通のロックバンドの連中が考えてる組み合わせじゃないものを、それはリミックスかもしれないけど、組み合わせが独特だからTHE COLLECTORSはめっちゃ面白いんだと思う。

■リリース情報
26th ALBUM『ハートのキングは口髭がない』
発売中

・通常盤:COCP-42384/3,500円(税込)
・コロムビアミュージックショップ限定盤:CEG-88-9/5,500円(税込)

<CD>
01. スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない
02. タイムトリッパー
03. シルバーヘッドフォン
04. ガベル
05. This is a True Story
06. キミに歌う愛のうた
07. ヴァニティフィクション
08. ワンコインT
09. Hold Me Baby
10. スローリー
11. ランドホー!

<DVD(コロムビアミュージックショップ限定盤のみ)>
・『THE COLLECTORS TOUR 「ロックンロール イースター 2024」 』4.14 日比谷野外大音楽堂

■ツアー情報
『THE COLLECTORS TOUR 2024「ハートのキングは口髭がない」』
11月16日(土)岡山県・岡山 YEBISU YA PRO
OPEN 16:00/START 16:30

11月17日(日)福岡県・小倉 FUSE
OPEN 16:00/START 16:30

11月23日(土)栃木県・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
OPEN 16:00/START 16:30

12月1日(日)東京都・恵比寿The Garden Hall
OPEN 15:45/START 16:30

12月7日(土)大阪府・梅田 CLUB QUATTRO
OPEN 15:45/START 16:30

12月8日(日)愛知県・名古屋 CLUB QUATTRO
OPEN 15:45/START 16:30

12月15日(日)宮城県・仙台 MACANA
OPEN 16:00/START 16:30

12月21日(土)沖縄県・那覇 output
OPEN 16:00/START 16:30

<チケット発売中>
チケットぴあ
ローチケ
イープラス

<問い合わせ>
VINTAGE ROCK std.
TEL:03-3770-6900(平日12:00-17:00)/http://www.vintage-rock.com/

■書籍情報
『イギリスカブレ』
発売中

著者:加藤ひさし
定価:4,000円(税込)
サイズ:B5変形
予定ページ数:288ページ
発売:音楽と人

THE COLLECTORS オフィシャルサイト:https://thecollectors.jp/
日本コロムビア アーティストページ:https://columbia.jp/collectors/
X(旧Twitter):https://x.com/info_collectors

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