加藤ひさしがロックで与えたい衝撃「このまま死ねないよ」 THE COLLECTORS、26枚目のアルバムを語る
どんなにキャリアが長くなろうとも(あと2年で結成40周年)、どんなに後続のバンドたちに影響を与えたり慕われたりしようとも、2年に1作ニューアルバムをリリースする、というペースは絶対に崩さない、言わば大御所化しない、ロックバンドとして現場に立ち続けるTHE COLLECTORSが、26作目のニューアルバム『ハートのキングは口髭がない』を完成させた。
今回はどんな角度の、どんなふうに冴えた楽曲が並んでいる、どんなふうに素晴らしいアルバムになっているのかに関しては、以下の加藤ひさしのインタビューから読み取っていただきたいが、このアルバムのタイミングで、あとふたつニュースがある。
ひとつは、加藤ひさしの自伝本『イギリスカブレ』が、アルバムと同じ11月6日に刊行されたこと。そしてもうひとつは、加藤ひさしと古市コータローのポッドキャスト→YouTubeのトーク番組であり、現在のTHE COLLECTORSの支持基盤の大きな部分を築く役割を果たした、と言っても過言ではない『池袋交差点24時』が、2024年10月いっぱいで、15年の歴史を終えることが、10月2日アップの回で発表されたのである。なので、アルバムの話の前に、そのことに触れないわけにはいかなかった。ショックです、だいぶ。(兵庫慎司)
『池袋交差点24時』は「シーズン10で終わるのが潔いんじゃないか、って」
――『池袋交差点24時』、今日(取材は10月15日に実施)の段階では、終了が発表された回、その次の回まで配信されていまして。終了まであと3回でしたっけ?
加藤ひさし(以下、加藤):はい、あと3回ですね。
――今のところ、終わる理由は「シーズン10できりがいいからやめる」としか語られていないんですが、今後ちゃんとした理由は――。
加藤:話さない予定ですね。
――であれば、今ここで訊かないわけにはいかないんですが。
加藤:ちゃんとした理由なんてないんだよ。1年ぐらい前から、俺とコータローで何回も話し合ってたの、「どのタイミングでやめようか?」って。始まったのは15年も前で、ポッドキャスト自体が真新しかったから。40万ダウンロードもいった時期もあったし、本にもなるくらい人気だったわけだよね。でも、それがYouTubeに移行してからは、再生数も落ち着いちゃって、最初の頃の勢いはない。俺たちもいろいろ吐き出しちゃってるし、新しいインプットがあるわけでもない。だったらズルズル続けるよりも、シーズン10で終わるのが潔いんじゃないか、っていう話になって。それだけの理由。深い意味はなんにもないよ。
――でも、番組としての機運が下がっている印象は、まったくなかったので――。
加藤:下がってるのは俺とコータローくんのテンションだよ(笑)。いちばん最初のワイワイやってた時の、あの気持ちをキープできなくなって。
――でも、聞いている側からすると、おふたり的にはテンションが下がっていても――。
加藤:聞きたいの?(笑)。
――というか、そうなってからがむしろ本領発揮というか。ただの雑談があそこまで面白いというのは、特殊能力じゃないですか。
加藤:いや、あれぐらいのテンションでいいなら面白いものはできると思うけど、「やる意味あるのかな?」と思ったのよ。
――ある!
加藤:はははは。でも、俺らは「もう充分やった」という印象かな。それ以外の何もない。
――うーん……まあ、15年もやったと考えると、しょうがないのかな、という気も。
加藤:15年もやるべきじゃなかったよ(笑)。