SIX LOUNGE、Omoinotake、緑黄色社会……楽器隊による作詞で際立つ“ボーカリストを活かす言葉”
緑黄色社会
緑黄色社会はメンバー全員が作曲を行い、作詞は長屋晴子(Vo/Gt)、小林壱誓(Gt)、穴見真吾(Ba)が手がけており、その組み合わせごとに多彩な楽曲を生み出す稀有なバンドだ。楽曲提供でもそのスタイルは健在で、12月にリリースされるKing & Princeへの提供曲「ボーイミーツガール」は長屋が作詞、穴見とpeppe(Key)が作曲を担当している。
さて本稿で紹介したいのは小林による歌詞だ。現在までリリースされた楽曲の約4分の1ほどが彼の作詞曲で、「LITMUS」や「陽はまた昇るから」といったシングル曲やタイアップ曲も多く、バンド内において重要な役割を担っている。自身の素直な感情を楽曲の中に綴る長屋と比較すると、小林は作家性の高い筆致が特徴と言えるが、その一方でアルバム曲ではまた違った表情を見せる。
昨年のアルバム『pink blue』に収録された「ジブンセイフク」では独特の言葉選びの中で内省を深め、「湿気っている」では別離の苦しみを“湿気”というモチーフに託して描いている。小林は過去に自身の歌詞について「人が目を伏せたくなるようなところに光を当てて曲を作りたいっていう思いが自分の中にずっとあるんです」(※6)と語っており、そのどこか仄暗い言葉遣いがバンドの振れ幅へと繋がっているのだ。
歌声を活かす言葉というのは、必ずしもその歌い手だけが生み出せるものではない。むしろ客観的にその声を捉えることができる楽器隊だからこそ手繰り寄せられる言葉もあるのだ。この3バンドはすでにそれを証明しており、これからもそのテクニックを磨き上げていくことだろう。
※1、2:https://natalie.mu/music/pp/sixlounge
※3:https://news.radiko.jp/article/station/FMJ/105691/
※4、5:https://www.uta-net.com/interview/2406_omoinotake
※6:https://natalie.mu/music/pp/ryokushaka
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