kiss the gambler かなふぁん、音楽に昇華する“人とのコミュニケーション”への関心 柴田聡子からの影響も

柴田聡子、FUN.など、かなふぁんの音楽的ルーツ

ーーさて今回、kiss the gamblerのルーツとなる作品を何点か持ってきてもらいました。

かなふぁん:はい。最初に紹介するのは、FUN.が2012年にリリースしたアルバム『Some Nights』です。カナダに住んでいる大叔母さんに会いに初めて海外旅行をした時、このアルバムを教えてもらって音楽に目覚めました。当時の私は大学生だったのですが、友達とうまくコミュニケーションできず空回りしてひとりぼっちで悩むことが多かったんです。大叔母とドライブをして、トロントの大草原で「Some Nights」を爆音で流してもらった瞬間、ガツンと心に響きました。

 ネイト・ルイスのボーカルも素晴らしいのですが、とにかくアレンジが壮大でトロントの大草原にハマりまくっていたんですよ。その時に、なんていうか自分が救われた気持ちになり、日本に帰ってきてからもずっとイヤホンでこればっかり聴いて過ごしていました。それがきっかけで洋楽が好きになったのかもしれません。FUN.の曲をピアノ弾き語りでカバーして自分の歌を録音して聴いてみたのもこの時が初めてで、「もしかしたら私、面白い声をしてるかも?」って思い始めたのもこの作品のおかげです(笑)。

ーー続いては、柴田聡子さんの詩集『さばーく』です。

かなふぁん:柴田聡子さんの音楽に出会ったのは、私が会社員だった頃。下北沢へよく飲みに行っていたのですが、その頃ちょうど私に柴田さんの音楽を教えてくれた人がいたんです。『さばーく』は、ライブ会場の物販で買ったのですが、柴田さんにしかない独特の世界観があり、会社員だった私を外へ連れ出してくれる気がして何度も読み返しました。

 柴田さんの歌詞って、主語がはっきり出てこないんです。これは自分の行動を指すのか相手の行動を指すのか、わざと分からせないようにしているところがミステリアスで魅力的。気づけば私自身もそういう歌詞を書くようになっていました。あと、抽象的で意味がわからない歌詞であっても、必ずどこか「刺さる」言葉があるんです。例えば、〈おみやげなんにも買ってこないで いい匂いだけで帰ってくる〉(「あなたはあなた」)みたいなフレーズにドキッとさせられる(笑)。私も歌詞を書くとき、少なくとも一行だけは印象に残る言葉にしようと思うようになったのも、柴田さんの影響ですね。

ーーレジーナ・スペクターの『WHAT WE SAW FROM THE CHEAP SEATS』も、影響を受けたアルバムとしてあげてくださいました。

かなふぁん:レジーナ・スペクターは大学生の時に知ったシンガーソングライターで、たまたま留学生の友達が教えてくれて。それから聴くようになったんです。当時は割と近い歌声を持つシンガーソングライター、たとえばレンカやイングリッド・マイケルソンなどを聴きまくっていましたね。でも自分が音楽を始めるようになってから、彼女たちのような楽曲は作っていないなと思い、それで今回「新しい部屋」でやってみることにしました。

ーーケイティ・カービィの『Cool Dry Place』は、カセットでお持ちなのですね。

かなふぁん:コロナ禍で『Waltz』というカセットテープ専門店を知り、カセットにハマっていた時期にケイティ・カービィと出会いました。あまりにも好き過ぎて、一度彼女のインタビューをさせてもらったこともあります。先日は、ついにフランスまで彼女のライブを見に行きました。歌声も好きだし曲もいいし……歌詞はまだあまり理解できていない部分もあるけど、とにかく全てが好きですね。ちょっと中性的な魅力もあって、私も髪型とか真似しようと思っているくらい(笑)。

ーー最後に挙げてくださったのは、スキマスイッチの3rdアルバムです。

かなふぁん:『夕風ブレンド』(2006年)は、初めて自分で買ったアルバムです。スキマスイッチは中学の時にハマっていました。弾き語りの真似をしていたこともあるし、お二人にあまりにも会いたすぎてサウンドエンジニアを目指していた時期もありました(笑)。大人になってからもずっと好きで、今回のスタッフさんが知り合いということもあり、ついに直接お会いする機会をいただき、アルバムにサインもしてもらいました。

ーー初めて自分で買ったアルバムに、およそ17年越しでサインをしてもらえるのは感慨深いですね。11月には本作を携えてのツアーがあり、その後ホール公演も控えています。最後にライブに向けての意気込みをお聞かせください。

かなふぁん:弾き語りのツアーはこれで3回目なんですけど、ワンマンでやるのは初めてなので、お客さんがどれくらい来るか不安もありますが(笑)、新しい曲から古い曲まで全部お届けできればと思っています。楽しみにしていてください。

■リリース情報
ミニアルバム『Relax!』
M1. 新しい部屋
M2. かっこよくなんかならなくていい
M3. Winter of 96
M4. ひとりで決めない
M5. 与えてばかりの僕に
M6. サラダステーション
配信URL:https://kissthegambler.lnk.to/Relax

CD  ¥2,500(本体¥2,273):2024年10月30日(水)発売
アナログ ¥4,000(本体¥3,636):2025年1月8日(水)発売

HR-01
Label : Hooman Records
Digital Distribution : ADA Japan

■ライブ情報
kiss the gambler tour “relax! the gambler 弾き語り編”
料金:¥3,500+ドリンク(全席自由)

10月27日(日)東京 Oji MUSIC LOUNGE 
open 17:30 start 18:00
https://eplus.jp/sf/detail/4174950001-P0030001

11月1日(金)福岡 SQUARE GARDEN
open 19:00 start 19:30
https://eplus.jp/sf/detail/4174970001-P0030001

11月2日(土)熊本 tsukimi
open 17:30 start 18:00
https://eplus.jp/sf/detail/4175000001-P0030001

11月3日(日)長崎 パラノイア
open 17:30 start 18:00
https://eplus.jp/sf/detail/4175020001-P0030001

11月6日(水)広島 ヲルガン座
open 18:30 start 19:30
https://eplus.jp/sf/detail/4175060001-P0030001

11月8日(金)京都 拾得
open 18:00 start 19:00
https://eplus.jp/sf/detail/4175080001-P0030001

11月9日(土)大阪 雲州堂
open 13:00 start 13:30
https://eplus.jp/sf/detail/4175090001-P0030001

11月10日(日)名古屋 金山ブラジルコーヒー
open 17:30 start 18:30
https://eplus.jp/sf/detail/4175110001-P0030001

11月15日(金)仙台 BAR&EVENT HOLE Tiki-Poto
open 19:00 start 19:30
https://eplus.jp/sf/detail/4175160001-P0030001

kiss the gambler tour “relax! the gambler SPECIAL”
¥4,500(税込)(全席指定)
12月20日(金)東京 武蔵野公会堂(吉祥寺)
open 18:00 start 19:00

石井マサユキ(Gt)、千ヶ崎学(Ba)、谷口尚久(Key)、楠 蓮(Dr)
https://eplus.jp/sf/detail/4173350001-P0030001

Official Website : https://kissthegambler.net
X : https://x.com/kissthegambler
Instagram : https://www.instagram.com/kissthegambler/
Official YouTube Channel : https://www.youtube.com/@kissthegambler7339

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