大森靖子は“あなた”と一対一で向かい合う 声を枯らす絶唱がファンの熱狂を生んだ生誕祭ライブ

大森靖子、声を枯らす絶唱を届けた生誕祭

 大森靖子の37回目の誕生日当日であり、ニューアルバム『THIS IS JAPANESE GIRL』が発売された2024年9月18日、『大森靖子生誕祭 2024』が恵比寿LIQUIDROOMで開催された。雨のやんだ恵比寿の街をLIQUIDROOMに向けて歩いていると、大森靖子ファンはすぐにわかる。ピンクと黒が混ざったデザインのTシャツや、「大森靖子はいいぞ」と背中に書かれたピンクのTシャツを着ているか、それぞれに自身の個性を押しだしたファッションをしているからだ。LIQUIDROOMに着くと、2階は超満員で立錐の余地もないほど。その場にいる大半が10代から20代にかけての女の子だ。入場待ちの時間に自撮りをする女の子も。誰もがスマホを手にしているが、耳は入場アナウンスを鋭く聞いている。私がようやくフロアに入場すると、道重さゆみの「Let's go Yeah~会えたらいいな~」が流れていた。

 開演時間になると、一番手として大森靖子の弟子であるでか美ちゃんがステージに登場。大森靖子の提供曲「PAINPU」では、間奏で「大森靖子」と連呼した。「タイムカプセル」では、大森靖子に捧げるでか美ちゃんによるガチ恋口上も。でか美ちゃんは、ライブ後にNACK 5でのレギュラー番組の放送があるとのことで、大森靖子のライブを見られないことを惜しがっていた。

 でか美ちゃんと、大森靖子の5番目の師匠だというジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)のトークもあった。大森靖子とでか美ちゃんの出会いはフェス「ぐるぐる回る」で、Twitterで相互フォローになったものの、でか美ちゃんは大森靖子に話しかけられず、そこを紹介してくれたのがジョニー大蔵大臣だったという。

 二番手であるジョニー大蔵大臣は、大森靖子と17年前に出会い、毎日死んじゃうじゃないかという心配ばかりしていたものの、気づいたら高円寺や阿佐ヶ谷でいつも共演していたという。話したいことも、聞きづらいことも増えていきます、と語って笑いを誘った。水中、それは苦しいの「保育園落ちた、吉田死ね」を歌い、その途中でPerfume「ポリリズム」、きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」、TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』の「シカ色デイズ」、C-C-B「Romanticが止まらない」、ano「ちゅ、多様性。」、KAN「愛は勝つ」などをアカペラで人力マッシュアップしていき、昭和から令和までを駆け抜けていた。MCで水を飲む際に「シンナー!」と叫んだときだけ、そんな昭和なネタを若者は理解できないのでは……と私は謎の不安に襲われた。

『大森靖子生誕祭 2024』(撮影=Masayo)
ジョニー大蔵大臣

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