S.A.R.×新東京、豊かな音楽を繋いだBillboard Live公演 新進気鋭の2組が繰り広げた無二のグルーヴ

『S.A.R.×新東京 at Billboard Live YOKOHAMA 2024』(撮影=後藤壮太郎)

 続いて、杉田春音(Vo)、田中利幸(Key)、大蔵倫太郎(Ba)、保田優真(Dr)からなる4人組バンド、新東京のステージがスタート。1曲目に披露された「Heavy Fog」は、彼らが“Organic”と呼んでいるリアレンジ版。そこから、今年2月にリリースされた1stフルアルバム『NEO TOKYO METRO』と同じ流れで、「Perrier」「踊」「さんざめく」とシームレスに届けられていく。

 もちろん、4人のステージ衣装も今回は「ナノ・ユニバース」。あらためて創立25周年をお祝いしたあと、「The Few」「ユートピアン」と演奏は続く。再び“Organic”で届けられた「刹那」は、杉田がキーボードの目の前に立ち、田中とふたりで呼吸をそろえるようにしてしっとりと幕開け。流れるようなキーボードの音色が美しい「Gerbera」では、大蔵がステージ前面に座り込んでベースを弾き倒す。一曲ごとに、そんなハイライトシーンが生み出されていった。

 「ライブレストランみたいなところでライブをするのは人生で2回目」と、オーディエンスが楽しめているかを気にしながら話した杉田は、直後に送られたあたたかい拍手に安堵した表情を浮かべていた。「残り少ないですが、楽しんでいってください!」と呼びかけると、ドラムの小気味よいビートが刻まれ、続いてベースのリフが重なる。そうした長いセッションを経て始まった「Cynical City」で、杉田も音源よりややリズムを崩して気持ちよさそうに歌う。ドラム、ベース、キーボードの順でソロ回しを挟んで個々の見せ場をしっかりと作り、盛り上がりが最高潮に達したところでラストの「36℃」へと突入していった。

 鳴り止まない拍手に応えて新東京のメンバーがステージに戻ると、再び大蔵と保田によるベースとドラムのセッションが始まった。入るタイミングを窺う田中を、杉田も含めた3人が笑って見つめる。そんな光景を見ていると、ステージの一瞬一瞬で生まれる音や空気を4人が楽しんでいるのがよくわかる。そのままアンコールとして「Morning」が披露され、にぎやかにイベントは締めくくられた。

『S.A.R.×新東京 at Billboard Live YOKOHAMA 2024』(撮影=後藤壮太郎)
『S.A.R.×新東京 at Billboard Live YOKOHAMA 2024』(撮影=後藤壮太郎)
『S.A.R.×新東京 at Billboard Live YOKOHAMA 2024』(撮影=後藤壮太郎)
『S.A.R.×新東京 at Billboard Live YOKOHAMA 2024』(撮影=後藤壮太郎)
杉田春音(Vo)
杉田春音(Vo)
田中利幸(Key)
保田優真(Dr)
previous arrow
next arrow
杉田春音(Vo)
杉田春音(Vo)
田中利幸(Key)
保田優真(Dr)
previous arrow
next arrow

 新進気鋭のアーティスト2組によって届けられた初の『music from NANO universe』。思えば、ファッションも音楽も日常を豊かにしてくれるものだ。ふたつが合わさり、いつもより少しだけ贅沢な時間を過ごせるような、そんなイベントだったと思う。なお、本イベントは次回11月12日にBillboard Live YOKOHAMAで開催され、1stステージにtonun、2ndステージにkiki vivi lilyがそれぞれ出演する。今後もどんなライブが生まれるのか楽しみにしたい。

ジャズやヒップホップを超えて凝縮された6人の個性 S.A.R.、1stアルバムでのクールな化学反応

S.A.R.はソウル、ファンク、R&B、ヒップホップ、ジャズなどをベースにしながらも、各々のルーツを投影した幅広い音楽を鳴らして…

蔦谷好位置とYaffleのLEX、いしわたり淳治のマハラージャン……『関ジャム』恒例企画、例年以上に多く評価された新たな才能

1月9日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、年始の恒例人気企画「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」が発表された。…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる