[Alexandros]、地元・相模原で「またやれるとは思っていませんでした」 凱旋イベントで呼び起こした青春

[Alexandros]、地元・相模原凱旋ライブレポ

 [Alexandros]のニューシングル『SINGLE 2』のリリース、および9月2日から彼らの代表曲のひとつ「ワタリドリ」が小田急線相模大野駅の上下線ホーム列車接近メロディとして流れ始めたことを記念して、9月22日、相模女子大学グリーンホール(相模原市文化会館)にてイベント『SINGLE 2 GIG & RADIO』が開催された。

[Alexandros](撮影=河本悠貴)

 相模原は、川上洋平(Vo/Gt)と白井眞輝(Gt)の地元であり、川上は相模大野駅について「全ての青春が詰まった駅」であり、「全てへの出発地である駅」とコメントしていた。磯部寛之(Ba/Cho)にとっても相模大野駅は大学時代から馴染み深い駅で、相模大野駅や白井にとって最も親しみ深い小田急相模原駅がある小田急線沿いには、バンド活動初期に彼らが共同生活をしていた向ヶ丘遊園駅もあり、その意味で今回の公演は、ある意味[Alexandros]にとっての地元凱旋公演とも呼べるものだった。

[Alexandros](撮影=河本悠貴)
川上洋平(Vo/Gt)
[Alexandros](撮影=河本悠貴)
磯部寛之(Ba/Cho)

 まず、暗転したステージに、彼らが敬愛するOasisの「Rock 'n' Roll Star」が一曲丸ごと流れた後、ライブの口火を切るSE「Burger Queen」が轟き、そのままシームレスにオープニングナンバー「Girl A」へ突入。目眩がするほど激しく明滅するライティングのなか、脳天を突き刺すような重厚なロックサウンドが放たれ、川上の「Are you ready?」という不敵なアジテーションを受けて、オーディエンスによる大きな歓声や叫びが会場いっぱいに響きわたる。さらに、「相模原の全員、跳べますか?」という川上の問いに応え、観客が何度も一斉にジャンプを繰り返していく。ライブ冒頭とは思えないほどの狂騒的な盛り上がりだ。

[Alexandros](撮影=河本悠貴)
白井眞輝(Gt)
[Alexandros](撮影=河本悠貴)
リアド偉武(Dr)

 続く「Waitress, Waitress!」の冒頭で、川上は「我が地元、相模大野へようこそ!」と高らかに叫び、客席から巻き起こる並々ならぬ歓声に耳を傾けながら、「いくらでも騒いでいいからな? いけるか?」とさらに煽る。そこから「冷めちゃう」をドロップし、磯部のシンセベースのプレイが冴えわたる「todayyyyy」では、川上が〈なんとなしに住んだ某所を〉の歌詞を〈相模原を〉と変えて歌う一幕も。まさに、この日だからこそ立ち会うことができた特別なシーンだったように思う。

[Alexandros](撮影=河本悠貴)

 川上は、約2年ぶり2回目となった地元凱旋公演について、「またやれるとは思っていませんでした」と胸の内の感慨と歓びを伝える。そして、ホールだからといって容赦することなく、引き続き観客全員を踊らせる、歌わせる、騒がせると宣言。「Kick&Spin」では、川上と磯部がステージの端から会場の両サイドの壁に向かって斜めに伸びた道へと繰り出したかと思えば、白井が1階席を掻き分けるようにして歩きながら、超至近距離で観客と熱きコミュニケーションを交わしていく。観客は、そうしたメンバーの想いに応えるようにして、川上から託されたマイクに大合唱で返す。まるでクライマックスのような高揚と一体感だった。

[Alexandros](撮影=河本悠貴)

 中盤のハイライトとなったのは、川上の「新曲やっていいでしょうか?」「かわいがってあげてください」という言葉を添えて披露された『SINGLE 2』収録曲「Boy Fearless」だ。不穏にうごめく磯部のベース、悲痛な叫びのように轟く白井のギター、混迷の中を豪快に突き進むように打ち鳴らされるリアド偉武(Dr)のドラム、次々と矢継ぎ早に放たれる川上のエッジーなフロウ、そしてそれらが渾然一体となった時に生み出される壮絶な覇気とカオティックなグルーヴ――。初めて音源を聴いた時にも圧倒されたが、まさかこれほどまでにライブで化ける楽曲だったとは。同曲がライブで披露されたのは前日に出演した『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』に続きこの日が2度目だったとのことだが、そのライブアンセムとしての存在感に驚愕した観客はきっと多かったはず。なお、のちのラジオパートでは、同曲のライブパフォーマンスについて、メンバー自身が相当な手応えを感じていたことが語られていた。

 「Stimulator」を経てのMCパートで、白井は親しみ深い駅である相模大野駅で自分たちの曲が流れていることへの感慨を語り、川上は列車接近メロディのアイデアは約2年前にこの会場でライブをした時に生まれたこと、またファンのプッシュがあったからこそ実現したことを説明し、「皆さんのおかけです」と丁寧に感謝の想いを伝えた。続けて披露した『SINGLE 2』収録曲「真夜中 (Drive ver.)」では、〈聞こえるのは東京の音だけ〉という歌詞をここでも〈相模大野の音だけ〉と変えて歌い、残り3曲であることを伝えたのち、列車接近メロディに起用された「ワタリドリ」へ。川上が〈あなたを/笑わせたいから〉という歌詞を〈相模大野を/歌わせたいから〉と歌い、その想いに応えるようにして、会場全体からこの日いちばんのシンガロングとコールが巻き起こる。濃密なコミュニケーションを通して、ステージと客席の境界が溶けていくような熱烈な展開、本当に凄まじかった。後半のラジオパートで、〈ワタリドリの様に いつか舞い戻るよ〉という歌詞は、地元・相模原を思って制作したというエピソードが語られていたが、彼らにとってのホームで鳴らされる同曲は、やはりいつもとは似て非なる特別な輝きを放っているように感じられた。ライブパートを締め括ったのは、新たな代表曲「閃光」と、『SINGLE 2』収録の新曲「Backseat」。総じて、あまりにも堂々たる凱旋公演だったように思う。

[Alexandros](撮影=河本悠貴)

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