スマホ撮影、モッシュ/ダイブ、熱中症対策、座席問題……求められる“令和のライブスタイル”とは

 先日SiMのMAHがX(旧Twitter)にポストした内容が話題になっていた。ライブ中の写真動画撮影が当たり前になりつつある現代において、アーティストとしての実体験をもとに「スマホ出さずに楽しめてるならそれが一番では?」「海外じゃあもう規制のしようがないから諦めてるだけ」と自身の考えを述べ、ライブで私語もせずカメラをステージに向けない日本の独特な文化を誇るべきだと締めている。

 たしかに海外のライブや海外アーティストの来日公演では、多くの観客がステージの様子をスマートフォンで撮影している。その数はある意味、音楽を聴くこと以上に撮影を楽しんでいると思ってしまうほど。日本だけでなく撮影が当たり前に行われている海外のアーティストでも、その状況に違和感を感じている者も少なくはないようだ。例えばジャック・ホワイトは「電子機器から少しの間、目を離して顔をあげ、音楽とそれに対する共通の愛情を肌で感じることを皆さんに楽しんでもらえると思うのです」(※1)とコメントし、写真撮影禁止どころか会場へのスマートフォンの持ち込みを禁止としたツアーを行ったことがある。ボブ・ディランは観客がスマートフォンで撮影したことに立腹し、ライブを中断したことがある。

 一方で、例えばSEKAI NO OWARIは10年ほど前にはすでに、日本のライブでも観客の写真撮影を許可していた(動画撮影は禁止)。その理由についてSaoriはSNSで「特に禁止にする理由もないので」(※2)とコメントしている。ほかにも、YOASOBIはプロ仕様のカメラでの撮影や動画撮影は禁止だが、最初のライブから写真撮影を許可している。思い出として形に残せることや、SNSで共有されるメリットなどを優先しているのではないだろうか。

 平成から令和へ、そしてコロナ禍を挟み、電子機器やSNSの発達が進み、様々な価値観が変化した現代。ライブシーンが新たな過渡期に入ったことで、ライブ中の写真撮影のように今までなかった新しい考え方が生まれたのだろう。

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