BUMP OF CHICKEN、ATEEZ X BE:FIRST、秦 基博×sumika、ビッケブランカ、ジェニーハイ、優里……注目新譜6作をレビュー
ビッケブランカ「High Love」
5thアルバム『Knightclub』収録曲。かなり高音のファルセットから幕を開ける曲で、歌詞は英語と日本語を交えたものだが、言葉の意味を受け取るよりも先にハーモニーの美しさに意識が持っていかれる。この時点で、ビッケブランカらしい、という感想はない。もっと言うとこれが女性の歌声か男性の歌声か、J-POPなのか洋楽なのか、70年代のヒット曲なのか80年代のディスコソングなのか、そのあたりがまったくわからなくなるのだ。国籍や地域性はもちろん、どうしても付いて回る手癖や記名性などもできるだけ切り離し、まっさらな光をイメージして書いたグローバルポップとしての仕上がり。海外ツアーで経験を重ねた今の充実を感じる。(石井)
ジェニーハイ「ノーメイクスター feat.詩羽」
水曜日のカンパネラのほか、ソロアーティストとしても活動を始めた詩羽を迎えたジェニーハイの最新コラボ曲。シンプルなビートと動きのあるベースライン、華やかなピアノとド派手なホーンセクション。歌唱、ピアノ、ホーン、それぞれが主役を張りながらもギリギリで衝突を避けているようなバランスの妙味がまず楽しい。さらに特筆すべきは詩羽の声の強さ。巻き舌のリーディングからドスを効かせた熱唱まで、シンガーとしての多面性をいかんなく発揮。歌っているのはイッキュウ(Vo)と彼女の2人だが、何人のキャラが潜んでいるのか、目が回りそうだ。(石井)
優里「+1」
激しい感情を放つエレキギターに導かれた「+1」には、好きなことを続け、夢や目標を追いかけるなかで生じる迷いや葛藤、そして、諦めそうになってしまう心の動きがリアルに描かれている。もともとは“ざらめ”に提供された楽曲だが、この歌詞を読むとどうしても優里のキャリアを重ねてしまう。「歌いたい」というあまりにもピュアな動機で活動をスタートさせ、強い説得力と高いテクニックを兼ね備えたボーカルによって一歩ずつリスナーを増やしていき、2020年代のJ-POPを代表するアーティストの一人となった優里。何があっても諦めることなくひたむきに歌い続け、〈だから夢が叶った/この景色があるんだ〉と胸を張って声を響かせる「+1」は、彼自身の誇りの表れでもあるのだろう。(森)
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