木村拓哉、“再会の場所”に至るストーリー 楽曲提供者との繋がりから『SEE YOU THERE』を紐解く
木村拓哉のニューアルバム『SEE YOU THERE』が8月14日にリリースとなる。タイトルの意味は“あの場所で会おう”。この題名は、前作『Next Destination』(2022年1月)から続くストーリーと強く結びついている。
前作『Next Destination』は、コロナ禍真っ只中にリリースされた。山下達郎、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)、糸井重里、Creepy Nuts、鈴木京香、平井 大、Kj(Dragon Ash)、MAN WITH A MISSION、明石家さんま、BEGINらが楽曲を提供した本作では、ボーカリスト/アーティストとしての木村の新たな深みが表現されていたと同時に、“こんな困難な時だからこそ、みんなで次の目的地を探そう”という思いが込められていた。
2022年2月、3月には『Next Destination』を携えた全国ツアーを開催。“マスク着用・声出し禁止”という制約のなか、バンドメンバー、ダンサーとともに素晴らしいステージを作り上げた。このツアーの映像作品『TAKUYA KIMURA Live Tour 2022 Next Destination』のメイキング映像のなかで木村は、『Next Destination』というタイトルについて、こうコメントしている。
「この2年間過ごしているなかで、“元通り”という感覚が変化してきて」
「次の目的地を持ったほうが、ひょっとしたらいいのかなっていう頭になっていって。そんな指針を持ったという感じですね」
アルバム、ライブを通して示された“次の目的地”というビジョン。それが新たな作品として結実したのが、“ファンと共に”をメインコンセプトにしたニューアルバム『SEE YOU THERE』だ。
前作で示したメッセージを踏まえ、「自分を支えてくれている人と何か一緒にできないか」という思いを持って制作されたという本作。楽曲を提供したアーティストと木村自身との結びつきもまた、このアルバムの豊かさ、強さ、奥深さになっていると思う。
ここからは、『SEE YOU THERE』参加アーティストと木村の関係性を紐解きながら、収録曲を紹介していきたい。
まずは久保田利伸。木村が主演したドラマ『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)の主題歌「LA・LA・LA LOVE SONG」(久保田利伸 with ナオミキャンベル)は久保田の代表曲の一つであると同時に、90年代J-POPを象徴する名曲。2010年にも木村主演のドラマ『月の恋人~Moon Lovers~』(フジテレビ系)の主題歌に久保田の「LOVE RAIN ~恋の雨~」が起用されるなど、長年にわたって関係が続いてきた。今回のアルバムにはオーセンティックなファンクナンバー「No Night, No Starlight」(作詞:前田甘露、作曲:久保田利伸、編曲:柿崎洋一郎)、ソウルフルなバラード「ʻCause I love you」(作詞:佐藤舞花、作曲:久保田利伸、編曲:柿崎洋一郎)の2曲を提供。どちらもグルーヴィな木村の歌声を楽しめる楽曲だ。
続いては竹内まりや。1995年発表の「今夜はHearty Party」に木村がコーラス&セリフで参加。また木村主演のドラマ『眠れる森』(1998年/フジテレビ系)に竹内の主題歌「カムフラージュ」が起用されるなど、何度かのコラボレーションを実現させてきた。今回提供された「“10月の恋人たち(Lovers in October)”」(作詞・作曲:竹内まりや、編曲:多保孝一)はブルージーなギターのイントロから始まるロッカバラード。50代になった木村が歌う、超ピュアなラブソングだ。
さらにSUPER BEAVERの柳沢亮太も参加。SUPER BEAVERは昨年12月、木村のラジオ番組『木村拓哉 Flow』(TOKYO FM)のマンスリーゲストとして登場している。「ここにいる」の作詞・作曲・編曲を手がけた柳沢は「子どもの頃から一方的に観続けてきた木村拓哉というその『人』を、自分なりに想って想って書いた楽曲」とコメント。生々しいバンドサウンドと〈いつでも隣にいるわけじゃないけど/追い風になれやしないかと/願ってる〉という歌詞が響き合うパワーソングだ。渋谷龍太のコーラスと木村のボーカルが重なる瞬間も、この曲のハイライトだろう。