Def Tech、25周年に向けて歌の力で起こすビッグウェーブ 旧友 JQとのコラボで届けるメッセージ
結成から24年目を迎える今年の夏も、Def Techは全国の夏フェスを駆け巡って元気な姿を見せてくれている。その歌が時代を超えて愛されていることは、結成20年目の2020年、初出演したYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で歌った代表曲「My Way」の視聴回数が、すでに5000万回を突破していることからもわかる。往年のファンだけでは、それほどのビッグウェーブは起こせない。ましてやメディアに頻繁に登場したり、タレント的な活動もするようなタイプのアーティストでもない。歌の力。それ以外に説明する言葉が見当たらない。
ShenとMicroの2人が作り上げた“ジャパン+ハワイ+ジャマイカ=ジャワイアンレゲエ”というスタイルは、ジャンルも国も世代も超えたユニティを表現するピースフルな音楽だ。音楽的にはレゲエとヒップホップ、ハワイアンとJ-POPの良質なミクスチャーで、それぞれの味わいが絶妙なバランスで共存する。寿司で言えばカリフォルニアロールの旨さに近いかもしれない。伝統の上に新しいセンスとアイデアを乗せたフュージョン料理。ライブパフォーマンスを見ても、テンプレートな一体感とは一味違うフリーダムな空気感と、オーディエンスによる思い思いの自由なダンスがそこにある。
近年はゆったりとマイペースな活動ぶりだが、このところリリースも精力的で、昨年夏に「Automatic」「Weakends」を、今年もこれまでに「Ring D Alarm」と「MAMA -beat by DJ YUTAKA-」の2曲をリリースした。さらに『“Double Up” Tour 2024』と題した対バンツアーで共演したMONKEY MAJIKとのコラボ曲「O.G. Summer」もリリースした。結成25周年を目前にした活発な動きに、新しいビッグウェーブの予感がする……と思ったところへ届いたのが、7月15日、海の日にリリースされたブランニューソング、JQ from Nulbarichがプロデュースを手掛けたコラボ曲「FANTASY」だ。
耳を澄ますと、遠くから次第に高まる波音のようなビートが聴こえてくる。シンプルなハットの刻みとたおやかなエレクトリックギターに重なるように、力強く深みあるShen、温もりと柔らかさを兼ね備えたMicro、それぞれのボーカルが言葉を紡ぐ。フックでは2つの声が1つに重なり、ゴスペルクワイアのような広がりで包み込む。リズムはレゲトンだが、チルアウト向きの穏やかなエレクトロビートに味つけされ、耳に優しい。
作詞はJQとDef Techの3人で、作曲・編曲・プロデュースはJQ。「FANTASY」は一足先に全国公開された映画『エンドレス・サマー デジタルリマスター版』のタイアップソングで、1966年に初上映された伝説のサーフィン映画と、音楽とサーフィンをこよなく愛するShenとMicroの相性は言うまでもなく抜群だ。セカンドヴァースでは2人の声が寄せては返す波のように絡み合う。JQが作り上げたトラックは、精密なエレクトロニックミュージックに人肌の温もりをプラスした、彼独特なもの。実は3人の出会いはかなり昔に遡る、いわば旧友だ。JQはDef Techの初期曲「Emergency」に、特別な思い入れがあると語っている。そんな関係だからこそ共有できる、音楽のマジックが確かにここにある。