ゴールデンボンバー 鬼龍院翔、普通よりも“変”でいたい理由 TikTok、YouTube……“世間の流行”とのリンク

 ゴールデンボンバーが現在『ゴールデンボンバー「金爆はどう生きるか」~意外ともう結成20周年ツアー~』を開催している。今回、ツアー真っ只中の鬼龍院翔にインタビューをする機会を得た。先日SNSでも話題を呼んだ広島・山口公演の宣伝用TVCMの狙いから岡崎体育・ヤバイTシャツ屋さんのライブ宣伝方法について、そして結成20周年を迎えて新たに思う「普通よりも“変”でいたい」という実感まで、じっくり1時間にわたって近況を語ってくれた。(編集部)

岡崎体育くんは「チケットの売れ行きがよくない」という逆境を乗り越えた

ーー現在、全国ツアー『ゴールデンボンバー「金爆はどう生きるか」~意外ともう結成20周年ツアー~』真っ只中ですが、ツアーといえば広島・山口公演の宣伝用に制作したTVCMが大きな話題になっていました。地方ローカルCM風と言っていいのでしょうか、絶妙な手作り感が印象に残る映像でした。

鬼龍院翔(以下、鬼龍院):ロックバンドのライブのCMって「全国ツアー! 熱狂のライブ! お問い合わせは〇〇へ!」みたいなものが多いじゃないですか。だから、その逆を行こうと。なので、「地方公演だからローカルCM風」という意図はなくて、ライブの告知なのに落ち着いた雰囲気の映像だったら目立つんじゃないか、という思惑でした。

ーーそうだったんですね。

鬼龍院:印象に残ってくれるのであれば、どのように受け止めてもらっても構わないと僕は思っていて。とにかく人がやらないことをやりたいので、「変だな」と思ってくれたらそれでいいんです(笑)。

ーー実際にその戦略は成功していますし、これまでもゴールデンボンバーはトリッキーな手法で宣伝をしている印象があります。また、その一方で5月11日に配信された『泥船放送室』(ニコニコ動画で配信されている鬼龍院翔個人のチャンネル)で、鬼龍院さんは「宣伝はアーティストの仕事ではない」ともおっしゃっていました。

鬼龍院:本来アーティストは(宣伝の)専門家ではありませんから。僕や、あるいは岡崎体育くんだったりヤバイTシャツ屋さんだったりは、長く活動を続けていて、おふざけというか、コミカルなことをやるというイメージを一般的にも持たれていると思うんです。こんなこと言うと失礼かもしれないけど、体育くんだったら「チケットが売れていない状況でも、きっと面白いことをしてくれそう」という気がしちゃうんですよ。

ーーこれまでの活動で培ったイメージやキャラクターがありますからね。

鬼龍院:でも、そういったキャラクターではないアーティストさんだったり、もし新人だったりすると、「突然必死になってるけど大丈夫?」と思われると思うんですよ。宣伝が得意ではないアーティストはそこに頭を使うよりも、いい音楽を作ることに時間を割いたほうがいい。場合によってはアーティストとしての魅力も失いかねないですしね。諸刃の剣でもあるので、こういったやり方は、これまでの表現のなかに笑いがあった人の特権といえるかもしれません。

ーーとはいえ、コミカルなタイプのアーティストでも、今後ツアーや大きなライブごとに「チケット買ってください!」となると?

鬼龍院:「毎年これができる」とは誰も考えてないですよ。僕はもちろん、他のアーティストさんもそう考えているはず。万が一、来年のチケットの売れ行きがよくなかったとしても、まったく同じ手は使わないと思います。有名になる人は、いろんなアイデアで逆境を乗り越える力があるんですよ。だから、体育くんは「チケットの売れ行きがよくない」という逆境を乗り越えたわけですから、もし仮に来年似た状況になったとしても、来年はまた別のやり方を編み出すと思います。

X、TikTok、YouTube……鬼龍院翔が考える“世間の流行”とのリンク

ーーゴールデンボンバーのネタは、時事ネタからネットミームまでさまざまな要素が盛り込まれています。鬼龍院さんは普段からどんな情報をチェックしているのでしょうか?

鬼龍院:X(旧Twitter)のおすすめ欄を見ることが多いですね。あそこは「世間で見られているもの」が流れてくるわけですから。今世間では何が話題になっているのか、流行っているのか、怒られているのかを見るには、今でもXは便利に使っています。あとは似たようなものなんですけど、何万回以上リポストされている投稿を紹介するBOTアカウントがあるんですよ。それもチェックしています。流行っているものには必ず理由があるので、何万回もリポストされている投稿には、そうなる背景があると思うんです。それを自分のなかで解明できるまで考える……ということをよくやります。

ーーX以外に世間の動向をチェックするものはありますか? たとえば、TikTokやYouTubeなどは。

鬼龍院:見なくはないけど、たまにですね。TikTokは自分の興味のある動画ばかりが流れてくるようにカスタマイズされてる仕組みじゃないですか。僕の場合は大体ニーハイソックスを履いている女性の動画だらけになるので、参考にならないんですよ。本当に……ニーハイを履いた女性ばかりが……流れてきて……。

ーーその話は一旦置いておきましょう(笑)。では、YouTubeはいかがですか?

鬼龍院:YouTubeの急上昇ランキングはたまにチェックしますけど、よく知らない人たちがよく知らないことで炎上して謝罪していたりするので……“世間の流行”の参考にはならないことのほうが多いかもしれません。そうだ! 最近観たYouTubeだと、VTuberのしぐれういさんの配信は面白かったです。

ーー「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」で知られる、イラストレーターとしても活動されているいわゆる“個人勢”のVTuberですね。

鬼龍院:生配信がおすすめに出てきていたので、何気なく再生してみたんですけど、これが面白くて! 9歳という設定なので、普段は子供らしいアニメ声で視聴者からのコメントに返信しているんですけど、「ういちゃんかわいいよ」みたいなコメントには「ありがとう」ってアニメ声で返すんですね。それが「ういちゃんのランドセルいい匂いがする」といった一歩踏み込んだコメントがくると、素の声で「うわきっしょ」となる(笑)。そこからまたすぐに普段のキャラクターに戻る……みたいな。

ーーたしかに、一歩踏み込んだ芸風ですね。

鬼龍院:若干ブラックな面がある方が面白いと思うんですよね。視聴者のボケとツッコミのキャッチボールが面白くて、コント番組としてもよくできているコンテンツだと思いました。

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