連載『lit!』第110回:10-FEET、マキシマム ザ ホルモン、Vaundy……この夏に響く新たなロックアンセム5選

 連日の暑さに悩まされる一方で、夏フェスシーズンの到来に期待が高まっている今日この頃である。

 先日、本稿でも取り上げた10-FEETが主催する『京都大作戦2024』が開催され、月末には『FUJI ROCK FESTIVAL '24』、8月以降には『SUMMER SONIC 2024』『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』といった大型フェスが控えている。そこで、今回はこうした夏フェスで盛り上がる一曲となりそうな、フェス出演アーティストによる最新ロックアンセムをピックアップした。

10-FEET『helm’N bass』

 パッケージ作品としては、9thアルバム『コリンズ』以来1年半ぶりのリリース。この間、「第ゼロ感」のヒットに始まり、『第74回NHK紅白歌合戦』出場や今春のアリーナワンマンライブ開催と、バンドの活動は大きく広がっていった印象だ。一方、さまざまなインタビューを読んでいると、彼らは以前から何もブレずに、あくまでも自分たちのやりたいことに真摯に取り組んでいるように窺える。『helm'N bass』というタイトルも、“舵を取る”という意味の“helm”から名づけられているのだという。表題曲は、冒頭のレゲエパートからどこか哀愁も感じられるメロディラインに繋がり、この展開がまさに10-FEETらしい。そんななかで、応援歌を務めているの「アサヒスーパードライ × 3x3.EXE PREMIER」にちなんだ〈燦燦〉(3x3)といった言葉遊びも盛り込まれている。

10-FEET - helm'N bass (アサヒスーパードライ × 3x3.EXE PREMIER 応援ソング)

 10-FEETはこれからも自ら舵を取り、自分たちの表現を突き詰めていくのだろう。最後にひとつだけつけ加えると、〈he’s physically gone〉〈GRETSCHを掻き鳴らして〉からはある人物を連想してしまった。

マキシマム ザ ホルモン『キ・セ・イ・ラッシュ』

マキシマム ザ ホルモン 『殺意vs殺意(共犯:生田斗真)』Music Video

 新曲の「殺意vs殺意(共犯:生田斗真)」は、主題歌である映画『告白 コンフェッション』で主演を務め、自身もバンドのファンだと公言している生田斗真から直々にオファーを受けて書き下ろしたという。さらに、シングル『キ・セ・イ・ラッシュ』のDISC1には同曲のバンドバージョンも収録されている。

 DISC2は、それぞれ新しい学校のリーダーズとanoを迎えてリアレンジされた“既成”曲を2曲収録。3組のアーティストに“寄生”しながら、ホルモンと各アーティストの旨味を存分に感じられる一枚になっている。なお、ホルモンが出演する8月4日の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』には生田がゲスト出演することも発表されており、注目のステージとなりそうだ。

Vaundy「ホムンクルス」

ホムンクルス

 Vaundyのロックアンセムといえば真っ先に「怪獣の花唄」が思い浮かぶが、この曲も同じぐらいフェス会場を賑わせる一曲になるのではないだろうか。

 8月2日公開の映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』の主題歌として書き下ろされた曲で、Vaundyは「自分の“個性”とは何か、という葛藤を抱きながらつくっていった」(※1)とコメントしている。不確かな未来へも着実に歩みを進めることを表すような、力強いロックサウンド。イントロから高揚感を誘われるし、後半にかけては新たなメロディラインが展開され、さらに盛り上がる構成になっている。この曲がフェスのステージで放たれる時が楽しみだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる