Kis-My-Ft2「僕たちの頑張りとみなさんの応援があればライブは必ず毎年できる」 ドーム公演を切望し続ける理由

Kis-My-Ft2、ドームツアー東京公演レポ

 Kis-My-Ft2が約2年ぶりのドームツアー『Kis-My-Ft2 Dome Tour 2024 Synopsis』を開催中だ。本ツアーは、タイトルにも含まれる10枚目のアルバム『Synopsis』を携えて行われるライブツアー。6月の京セラドーム大阪公演を皮切りに、7月に東京ドーム、9月にバンテリンドームナゴヤを周る全7公演が開催される。本稿では、7月7日に行われた東京ドーム最終公演の模様をレポート。なお、ライブの内容に詳しく触れるため、名古屋公演を控え、ネタバレを避けたい方はご注意願いたい。

 まず、ライブ開演前にはメディアを集めての囲み取材が行われた。これまでの公演について「楽しかったし、本当に盛り上がった!」「ファンの声が届いている感じがする」と、メンバーは手ごたえ十分の様子。宮田俊哉は「年々ファンの皆さんとの絆が深くなっている」と語り、「男性ファンやカップルでくるファンも増えました」とファン層が広がったことも明かす。

 演出を担った二階堂高嗣は、アルバム収録のメンバープロデュース曲のライブ演出について「それぞれの世界観があって作られているので、あまりタッチしていない」と語ったが、玉森裕太は「ちゃんと形にしてくれた」と希望を叶えてくれたと明かす。また千賀健永は自身のプロデュース曲で振り付けも担当、「世界観は自分たちで作った」と自信を覗かせる。Kis-My-Ft2のライブ名物である通称“特効祭り”では2895発の炎が上がるという情報に二階堂が「ちょっとした花火大会!」と笑うと、「3分の曲で3000発っていうことは、1分で1000発?」と宮田。すかさず横尾渉は「僕たちは(客席から)見えてるのかな?」と笑いを誘うなど、トークでもコンビネーションを見せてくれた。

 今回もライブ衣装を手掛けた玉森は、取材時の着用衣装は「手縫いで一つひとつ作ってもらった」とスタッフへの感謝の想いを語った。キラキラとしたビジューで埋め尽くされたジャケットは「(石が)約3000個ついている」「8キロの重さ」と明かすと会場からは驚きの声が。藤ヶ谷太輔は「踊っている時はスイッチが入っているから重くないんですけど、さっきのフォトセッションの時は……」と腕を下げるジェスチャーで笑いを誘う。

 この日は7月7日で七夕。短冊に託した願いについて、「6人の願いなんですけど、ドームに立ち続けたい。個人的にはキャンプに行きたいです」と二階堂。千賀も続けて、「キスマイとしてドームに出られるように」「個人的には、今日もみんなが千賀ん(洗顔)してくれますように」と美容ジャンルの発信が人気な千賀らしい発言も。玉森は「4、5個書いてみたけど(いい願いが)ピンとこなくて浮かばなかったので、来年、今年の分もふたつ叶えてほしい!」と茶目っ気たっぷりに語っていた。宮田は「今年の夏がもう少し涼しくなりますように。皆さんが願っていることだと思うので、僕が代表して!」と優しさを見せた。横尾はメンバー全員の想いとして「能登半島が復興しますように。復興が遅れてしまっているので……」と話す。最後に藤ヶ谷が「メンバーの願いがすべて叶いますように、です!」と満面の笑みで答え、終始和やかな空気で会見を終えた。

 今回のライブコンセプトは“ゲーム”。リビングを模したメインステージは、ネオンカラーに彩られた巨大な家電で埋め尽くされている。ステージ中央にはテレビ画面の形の巨大LEDモニターがセットされており、OP映像ではメンバーたちが壮大なゲーム世界に飛び込み勇者や魔法使いに変身して活躍する姿が描かれた。LEDの中央がスライドすると、メンバー6人がカラフルな衣装に身を包みステージへジャンプ。ゲームの世界から飛び出してきたかのような登場に、会場は大きな歓声に包まれた。

 この日のオープニングナンバーは、アルバム『Synopsis』のコンセプト楽曲でもある「Loved One」。「大切な人(=Loved One)がいるから前進できる」という強いメッセージを持った楽曲を冒頭にぶつけることで、彼らの意図が明確になる心憎い選曲だ。シンクロ率の高いダンスとボーカルと熱いシャウトで会場の熱を押し上げる。

 続いては、千賀によるプロデュース曲「Keep it 100」。炎の特効が次々と上がるなか、ハードで細やかなダンスとその熱いサウンドによってファンからの歓声があがる。さらに花道をダンサーを引き連れ始まった「A.D.D.I.C.T.」でも、そのパフォーマンスは激しさを増していった。

 熱気そのままに、「SHE! HER! HER!」「キ・ス・ウ・マ・イ ~KISS YOUR MIND~」「Shake It Up」などの定番の人気楽曲をマッシュアップしたメドレーへ。途中、メンバーそれぞれの自己紹介やコール&レスポンスを交えながら、ローラースケートで外周を走りまわったり、トロッコで客席後方すみずみまで巡り、会場の全員とコミュニケーションを楽しむ。人気曲のパワーも相まってファンからの熱い反応に「すごいじゃん!」「最高の思い出を作ろう!」と弾けるような笑顔を見せる6人の姿が印象的だ。

 モニターに映し出された映像は、小人になったメンバーたちが冒険を繰り広げるユーモラスなもの。そんなムービーから飛び出してきたように、メインステージの巨大な家電やクローゼットなどに6人が再登場して披露されたのは二階堂プロデュース楽曲の「Connecting!!」だ。セットに細かく仕込まれたすべり台やトランポリンというギミックを遊ぶように乗りこなす姿は、ドームという大きな舞台を幾度も経験した彼らならではのパフォーマンスと言えるだろう。

 横尾プロデュース曲の「ほしゆい」では、鋭くも妖艶なライティングとダンスパフォーマンスで、和テイストと現代のビートが融合した独自の世界観が作り出されていく。「I Miss You」は、国内のドームライブで使用されるのは初だというスケルトンLEDを使っての演出も秀逸だった。メンバーが電話ボックスや雨のなかにたたずむように見せるシーンもあり、大人っぽいボーカルとダンスで楽曲のストーリーをドラマチックに描き出していく。

 シングル曲でもある「HEARTBREAKER」では、地上17mの高さまで上がるスーパークレーンに乗った6人がスポットライトに照らされる。笑顔を浮かべ歌う彼らの姿からは、「すべての人たちの近くへ行きたい」という想いが伝わってきた。さらに「Kiss魂」「WANNA BEEEE!!!」へと続いていくのだった。

 熱気が冷めやらぬまま突入したMCタイムでは、「今日めちゃくちゃ声出てるね!」「もう一回声聞きたい!」「楽しんでるか!」と客席を盛り上げる。七夕にちなんで「織姫」「彦星」で男女別のコール&レスポンスが行われると、東京ドームはこの日一番の大歓声に包まれた。ファンの体調を気遣いながらの水分補給の乾杯タイムも和やかに進む。ステージセットを紹介する場面では、階段がこれまでのDVD作品になっていたり、本棚を模したセットには宮田が手がけた小説『境界のメロディ』(KADOKAWA)の文庫本が仕込まれているなど、グループ愛が込められていることに客席からも感嘆の声が起こる。衣装を担当した玉森やグッズを監修した宮田、振り付けを担当した千賀……次々と拍手を求める場面など、笑顔で穏やかなMCが繰り広げられた。

 「Chillax'」はせりあがる円形ステージに腰掛け、ゆったりした空気で歌われた。ライムの心地好さや、歌声のあたたかさ、それぞれの声の魅力を活かしたパフォーマンスに、客席もリラックスした空気で音楽を楽しむ。「みんなと一緒に踊りたい。真似して踊ってください!」と呼びかけ、ペンライトを使った演出で会場をひとつにしたのは「Forever girl」。光で会場がひとつとなり、歌詞の通りキスマイとファンの約束を交わすような光景が美しい。宮田も「すごくきれい! 天の川みたいでした。みんなは僕たちのForever girl!」と喜びを爆発させた。

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