JUBEE × AA= 上田剛士、世代を超えたクロスオーバー 自由な刺激を混ぜ合ったコラボの背景
何でも始めやすい時代に必要な“突き詰めていく力”
――JUBEEさんは、今の自分がやってることを「ミクスチャー」だと、かなり意識的に口にしていますよね。剛士さんも90年代にはそれに近い音楽をやっていたことがあります。
上田：ミクスチャーって言ったことは一度もないけどね。ミクスチャーってジャンルだと自分で思ったことは一度もない。あれはあれで、ひとつのジャンルとしてあるじゃないですか。そこにとらわれたくないし。
――確かに、昔のミクスチャーはひとつのジャンルだった。今はもっと自然に混ざり合っている印象があります。別にロックバンドがやるものと決まっているわけでもない。
上田：クロスオーバーってことだよね。感覚としては。
JUBEE：うん、クロスオーバーだと思います。
――混ざり合う面白さって、どういうものでしょうか。
上田：どういうものだろうね？ 単純に好きじゃん。新しく聴いて「あ、これカッコいいな」って思うものがあったら、そこに自分も影響されるし、取り入れたくなる。ただ、その取り入れ方がひとつの型にはまっちゃうとつまんないなと俺は思ってるので。他の人がやってない組み合わせ方をしたい。あとは、自分がやってきたものとはガラッと変わっちゃうのもまたつまらないし。新しいものを自分のサウンドにどう組み合わせていけるか。それをどんどんやってきた先に、今の自分があるから。
JUBEE：僕は常に、同業者含め、ファンのみんなを毎回びっくりさせたい気持ちがあって。「今みんなこういうことやってないから、こういうのやろう」って、毎回全部逆張りで活動してる。そこから新しい発想が生まれてくるし。あとは剛士さんと僕がやること自体も、音楽じゃなく、人と人のクロスオーバーだと思うんで。毎回クロスオーバー感は大事にしてます。
上田：まぁ結局は好きだってことだよね。その音とか、そのカルチャー、そこに漂ってる空気、雰囲気、見える色。そういうもの全部に影響を受けて好きになって、自然と自分の中に表れてくる。それが一番カッコいいんじゃないかな。その方法論を真似したいとか、方法論に影響を受けちゃうと、またちょっとテクニカルな話になっちゃう。もう少し純粋に「この音カッコいい」――その「カッコいい」をどうやって自分の中に取り入れられるんだろうって組み合わせ方を考えていくのが、たぶん一番理想だなと自分では思ってる。
JUBEE：実験みたいな感じですよね。
上田：そうそう、常に実験だよね、曲って。常に同じモチーフを繰り返すこともあるし。絵を描く人って、同じもの、たとえばリンゴの絵ばっかり生涯描いてる人がいたりする。それに近いかもしれない。でも一個一個は全然違って、新しい何かがどんどん入ってきて。なんか自分のモノ作りにはそういう感覚がある。今回はJUBEEというまた全然別の要素が入ってくることで、何か開いていくものがあるし。楽しいですよ、それが。
――今って、違うジャンルの音楽が混ざり合っても「それは変だ」と言われなくなった時代ですよね。
JUBEE：そうですね。めちゃめちゃわかる。僕の世代はかなり自由になってきてる。今はいろんな音楽の人がいて、自由に発信してますね。
上田：昔とは違うよね。昔はいろいろ言われ、ディスられるのが文化というか。普通に新しいものに挑戦すると、反対意見がガンガンあったから。先輩みたいな人たちから「お前らは〇〇じゃねえ」って必ず言われた。
JUBEE：あ、でもヒップホップもありますわ。見た目的には全然B-BOYじゃないラッパーも今は増えましたけど、僕がもっと若い時はそれこそB-BOYみたいな見た目じゃないと「ヒップホップじゃない」って言われる。そういう時代だった。
上田：だから今はすごく自由だよね、いろんな意味で。自由に何でもできるから、逆に何をやるか、何をやれるかが問われるのかもしれない。
JUBEE：あぁ、そうですね。枠がなさすぎて。
上田：そうそう。みんながそれを簡単にやれる時代だから、同じ方向に行きやすい気もするし。本当に才能のあるヤツ、根性のあるヤツが天下を取るっていう意味では変わらないかもしれない。環境が違うだけで。
JUBEE：何でも始めやすくなってるからこそ、突き詰めていく力みたいなものがないと。僕が昔ビートを作り始めた時は、スマホの「iMASCHINE」っていうアプリがあって。それでアルバムを作ったことがありました。
上田：作れちゃうんだもんね。それなりにいいものが。
JUBEE：作れましたね。それをSoundCloudにアップしたのがCreativeDrugStoreっていうグループに入るきっかけになるんですけど。全部スマホでレコーディングして、ビートも全部スマホで作って。それは突き詰めるエネルギーが必要でした。
上田：アプリであるとか、そういう自分が一歩踏み出せるきっかけとの出会いって大事だよね。俺らの時代だと、カセットテープに録音することができるようになった。MTR。今はコンピュータでやっちゃうけど、あれがあったことは自分が音楽を作る意味でも大きかった。4トラックだけでも、自分の音を4つ重ねられるようになったわけだから。それは曲作りを変えたからね。
JUBEE：しかも、その4トラックの中でいかにやっていくか、みたいな試行錯誤がアーティスト性を成長させるところでもあると思うんで。
上田：そうそう。あれはあれで楽しかった。
JUBEE：僕、MTRはやったことないですけど、楽しそうだなぁとは思います。
上田：消しちゃったりしてね、せっかく録ったやつを（笑）。
――最後、今後についてお聞きします。実はもう1曲コラボをやるという情報も耳にしましたが。
上田：今まさに作ってる。そこで俺たちが納得できるような形が見えたら。リリース予定ありきじゃなくて、俺らが出したいなと思うものを作れた時に、出すと思います。
JUBEE：うん。でもカッコいい曲は必ずできるはず。
上田：そうね。今のところいい感じ。形になったら、きっとみんな喜んでもらえるようになると思います。
――お互い、これからに期待することは？
JUBEE：僕はこれからも剛士さんの背中を追いかけ続けるんで。あの、ずっといていただければ、と思ってます。
上田：いや、今はもうJUBEE世代の時代なんで。自分が時代の主役を張ってシーンを作っていく、くらいの、面白い世界にしてほしいです。
JUBEE：わかりました。頑張ります。
■リリース情報
2024年第3弾 Single「PICK UP THE PIECES (Mass Infection Mix)」
発売日：2024年6月26日（水）
リリース形態：ストリーミング & ダウンロード
リンク：https://jubee-cds.lnk.to/PICK_UP_THE_PIECES
■ツアー情報
『JUBEE 2nd Album Tour 2024』
〈イベント詳細〉
日程：2024年8月9日金曜日
会場：奈良 Neverland
時間：OPEN 18:30 / START 19:00
チケット（オールスタンディング）：Adv. ￥4,500 / Door. ￥5,000 / U-20 ￥4,000 （各税込・ドリンク代金別）
出演者：JUBEE and more
日程：2024年8月23日金曜日
会場：福岡 The Voodoo Lounge
時間：OPEN 18:30 / START 19:00
チケット（オールスタンディング）：Adv. ￥4,500 / Door. ￥5,000 / U-20 ￥4,000 （各税込・ドリンク代金別）
出演者：JUBEE and more
日程：2024年8月24日土曜日
会場：神戸 RINAKAITEN
※-Otohatoba 10th Anniversary Partys
時間：OPEN / START TBA
＜奈良・福岡公演対象＞
チケットぴあオフィシャル先行：https://w.pia.jp/t/jubee/
応募期間：6/26（水）19:00～7/4（木）23:59
