INI、稲葉浩志、10-FEET、Kroi、RIIZE、tuki. ……注目新譜5作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はINI「LOUD」、稲葉浩志「ブラックホール」、10-FEET「gg燦然」、Kroi「Stellar」、RIIZE「Boom Boom Bass」、tuki.「星街の駅で」の6作品をピックアップした。(編集部)
INI「LOUD」
最新シングル『THE FRAME』の1曲目を飾るナンバー。イントロで響くのは低音を強調したシンセ。この曲が柔らかさよりも激しさを重視したHIPHOPであることは当然予測できたが、実際の“ラウド”指数はちょっと規格外であった。サビ以降、特に中盤〜後半がとんでもなく、ここまでブチ込んでくるかと思う高速ビートの連打、さらに全員が声を荒らげて叫ぶ〈争え もっともっと Louder〉のあたりは、ほとんどメタル系ラウドロックに近いカタルシスがある。MVを見てようやくダンスのキレが際立つボーイズグループだったと思い出すが、共演相手によってはフロアでモッシュピットが起きても不思議はないだろう。それくらい大胆に攻める一曲。(石井)
稲葉浩志「ブラックホール」
B'z 稲葉浩志が10年ぶりのソロアルバムに冠した『只者』というタイトルは、“普通の人、世間並の人、凡人”という意味。誰がどう見ても日本のロックスターである稲葉が“何者でもないひとりの人間”として言葉やメロディを綴った本作の核になっているのが、「ブラックホール」だ。〈暗闇を見つめた/穴があくほど〉という独唱からはじまるこの曲で彼は、これとは違う人生があったのではないか?という自問自答を巡らせている。もちろん結論が出るはずもなく、結局はブラックホールのような自意識に吸い込まれていくのだが、この内省的な歌詞を豪快なハードロックへと昇華する剛腕ぶりに圧倒されてしまう。突如としてテンポアップするエンディングで炸裂するシャウトも強烈だ。(森)
10-FEET「gg燦然」
『2024 ABCプロ野球』(朝日放送)テーマソングとして書き下ろされた新曲。いや、“虎バン主義”のABCと10-FEETが満を持して手を組んだ阪神タイガース連覇祈願ソングというべきかもしれない。〈チャンスは連打 RUN Champは連覇〉と激しく畳み掛けるオープニングは全国の同志たちに火をつけるエネルギーの塊のよう。ただし、これがヴァースなら、コーラスはまったく別。メロディアスなムードはもちろん、テンポすらがらりと変えてしまう。いわば二つの楽曲を行き来して成立する構成だが、強引に繋いだ印象がないのはさすが。結果的には「今この瞬間がすべて」というスポーツ観戦の熱気と、「何年も先の未来を見る」という愛のメッセージが同居した一曲に。(石井)