Lil かんさい、“一舞入魂”に込めた5年の歩みとステージへの思い 初の東京単独公演レポ

Lil かんさいガーデンシアター公演レポ

 今回のライブでは、5人のソロステージも大きな見どころとなった。「Think u x.」(藤ヶ谷太輔 /Kis-My-Ft2)を披露した西村は、パーカーのフードをかぶりメインステージの階段に座る。ピンクの照明がステージを照らす中、ゆっくりとフードを外すとウェーブがかった艶やかなヘアがお目見え。はだけたパーカーから肩が露わに。絶妙なタイミングで客席に背を向ける引き算のような演出を盛り込み、ラストはクールな表情とほんのりミステリアスな空気を漂わせながらステージを後にした。

 会場が赤く染まる中、「痕跡」(二宮和也/嵐)を披露した嶋﨑。歌詞に込められたメッセージや世界観を表現する嶋﨑の姿は、まるで芝居をしているかのよう。感情をたっぷりと乗せた熱い歌唱でオーディエンスの胸を揺さぶった。嶋﨑は今回のライブではゲームコーナーなどのバラエティ部分を手がけるなどステージ構成にも積極的だ。

 大西は「20 -Tw/Nty-」(菊池風磨/timelesz)を披露。この楽曲は菊池が作詞を手がけ、両親への感謝を綴った作品でメンバーからも愛されている楽曲だ。大西は今年2月に20歳の誕生日を迎えたばかり。会場が紫色に染まる中、白い光に照らされながら、マイクを両手で握って愛おしそうに熱唱した。スクリーンには大西の手書きの歌詞のほか、「いつもたくさんの愛情をありがとう」など感謝と愛を手紙にして伝えた。

 岡﨑は「Oh! my darling」(山田涼介/Hey! Say! JUMP)を披露。嶋﨑と大西がバックダンサーとして両サイドにつき、一層華やかなステージに。岡﨑が一輪の花を2人それぞれに手渡したり、後半では自身も花束を持ったりと、まるでショーを見ているかのよう。キラキラとした楽曲の世界観に沿う伸びやかな歌声を響かせた。煌びやかな衣装に負けることなく岡﨑の持つアイドル性を存分に発揮。スマートで華やかで、アイドルならではのステージで会場を沸かせた。

 當間は自身が作詞・作曲を手掛けた楽曲をパフォーマンス。キラキラとしたアイドルの雰囲気をがらりと変え、滑らかで熱いフロウでオーディエンスを魅了。作詞・作曲に加えて構成まで、初めて全てを担当したという。マイクを通してメッセージを伝える真剣な當間の姿は、まさに“一舞入魂”。緑の灯に包まれながらマイクを握って集中する姿は、作品やステージに注ぐ並々ならぬ情熱が伝わってきた。

 後半は「初心LOVE」(なにわ男子)、「君の彼氏になりたい。」(Snow Man)と続け、ユニットでまた新たな魅力を打ち出した。嶋﨑と西村による「愛のかたまり」(KinKi Kids)では、アイドルとしてど真ん中を射抜くステージで魅了。「King & Queen & Joker」(timelesz)ではトランプの衣装をまとった大西、岡﨑、當間がパフォーマンス。トランプの“JOKER”をまとった當間は、ラップ詞にJOKERがクレジットされている「Real Face」(KAT-TUN)でラップを披露と、衣装と楽曲をリンクさせる細部へのこだわりも。

 「2 Faced」(なにわ男子)では心音のような重低音と炎のスパークが光る中、ダークで大人の魅力を覗かせた。続いて大きなスクリーンにステンドグラスが映し出されると、「シンデレラガール」(King & Prince)、「ダイヤモンドスマイル」(なにわ男子)と、アイドルの王道ソングを披露。東西のアイドルソングを筆頭に、様々なジャンルを滑らかに射抜くようにパフォーマンスできるのはLil かんさいならでは。最後はオリジナル曲「Lil miracle」で本編のラストを飾った。

 アンコールではTシャツ姿で登場した5人。トロッコで客席を回り、うちわのメッセージに応えたり、じゃんけんをしたりとたっぷりとファンサービス。ラストはLil かんさいのオリジナル曲「Tell me! Tell me!」を披露。中盤では西村が「一緒に寝る?」と首をかしげると客席から悲鳴のような歓声が。最後の最後まで楽しませようとするメンバーの心意気が伝わってきた。

 最後は5人揃って深々と挨拶。“一舞入魂”と掲げて幕を開けた今回の単独ライブ。2時間に及ぶステージからは、彼らがこれからの関西ジュニアを牽引し、新時代を切り拓いていくという前向きな姿勢が伝わってきた。

 個性を存分に発揮したパフォーマンスがありつつも、グループとしてのパフォーマンスとなればLil かんさいとしての色が出る。東西の様々なグループの楽曲の中から幅広いジャンルを選んで披露した今回のライブでは、彼らのマルチさを印象づけた。中学生から活動を開始し、全員が20代に突入した現在。コロナ禍で思うように活動できない時間はあったものの、5年という長くも早くも感じる月日の中で、一歩一歩、着実に歩んで来たことが伝わるステージだった。“一舞入魂”と筆文字で強い意志を表した5人。これからどんなアイドルグループとして羽ばたいていくのか、Lil かんさいのこれからに注目したい。

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