米津玄師、椎名林檎とのっち、Number_i、NewJeans、ヨルシカ、マカロニえんぴつ……注目新譜6作をレビュー

NewJeans「How Sweet」

NewJeans (뉴진스) 'How Sweet' Official MV

 6月26日、27日に予定されている初の東京ドーム公演は瞬く間にソールドアウト、韓国国内での学園祭ツアーなど奔放な活動を続けているNewJeans。新曲「Hot Sweet」は80年代後半〜90年代前半に流行したマイアミベース(ヒップホップのサブジャンル)を進化させたトラックメイク、軽快にしてグルーヴィーなボーカル/ラップを軸にしたナンバーに仕上がっている。抑制の効いたサビのメロディもそうだが、エモくなりすぎず、幅広いリスナーの日常にフィットする優れたポップソングと言えるだろう。メンバーのDANIELLEも参加している歌詞は、“どれくらいか甘いか知ってるの?”と呼びかけるラブリーで切ない内容。MVにおける90'sヒップホップ風ファッションも間違いなく、この夏のトレンドになりそうだ。(森)

ヨルシカ「ルバート」

ヨルシカ「ルバート」

 初のアナログ7インチシングル表題曲。通常のバンド編成にサックスとトランペットが加わった軽快なポップスだ。「ルバート」(Tempo Rubato)とは音楽の速度記号で、自在にテンポを変える表現方法を指す。歌い出しにあえて作った空白や、二番のサビ手前で全員が音を止めるところなどが、まさにルバートの醍醐味。歌詞にも〈ダカーポ〉や〈ヴィヴァーチェ〉などの音楽用語を散りばめ、〈飽きのないものをずっと探していたわ〉と歌うこの曲は、ヨルシカなりの音楽讃歌だろう。とはいえ〈ポップ〉という言葉を決して肯定的に使わないのが作者n-bunaのねじれた感性であり、そういう歌もふわっと明るく聴かせてしまうsuisの存在が、ヨルシカ特有の面白さを作っている。(石井)

マカロニえんぴつ「poole」

マカロニえんぴつ「poole」MV

 4曲入りEP『ぼくらの涙なら空に埋めよう』収録曲のひとつで、「紅茶花伝」CMソング。レイドバックしたバンドサウンドと鍵盤によるロックンロールで、一聴すると実にシンプル。アコギ一本でさくっと作ったようにも聴こえるのだが、曲を膨らませる多重コーラス、小粋なピアノ、さらには一定のストロークの裏で熱いソロを聴かせるギターなど、過不足のないアレンジがお見事。シンプルだが終始飽きさせない、もしくは賑やかでもドラマティックになりすぎない、このバランスはバンドがもう若手ではないことを感じさせる。声を張り上げる高音域をあえて避けたとおぼしきラストのメロディも新鮮。秘めたハードロック魂が後半に見え隠れする一曲でもある。(石井)

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