SPECIAL OTHERS、野音で“最後”のワンマンライブ オーディエンスと焼き付ける最高の景色

SPECIAL OTHERS野音ワンマンレポ

 第2部は、ジャムセッションなしに「Journey」からスタート。辺りは少しずつ暗くなり、まるで夕焼けのようなオレンジの照明が高揚感を誘う。いつしか雨も止み、雨雲が少し残るもののその隙間からは空が覗いている。頬を撫でる心地よい風を感じながら、芹澤によるジャジーで夢見心地なエレピが引っ張る美しいジャムセッションに身を委ねていると、ライブの人気曲「THE IDOL」が始まった。柳下が印象的なギターリフを繰り返し、静と動を行き来しながら高みへと上り詰めていくバンドの演奏に、オーディエンスはぴょんぴょんと飛び跳ねながら全身で応えた。

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 アブストラクトかつ、スピリチュアルな雰囲気のジャムセッションからなだれ込んだヘビーシャッフル曲「WAVE」は、ダブっぽいエフェクト処理に酩酊感を覚えつつ、宮原と芹澤が歌うアイリッシュ〜スコティッシュな香り漂うサビメロに思わずグッとくる。すっかり暗くなり、まばゆい照明に照らされたメンバーたちが緩急自在なアンサンブルを奏でる「AIMS」では、サウンドスケープが目まぐるしく変化するたびに客席からは歓声が湧き上がった。

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 「皆さん、ちゃんと目に焼き付けました?」と宮原が客席に呼びかけ、「この景色で野音を見るのは最後になっちゃうんですよ、残念ながら」と芹澤も続ける。「でも来年、もしまたやったらごめんなさい(笑)。ほんと、俺たちもなんとも言えない絶妙な気持ちで演奏してるし、みんなもそうだと思うんだけど……もうめんどくさいから最後だよ今日!」と宮原が言い切ると、再び会場は笑いに包まれた。

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 そして、そんな野音での最後の演奏(?)を名残り惜しむように「Laurentech」を披露。サビのメロディをみんなで歌って本編を終了し、アンコールではジミ・ヘンドリックスやディープ・パープルもかくやと言わんばかりのヘビーサイケデリックファンク「BEN」で今日のライブを締め括った。

 野音といえばスペアザ、スペアザといえば野音。現在の野音での演奏が、本当に今日で見納めになるのかと思うと寂しいが、この景色を記憶に焼き付けつつ新しい野音でもまた数々の名演を残してほしい。

■セットリスト
1st
M1.Anniversary
M2.Uncle John
M3.STAR
M4.PB
M5.I’LL BE BACK

2nd
M1.Journey
M2.THE IDOL
M3.WAVE
M4.AIMS
M5.Laurentech
ENC:BEN

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