石野理子×すりぃ×やまもとひかる×ツミキによるスーパーバンド“Aooo”とは? 個性が共生する予測不能な音楽性
Aoooというバンドを知っているだろうか? 昨年9月に初のライブステージを飾り、耳が早い音楽ファンの間で話題となっているバンドだ。
メンバーは石野理子(Vo)、すりぃ(Gt)、やまもとひかる(Ba)、ツミキ(Dr)の4人。石野は2021年5月に赤い公園としての幕を閉じ、ソロアーティストとして、ゲストボーカルとして、時に俳優としてマルチに活躍。すりぃは、ボカロPとしてだけでなく、Ado、MAISONdesへのクリエイターとしての楽曲提供、さらに昨年はシンガーソングライターとしての全国ツアーを成功させている。ももいろクローバーZやYOASOBIをサポートするベーシストとして確固たる地位を築いているやまもとは、ベースボーカルでのソロアーティストとしても活動。ボカロPとして知られているツミキは、みきまりあとのユニット・NOMELON NOLEMONとしても活動し、「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」 (MAISONdes feat. 花譜、ツミキ)、「ビビデバ」(星街すいせい)といったクリエイターとしての側面も持ち合わせている。
すりぃ、やまもと、ツミキの3人からは、キタニタツヤ、Ayaseといった共通の繋がりが見えてくるが、この3人がバンドを組むことになり、ボーカルとして石野を誘ったのがAoooの始まり。この原稿執筆時点でのライブの回数は片手で収まるほどながら、5月6日にYouTubeチャンネルに公開された初のスタジオライブでは、驚くほど完成されたバンドとしてのパフォーマンス、そして一体感が画面越しからも伝わってくる。
その理由は、先述した4人の経験値がそのままステージングへと存分に生かされていることにある。分かりやすく言ってしまえば、Aoooは精鋭が集まったスーパーバンドだ。例えば、石野はフロントマンながら末っ子的なポジションでもあるが、アイドルネッサンスとして本格的にステージに立ち始めたのは10年前の2014年。彼女は赤い公園の解散後も、ソロとしてはもちろん、TikTokを通じて多様なジャンルの楽曲を歌い続けてきた。スタジオライブは、現在ライブ会場で販売している1st DEMO EP『Demooo』収録の4曲を順番に披露していく形式で、「イエロートイ」ではキーボードを、さらに「リピート」ではストラトキャスターを肩にかけてパフォーマンスした石野。赤い公園時代から彼女を見てきたファンであれば感慨深い姿でもあり、すでにバンドとして完成していながらもさらなる余白を残しているとも言える。
観ていてハッとしたのは、石野だけでなく、すりぃ、やまもと、ツミキもボーカリストとして活躍する、歌えるメンバーだということ。「リピート」の大サビでは、すりぃのコーラスに加えて、やまもと、ツミキが合流し、混声合唱によってメロディの哀愁をより強めている。そのように全員が主役のバンドというところでも、Aoooは可能性に満ちた組み合わせのメンバーである。