レベッカ NOKKO、BARBEE BOYS 杏子、SHOW-YA 寺田恵子……色褪せない80年代女性ロックシンガーの歌声

 BARBEE BOYSは、REBECCAと同じく1984年にメジャーデビュー。KONTAと杏子の男女によるツインボーカルという独自のスタイルで、「女ぎつねon the Run」や「目を閉じておいでよ」などがヒットし、1988年には東京ドーム公演も開催している。

バービーボーイズ「目を閉じておいでよ」MUSIC VIDEO

 KONTAのハスキーなハイトーンボイスに対して、杏子のボーカルは、女性にしては低音で実に情熱的だ。KONTAとは異なるハスキーさを持った声質からは、人生経験の豊富さを感じさせ、どっしりと構えた低音からは安心感が生まれる。色香漂う艶やかさと包み込むような優しさを併せ持った歌声から繰り出される表現は、杏子の真骨頂だと言えるだろう。前述のNOKKOが永遠の少女であるならば、杏子は生まれ持っての姉御肌だったと言える。実際に所属事務所であるオフィスオーガスタでも、所属アーティストという立場を越えて後輩アーティストたちを束ねている。

SHOW-YA - BATTLE EXPRESS @Live『39周年突入!THANK YOU!TOUR』東京公演

 一方、寺田恵子はSHOW-YAを結成して1985年にデビュー。バンドと言えば男がやるものだという当時の既成概念を覆し、卓越した演奏テクニックとパワーで日本のハードロック/ヘヴィメタルシーンに燦然と輝いた。女性アーティストだけのイベント『NAONのYAON』を1987年から主催するなど、今も多くの女性ロックアーティストから信望を集めている。

 キャッチーなギターリフにノリのいいビートが重なる「私は嵐」は、寺田のパワフルなハイトーンが魅力。声のパワフルさと爽快感は、まるで雲を切り裂くよう。続くギターソロも様式美に則っており、ハードロック/ヘヴィメタルのお手本のような楽曲だと言える。一方、スピード感あふれるビートに乗せて、歌謡曲的な分かりやすいメロディを圧倒的なパワーで歌い上げた「限界LOVERS」。スリリングなビートに続けて繰り出される、目の前が大きく開けるようなサビの開放感は唯一無二の存在感だ。豪快なシャウト、エネルギッシュなロングトーン、圧倒的なパワー。そこに女性ボーカルならではの、しなやかさと細やかさが加えられることで、オンリーワンの歌声が実現されている。

 SHOW-YAは、5月18日に東京・日比谷公園大音楽堂で『NAONのYAON 2024』を開催。PRINCESS PRINCESSの渡辺敦子と富田京子の出演も話題となっており、当時人気を二分した両者の共演に期待が高まっている。

 この3人の他にも、パンクの歌姫・戸川純、「麻里ちゃんは、ヘビーメタル。」というキャッチコピーで鮮烈なデビューを飾った浜田麻里など、個性豊かな女性ロックボーカルが多数存在した1980年代。音楽の聴かれ方も在り方も多様性が求められ、本当に個性が光る者しかデビューすることが許されなかった時代。選び抜かれ、磨きあげられた個性であるからこそ、40年経った現在でもその輝きは色あせていないのだろう。

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