ICEx、クールで大人な新しい表情 8人ならではの“おまじない”や東名阪ツアーを経た成長も
今年3月31日に結成1周年を迎えた、8人組ダンスボーカルグループ ICEx。スターダストプロモーションが手がけるEBiDANの一員として、「全ての愛を愛す」をコンセプトにレトロトイポップを軸に据えて活動する彼らが、5月8日に3rdシングル『ビリミ』をリリースした。
本作は彼らのイメージを一変させるような、グルーヴィでクールな楽曲が詰まったシングルだが、どのような思いや考えを持ちながらレコーディングに臨んだのだろうか。制作過程や、3月に開催した東名阪ツアー『ICEx First Concert Tour 2024「SCRAMBLE PARTY!」』の振り返り、結成1周年の心境、今後の新たな目標について、メンバー全員に話を聞いた。ときに和気あいあいと盛り上がりながらも、ファンやパフォーマンスへの思いを丁寧に語ってくれた彼らの言葉に、グループの明るい未来を垣間見た。(市岡光子)
グルーヴに乗せて届ける“大人っぽさ”や“かっこよさ”
――「ビリミ」はどんなコンセプトの楽曲なのでしょう?
志賀李玖(以下、志賀):「ビリミ」は“愛を信じて突き進む”という意味を持たせたおまじないの言葉で、ICExが得意とする「レトロトイポップ」に加えて、中毒性のある要素がたくさん散りばめられたおまじないソングになっています。かわいらしい雰囲気のあった1stシングル曲「CANDY」、2ndシングル曲「シブヤ 午後6時」とはまた違った、僕らとしては初めてのかっこいいタイトル曲になっていて、成長を感じていただけるのかなと。「ビリミ」はTVアニメ『逃走中 グレートミッション』(フジテレビ系)のエンディング主題歌にもなっているので、これを機に、もっと多くの世界中の方々にICExを知ってもらえたら嬉しいなと思っています。
――グループ初のタイアップソングですよね。決まったときの気持ちはどうでしたか?
中村旺太郎(以下、中村):僕自身もアニメが大好きなので、歴代のいろいろなエンディングテーマの中の一つになれるというのが、とても嬉しく感じました。
阿久根温世(以下、阿久根):僕もアニメのエンディング曲を担当してみたいという思いはずっと持っていたので、それを実現させてもらえたことに感謝の気持ちでいっぱいです。旺ちゃんと同じくアニメが好きで昔からよく観ているんですけど、やっぱりアニメのテーマ曲は今でも多くの方に聴かれている曲が多い。何年か経った後で、「ビリミ」が「あの曲よかったよね」と振り返ってもらえるような曲になれば、すごく嬉しいなと思います。だから今は、この楽曲をしっかり盛り上げていきたいです。
――レコーディングではどのようなことを意識したのでしょうか。
千田波空斗(以下、千田):今回の「ビリミ」と3曲のカップリング曲にはバチバチのグルーヴ感があるので、そこを強く意識しました。リズムにはめていく歌の収録はちょっと難しかったです。でも、「ビリミ」はサウンドがかっこいいので、僕たちもリズムに乗ってノリノリで歌いやすかったかな。志賀のパートとか、かなりキーの高い部分もありましたけど、これまでの積み重ねを活かしながらレコーディングに臨めました。
志賀:1サビに〈キミの元へ〉という歌詞があるんですけど、その部分を自分は最初、流れるように歌ってたんです。だけど、ボイストレーニングの先生から「裏の拍子を意識してもっと弾けるように歌うとリスナーに届きやすいんじゃないか」とアドバイスをいただいて。それを意識してレコーディングしたら、ほんのちょっとの工夫で歌の印象がすごく変わるなと気づくことができました。自分は優しい声質なんですけど、「ビリミ」はかっこいい曲なので、少し強めの気持ちで歌うことは常に意識していましたね。
――「ビリミ」で特に聴いてほしいポイントは?
千田:志賀と阿久根のパートに〈何千回も 何万回でも〉という歌詞があって、そこは「俺もここ歌いたい!」と思うくらい、めちゃくちゃ好きなパートです。リズム感やキーの高さも含めて、本当にかっこいいので、聴いてみてください!
――すでにリリースイベントで全国各地を回っていると思いますが、COOLerの「ビリミ」への反応はいかがですか?
山本龍人(以下、山本):曲が始まった瞬間に歓声が上がるのがすごく嬉しいです。「ビリミ」のダンスは、これまでの楽曲と比べるとかなりレベルが上がっていて。EBiDANの先輩方の振り付けを担当している先生に、「ビリミ」の振り付けも担当してもらったので、歌詞とリンクしたダンスの構成も見どころです。〈忍び寄るハンター〉という歌詞のところでは銃を構えるしぐさをしたり、〈ナイショの呪文〉という歌詞では魔術書を持っているイメージでポーズを取っているメンバーがいたりと、すごく見応えのあるパフォーマンスになっていると思います。リリースイベントでは、今までのICExとは違う一面を見れてよかったという声をよく聞くので、僕らも新しい表現を見せることができて嬉しいです。
――今回のシングルも、通常盤、初回限定盤A、初回限定盤Bで3種類のカップリング曲が収録されています。それぞれの楽曲の特徴や一押しポイントを教えてください。
千田:通常盤のカップリング曲「Maniacs」は、今までリリースしてきたかわいらしい楽曲とはまた違った、かわいさの中に大人っぽさもある、不思議な感覚の楽曲で。こういう雰囲気もICExが目指している一つの形だと言っていいくらい、素敵な曲になっています。一方、歌詞はICExを推してくださっているCOOLer(ICExのファンネーム)の気持ちをイメージした内容になっているので、歌い方ではかわいさがにじみ出るように意識しているんです。なので、この曲を聴くときはぜひ、僕の“かわいい声”を楽しんでもらえたら嬉しいです(笑)。
八神遼介(以下、八神):初回限定盤Aに収録された「Sunset Blue」は、バラードに近い雰囲気を持った楽曲です。ICExの曲は前向きなサウンドのラブソングが多いんですけど、この曲は“別々の道を歩む”ことをテーマにしているので、COOLerの皆さんからすると、かなり新鮮な楽曲になっていると思います。心にぐっと迫ってくるというか、寂しい帰り道みたいなイメージの曲になっていて。COOLerの皆さんが寂しいとき、この曲が皆さんに寄り添ってくれればいいなと思いながらレコーディングしました。キーも少し高めなので、メンバーもそれぞれ工夫しながら歌っていて、そういうところも含めて聴いていただければ嬉しいです。
――たしかに「Sunset Blue」は、これまでのICExには見られなかった雰囲気の楽曲ですよね。失恋ソングにも聴こえるというか。この曲をレコーディングする際、皆さんはどのように楽曲の世界観に入り込んでいったのでしょう?
八神:この曲は、結構いろいろな解釈ができる曲になっているんです。失恋という言葉も、もちろん当てはまると思います。他にも、友人との別れとか関係性の変化も含むと思います。でも、そういう場面には共通して“寂しい気持ち”があります。だから、僕らもこの楽曲ではリスナーの寂しさに寄り添えるように、「後押ししてあげよう」という気持ちを込めて歌っているんです。切ない気持ちの奥に「いつも応援しているよ」という思いを持ちながらレコーディングに挑みました。
――なるほど。初回限定盤B収録の「Cyber Groovin’」についてはいかがですか?
筒井俊旭(以下、筒井):この曲はあえて歌詞の意味を重視していないというか、リズムやグルーヴに特化した楽曲になっていて。歌詞も〈Chit chat chit chit chat〉というリズミカルな部分や韻を踏んでいるところが多いので、それが楽曲を聴いたときの心地よさを生んでいると思います。皆さんにもぜひノリノリで聴いてほしいです。でも、そういう曲だからこそ、レコーディングではリズム感をうまく表現するのに苦戦しました。何回も聴き直してリズムをしっかり取りながら、ノリを意識して歌ったので、そのあたりを感じてもらえたらなと思います。あと、僕たちは(取材時点では)まだこの曲は振り入れをしていないんですけど、先日の東名阪ツアーで、僕と龍人、旺ちゃんで披露したダンスパフォーマンスを演出してくださった方に振り付けを担当していただけるので、このノリノリの楽曲にどんなかっこいい振りがつくんだろうと、今からすごく楽しみです。
“おまじないソング”にちなんだ8人のルーティン
――ちなみに、今回の「ビリミ」は“おまじないソング”ということですが、皆さんがライブに必ず持っていくお守りのようなアイテムや、おまじないのように続けているルーティンがあれば知りたいです。
竹野世梛(以下、竹野):ルーティンかわからないんですけど、毎年必ず神社に行ってお参りをしています。1年間通して昨年の感謝の気持ちを伝えて、今年も宜しくお願いしますとお祈りをしにいっています。
八神:僕はリンゴジュースを必ず持って行きます。喉にいいんじゃないかと思ってて。1リットルのリンゴジュースは欠かせないです。
山本:公演直前にTikTokとかYouTubeで他のアーティストさんのライブ映像を観て、気持ちを高めることが多いです。
志賀:自分は、スマートフォンですね。MCで話す内容だったり、ステージでの動き方だったりをスマホのメモに入れているので、公演前はスマホをチェックして、頭の中を整理しておかないと落ち着かないんです。事前にしっかり確認していかないと、結構焦っちゃうタイプなので。
千田:李玖のルーティン、もう1個ない? よく自分に声かけしてるよね。
志賀:めちゃめちゃ緊張したときだけなんですけど、自分に「頑張るぞ、李玖!」みたいな声かけをすることはたしかにあります(笑)。
阿久根:僕は、歯磨き。公演直前までに歯磨きを終えてないと、落ち着かないというか、ソワソワしちゃうんです。今も歯ブラシセットを持ってて。糸ようじまで全部して、歯を綺麗にできると、気が引き締まります。「よし、やるぞ!」って。
筒井:僕は最近全然やれていないんですけど、前まではゼリーをよく飲んでました。
千田:今やってないんじゃ、ルーティンって言えないじゃん(笑)。
筒井:あ、そっか(笑)。でも、美味しいんですよ!
山本:トッシー(筒井)は、ビジュアルのことをメンバーに聞いて回るのがルーティンだよね。
阿久根:うん、ライブ前は絶対に「俺の今日のビジュアル、よくね?」って聞いてくる。彼、めっちゃ単純なんで、褒めたら本当に喜ぶんですよ(笑)。
山本:ライブ前は本当に、ビジュアルのことしか言ってない(笑)。
筒井:たしかに、鏡で何回も自分の顔を見て、ビジュアルが変わってないかチェックするのはよくやってるかも。コンディションでよく変わるんですよ。急に悪くなったりするかもしれないので、定期的に鏡で確認して、「よし、ビジュいい! 今日も100点!」って思いながら、たまに調子が悪いとみんなに確認しにいくっていう(笑)。
千田:僕は、とりあえず何でも歌ってます。自分の頭に浮かんだ、いろいろなアーティストさんの曲を全部歌う。それをやると「今日は声出るな」って確認できて、モチベーションにつながります。
中村:僕は特にないです。逆に何もないってことがルーティンかもしれない。スロースターターなので。ライブ前に気合いを入れると、逆に本番中に暴走してしまう可能性があると思って、あえて何もしていません。
八神:いやいや、旺ちゃんはすごい声を出してるじゃん(笑)。ライブ前の声出しって音階をなぞるものとか、いろいろとやり方があると思うんですけど、旺ちゃんはずっと甲高い裏声だけを出してて。
千田:「ハッ! ハッ! ハッ!」とか「イヤーーーー!」ってやつね(笑)。
筒井:これから戦いに行けそうなくらい、すごい声だよね(笑)。
中村:(苦笑)。