家入レオ&麻倉もも、同級生ふたりが日比谷野音のステージで再会 1曲をきっかけに生まれた景色
3月16日、17日の2日間にわたって日比谷野外大音楽堂にて『家入レオ YAON ~SPRING TREE~』が開催された。この公演は家入レオのワンマンライブとしてのDAY1と、声優・麻倉ももとのツーマンで行われるDAY2と、趣向を変えて行われた。今回のレポートでは2日目のライブの様子をお届けする。
開演は17時。温かな春の日比谷野外大音楽堂のステージは、たくさんの植物で彩られていて、まるで都会のオアシスのようだ。ステージに家入レオと麻倉ももが登場すると、家入がアコースティックギターを手にし、麻倉が歌い始めたのは家入の「君がくれた夏」だった。ふたりのハーモニーが心地良く会場に響いて、一つひとつのフレーズを大切に届ける彼女たちの姿に、この曲の中にもきっと同じ景色を見ているんだろうなと思った。
現在、アーティストとして活躍する家入レオと、声優として活躍する麻倉ももは、かつて地元・福岡の同じ中学高校に通う同級生だった。互いに夢を追い、それぞれの道でキャリアを積んで、今年2月に配信リリースした「希望の名前」でコラボレーションを果たした。曲を制作していたときから、麻倉と一緒にこの日比谷野音のステージに立つことを願っていた家入。ふたりの夢がひとつの形になる、そんなドキドキを観客も一緒に楽しみ、見届けるというのがこの日の醍醐味だ。
最初の1曲を歌い終えるとふたりは嬉しそうに客席を見渡し、どちらからともなく「始まったね!」「始まったー!」と同じ言葉を発して興奮をあらわにした。「どうしよう、ももちゃんの推ししかいなかったら!」と家入が言うと、「大丈夫! なんか異文化交流って感じやね」と麻倉。家入はこの日だけライブ会場でのペンライト使用を解禁し、客席は家入ファンによる紫色のペンライトと、麻倉ファンによる桃色のペンライトが入り混じっている。いったん喋り始めると昔からの友人同士ならではの会話のノリが面白く、同じクラス、同じ部活、ブドウの木、プロテスタント、ミュージカル……なんてキーワードが飛び出すのも、この日のステージならでは。彼女たちのやり取りを見ていると、見ている私たちもそれぞれの心のなかにいる懐かしい存在と対話しているような嬉しい気持ちになるから不思議だ。「私は準備してくるからまた後で!」と麻倉がステージを去ると「みんなが笑顔になれるライブになったらいいな」と家入がこのステージに込めた想いを語った。
麻倉が衣装チェンジして登場すると、「ピンキーフック」で今回のツーマンライブのソロパートをスタートさせた。遊び心溢れる歌詞を軽快なメロディに乗せた、ポップでキュートな楽曲で、会場を一気に麻倉もも色に染め上げると、オーディエンスも掛け声や振り付けで応戦。続く「幸せって書いて」ではハッピーオーラを撒き散らすようなステージングで魅了した。MCでは「麻倉ももとして野外のステージに立つのは初めてです。だって日光ダメ、暑さ寒さダメ、風がダメで外が嫌い(笑)」と白状し、「でも今日はめちゃくちゃ気持ち良くて、これは病みつきになるかもー!」とご機嫌。さらに「声優として歌ってきて、ソロになって、やっと最近になって肩肘張らずに楽しんで音楽をやれるようになって。そんなときにこうしてレオちゃんが一緒にやろうって誘ってくれて、ひとつご褒美をもらえた気分でここに立っています。こんな素敵な時間に遊びに来てくださってありがとうございます。私が声優になれたのはレオちゃんのおかげ。こんな素敵な景色を見せてくれてありがとう」と語った。
陽が傾いてきた頃、日比谷野音に似合う美しいミディアムバラード「さよなら観覧車」から、囁くような歌声も特徴的な「Agapanthus」を届けた。そこから「私の曲はみんなで楽しめる! 動ける! 声出してくれますか日比谷ー!」と呼びかけて「Good Job!」と「Fanfare!!」で盛り上げていく。特に「Fanfare!!」では曲の途中で〈M O M O〉の掛け声と動きで観客全員をひとつにまとめ上げ、「みんな完璧! ありがとー!」と締めくくった。
麻倉のステージが終わるとバンドのメンバーはそのままに家入がステージに入ってきて、ふたりがハイタッチで入れ替わるという転換の速さも見どころだった。麻倉が盛り上げた熱気に満ちたステージのまま、家入は「空と青」で自身のソロパートをスタートさせる。春先に聴きたくなる柔らかなメロディを携えたこの曲をしっかりと届けていくと、音楽の色が目に見えるような鮮やかさで、会場の雰囲気が変わっていく。歌い終えると「点と点が繋がって、この景色に辿り着けたことが本当に嬉しい。綺麗事じゃなくて、夢って本当に叶うと思った」と感慨深そうに話す。そこから、麻倉が好きな家入の曲として挙げていたという「Silly」を真摯な歌声で披露すると、聴く者一人ひとりが自分自身と向き合うような時間が流れ、これぞ家入レオの真骨頂という感じがした。
いつの間にかすっかり暗くなった会場に届けられたのは「未完成」で、赤い照明が瞬く中で熱唱する姿がひとつのハイライトだった。さらに「この曲は、すごく傷ついていっぱい泣いたのに、やっぱり出会えて良かったなと思いながら作りました。自分にとって大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と、4月スタートの連続ドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の主題歌として書き下ろした新曲「ワルツ」を披露。切ないけれど、きらめきのあるメロディと歌声に、彼女のまた新しい未来を感じさせてもらった。「ここからは家入レオもポップにみんなと楽しんでいきたいと思います!」と歌い始めた「僕たちの未来」ではペンライトと掛け声で会場がひとつになり、「Shine」と「シューティングスター」を立て続けに披露して、音楽を通じてエネルギッシュに愛を届けた。