カメレオン・ライム・ウーピーパイ、観客の心を掴んだ『SXSW』 現地ライターが盛況のステージを観た

CLWP、観客の心を掴んだ『SXSW』レポ

映画、音楽、インタラクティブの祭典、SXSW

 映画、音楽、インタラクティブなどの関連企業や作品、アーティストに触れられる絶好の場所として、世界各地からアーティストやクリエイター、業界関係者やファン約35万人(※1)が訪れる、世界最大級のコンバージェンスカンファレンス&フェスティバル『SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)2024』が、3月8日から16日までの9日間(以降全て現地時間)、米テキサス州オースティンの中心地で開催された。1990年代には50万人だった人口が今や100万人に増加しているオースティンの中心地は、連日深夜まで大賑わい。コンベンションセンターを中心にライブハウスや特設のフェスやイベント会場が約60カ所存在し、歩行者天国のために渋滞が常時発生。警察も各所に配備されているにもかかわらず、3月11日深夜には人気会場の目の前で一人が命を落とし、もう一人が重症で救急搬送されるという痛ましい轢き逃げ事故が発生してしまった。また、Texas Monthlyによると、米国陸軍が今回のスーパースポンサーであることが発表されたことに端を発して、80組以上ものアーティスト/パネリストが出演をボイコットあるいは周辺でのフリーイベントに出演を切り替え、対してオースティン市長が反論コメントをするなどの騒動も(※2)。そういったネガティブなニュースが飛び交いながらも、ピックアップトラックの荷台に乗って映画『The Fall Guy(邦題:フォールガイ)』を宣伝していたライアン・ゴズリング&エミリー・ブラントをはじめ、ジェイク・ギレンホールやアン・ハサウェイ、音楽ではドキュメンタリー作品を携えたThe Black Keysが2500人規模のステージに登場したほか、映画の登壇でBON JOVIやポスト・マローンら大物も姿を現してファンを沸かせるあたりはさすがは世界最大級の祭典といったところ。また、アジア系の映画・音楽イベントも数多く見かけたことも印象に残った。

 そんな今年の『SXSW』から本稿では、Kroi、a子、ドミコや眉村ちあきら会場を沸かせた多くの日本からの出演者の内、2年連続出演を果たした注目のユニット、カメレオン・ライム・ウーピーパイのパフォーマンスやオーディエンスの反応などを振り返る。

カメレオン・ライム・ウーピーパイに寄せられたラブコールの数

 2023年開催の『SXSW 2023』に出演した際、人気メディアVIBEが1577組のライブパフォーマンスの中から選出した「ベスト・パフォーマンス10選」にラインナップされたカメレオン・ライム・ウーピーパイ(CLWP)は、オレンジヘアが特徴的なフロントガール、Chi-のソロプロジェクト。仲間でウサギのマスクのWhoopies1号・2号とともにアートワークからMVに至るまで3人ですべてのクリエイティブを手がけており、The Chemical Brothersの「Block Rockin' Beats」(1997年)を差し込むなど90年代のエッセンスが当時を知る人々にとってはどこか懐かしく、90年代の音楽をリバイバルとして楽しんでいるZ世代やミレニアルズにもフィットしている様子。ただ、彼女たちの音楽を評価する現地の声を聞くと共通して、“唯一無二”という言葉が返ってきたように思う。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ
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 昨年の評判が今年にも反映されているようで、彼女たちには多くの出演依頼が舞い込んでいた模様。その中から最終的に、オフィシャルステージ2つ、そして地元のコアな音楽ファンに愛される老舗・Hotel Vegasを含む『SXSW』非公式会場2つの計4本を厳選したが、それでもCLWPにとって4日間連続出演は初の試み。さらに、日本/日系アーティストが出演した3月11日の『TOKYO CALLING showcase supported by The Orchard Japan』を除けば、いずれも共演者に日本やアジア圏のアーティストのいないものばかりで、昨年残した爪痕がブッキングされたイベントからも明らかだ。

 なかでもハイライトは、ギターアンプブランドとして世界にその名を轟かすあのマーシャルが13日から15日の3日間に亘って開催するイベント、『Marshall Funhouse』。オースティンで評判の高いライヴハウス、Parishでバンド演奏、そしてその隣に仮設されたサーカス小屋のようなステージでDJセットや飲食店、ゲームなどのアトラクションが展開されたこのショウケースには、Dinosaur Jr.やTHERAPY?といった有名アクトの名前が並び、昼間から入場を待つ人々の列が途絶えることがない。CLWPが勝負をかけるという意味ではこれ以上ないという環境だ。にもかかわらず、ステージ側の制限によりベースアンプを普段のステージ向かって左側へ移動できず、彼女たちにとっては初となる1号・2号の立ち位置を逆にしてのステージ。勝負にかけるプレッシャーに加えて不便があったかもしれないが、一度ステージに立てばそんなことを微塵とも感じさせないのが彼女たちのプロフェッショナリズムであり、もしかするとCLWPにしてみても立ち位置に対するこだわりを打ち破れたことへの喜びに包まれていたのかもしれない。そして、そんなチャレンジングなシーンにおいてさらに精神的支柱として大きく構えてバンドや観客をアジテートしていたのがChi-だった。

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