連載『lit!』第93回:つぶグミ×ハロプロのGOODM!X、RYUTist……春に聴きたい女性アイドルの新譜
SANDAL TELEPHONEの久々のフィジカル新作『SHUTDOWN→REBOOT』は新録曲と昨年連続リリースされた4曲で構成されたミニアルバムです。既発曲ではチアフルなガールポップ「UnLucky」あたりにネクストステージの片鱗が感じられましたが、今作ではここ数年の音楽シーンを象徴するボーカロイド経由のJ-POPに接近した「SHUTDOWN→REBOOT」、いつになくダークでゴシックな「Allegro」とさらに音楽性の幅を広げています。
そして何と言っても今回の目玉は、キャリア史上初のカバー曲である「Shangri-La」。電気グルーヴが1997年にリリースしたヒット曲です。原曲のキャッチーさを残しつつも洗練されたガーリーなハウスアレンジはフロア映えしそうな仕上がりで、恒例となっているクラブセットでのライブでも盛り上がりに一役買いそうです。
前田鮎花と辻優衣によるユニット・963(くるみ)が前作からおよそ3年半ぶりにリリースしたアルバム『mirror』。冒頭からこれまでのイメージを覆すバンドサウンドの「sugar love」に意表を突かれますが、その後も独特の譜割に社会問題をコミカルに乗せた「魚が食べられなくなる未来」、アコーディオンとスパニッシュギターをフィーチャーした異国情緒溢れる「el paso」と、1曲ごとに表情を変える多彩な楽曲が続きます。作家陣も個性的で、チル&メロウなサウンドが心地良いNelko、NATURE DANGER GANGの福山タク、ゆるめるモ!との共作『箱めるモ!』でも知られる箱庭の室内楽のハシダカズマなど、いずれも実験性とポップネスをきちんと共存させる手腕が光ります。963は過去に諭吉佳作/menをいち早くフックアップするなど、気鋭のアーティストへの優れた目利きも魅力の1つと言えるでしょう。ちなみに「sugar love」が先日『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でオンエアされましたが、これは彼女たちの所属事務所の社長がナインティナイン・矢部浩之の兄として知られる矢部美幸であることから(かつて『めちゃ×2イケてるッ!』にも何度も出演していました)。メンバー2人ともがミスマガジン読者特別賞を受賞しているというポテンシャルの高さも相まって、意外なルートで世に見つかることがあるかもしれません。
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