AKB48姉妹グループが海外で活性化 日本的な女性アイドル文化、国境超えてなぜウケる?

日本的な女性アイドル文化が海外でウケる理由

 加えて、たとえばタイでは、BNK48結成以前はいわゆる日本的な女性アイドル文化はあまりなかった。これはタイの人気映画監督 ナワポン・タムロンラタナリットによる長編ドキュメンタリー映画『BNK48: Girls Don't Cry』(2018年)を観ても非常に顕著だ。それまでタイではK-POPなどのガールズグループ、ダンスボーカルグループが人気だったが、BNK48の登場以降、日本的な女性アイドル文化にも興味が持たれるようになり、BNK48自体も大きな熱狂を生んだ。これまでとは異なる価値観を生み出した、という点で、BNK48は成功だと言える。

 その現象はインドネシアでも同様だったとされ、一躍人気を博したオーディション番組『Akademi Fantasi Indosiar』出身のガールズポップユニットのT2(2007年デビュー)などともまた違ったムードで、JKT48は迎えられたのだ。

BNK48 : GIRLS DON’T CRY | Official Trailer (Online Ver.)

 アジア各国では現在に至るまで、人気の主流はやはりガールクラッシュ系だが、それらは日本的な女性アイドル文化とは違いがある(わかりやすく言えば、K-POPの“アイドル”と日本の“アイドル”が同音異義みたいなものに近い)。そう考えると日本の女性アイドル文化はまだまだ海外では未発見なところが多く、新鮮さがあるのではないだろうか。

 AKB48グループがマーケットを“世界”まで広げた時、まだまだやれることは十分にある。それこそ、東宝が設立した新会社TOHO Globalの展開によって映画『ゴジラ-1.0』(2023年公開)が北米で記録的な大ヒットを飛ばし、アニメ『【推しの子】』(2023年放送)とそのオープニング主題歌であるYOASOBI「アイドル」、そして現在進行形でアニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期(2024年放送)とオープニングテーマのCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」も世界的な広がりを見せている。まさに「カルピスの原液」とも言えるこれらの日本発のカルチャーは、戦略を練ったうえでの企業努力と配信プラットフォームの活用により、大化けする可能性を秘めていることが証明されたのだ。

 秋元は『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術』のなかで、当時はYouTubeの効果もあって「ジャカルタのファンはみんなネットで日本のAKBを知っていた」とし、日本の“オタ芸”もジャカルタではおなじみになったと語っていた。そういった時代の流れによるコンテンツの変化を敏感に察知し、そこに今以上にうまく乗せることができればAKB48グループにとって本当の意味での“海外進出”が見えてくるのではないだろうか。その役目を担うのが日本国内のグループになるのか、それとも現存の海外グループになるのかはわからない。ただ、そのためにはプロモーション、コンセプトなども含めてAKB48グループのあり方を抜本的かつ大胆に変える必要があるのかもしれない。

※1:https://klp48.my/news/detail/S9/vEQqE3QbM4bt2K2Qa/N+lnhqMmsuv6JHyvi5Dm1M=

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