Chevon、自身の弱さも苦い人生経験も音楽で肯定する 「“一人じゃないんだ”と思ってもらえたら」

Chevon、自身の人生を肯定する音楽

 2021年に結成され、北海道は札幌を拠点に活動する3人組バンド Chevonによる待望の1stフルアルバム『Chevon』がリリースされた。

Chevon 1stフルアルバム「Chevon」全曲ティザー映像

 セルフタイトルとなる本作は、彼らがこれまで配信してきた全12曲に、書き下ろしの新曲2曲を加えた全15曲入り。Chevonとして初めて作り上げたオリジナル曲「No.4」で幕を開け、「革命的ステップの夜」や「光ってろ正義」などライブの定番曲を経てレコーディングが終わるギリギリに書き上げたという「スピンアウト」で幕を閉じる。Chevonの成長過程が生々しく刻まれた、まさにドキュメンタリー的な内容と言えるだろう。

 昨年暮れには初の対バンツアー『大行侵』を成功させた3人に、アルバムの制作秘話はもちろん7月から開催される初の全国ワンマンツアー『冥冥』への意気込みなど、たっぷりと語ってもらった。(黒田隆憲)

バタついた感じも含めてChevonらしい1枚に(オオノ)

オオノタツヤ
オオノタツヤ

ーーまずは、昨年暮れに開催された初の対バンツアー『大行侵』の手応え、感想を聞かせてもらえますか?

谷絹茉優(以下、谷絹):現時点での「完成形」ともいえるライブが出来たという手応えがありました。今までは、周りの人たちから「いいライブだったよ」と言われても、自分たちはそう思えなかったり、逆に自分たちで手応えを感じていても、周囲の評価が今ひとつだったり、何かしらズレが生じることも多かったんです。でも今回はそこがカチッとハマった気がしたというか。お客さんとの一体感も含めていいツアーだったなと思います。

ktjm:ツアー自体が僕らにとって初めての経験だったのですが、書き下ろしのタイトル曲「大行侵」を携えて気合い十分で臨みました。おかげさまで無事にソールドアウトできたし、これまで自分たちのやってきたことの全てをツアーで出し切ることができたのではないかと。

オオノタツヤ(以下、オオノ):今回のツアーは大阪と東京、そして地元の北海道と3カ所を回ったのですが、想像以上に体力を使うんだなとか、たくさんのスタッフの協力があってこそ成り立つものなのだなとか、やってみて実感できることがたくさんありました。PAはどの会場も同じエンジニアさんにお願いするなど、チームでツアーを回るのも新鮮でした。みんなでいいものを作り上げようという気持ちになれましたね。

大行侵/Chevon 【Music Video】

ーー対バンしたなきごと、ブランデー戦記、クジラ夜の街は皆さんと同世代のバンドですよね。どんな印象を持ちました?

谷絹:Chevonはバンドとしての歴史も浅いですし、そもそもメンバー全員がバンド界隈にいなかったため、親しいミュージシャンやバンドってほとんどいないんですよ(笑)。なので今回の3組も、もちろん曲は知っていたし気になってはいたけど、実際にどんな人たちなのか、どんなライブをやるのかも分からないままご一緒させていただいたんです。結果、一緒にできてよかったなと心から思いました。

ktjm:やっている音楽ジャンルもかなり違うので、どうなるのか正直不安もあったのですが、やってみたら実は意外と親和性がある3組だったし、双方のお客さんが喜んでくれたのも嬉しかったですね。

オオノ:僕が特に印象に残っているのはクジラ夜の街でした。お互いに独特の世界観を持っているし、一緒にやったらどんなカオスな空間になるんだろうと思っていたのですが(笑)、すごくいい化学反応が生まれたと思います。

ーーそして、ついにリリースされた 1stアルバム『Chevon』は、これまでの配信曲+新曲2曲の計15曲収録でバンドスタートから現時点までの足跡を辿るような内容です。完成した今の心境をお聞かせください。

オオノ:セルフタイトルにしたのも含め、今回はChevonにとって名刺代わりになるアルバムを作ろうと思っていました。たとえば1曲目の「No.4」は、Chevonとして初めて作ったオリジナル曲ですし、アルバムの最後を飾る「スピンアウト」は書き下ろしの最新曲。ちなみに「スピンアウト」は制作期間がたった1日という、ちょっとバタついた感じも含めてChevonらしい1枚になったと思いますね(笑)。

No.4/Chevon 【Lyric Video】

谷絹:自分が担当している歌詞については、こうやって15曲並べてみると、言いたいことや伝えたいことの「軸」みたいな部分はずっと一貫しているなと思いましたね。「なぜ自分はバンドをやっているのか?」「歌うことで何を伝えたいと思っているのか?」みたいなことを、手を替え品を替え言っているのだなと。そういう意味では、自分自身を改めて見つめ直すきっかけにもなった制作期間でした。

ーー今日のインタビューでは、アルバムで初音源化された「ですとらくしょん!」と「スピンアウト」、それから新曲「ダンス・デカダンス」の3曲について詳しくお聞かせください。まず「ですとらくしょん!」ですが、この曲はすでにライブでお馴染みですよね?

谷絹:ちょうど「Banquet」(2023年5月)をリリースした直後の2ndワンマンで、書き下ろしの新曲でお客さんを驚かそうと思って作った曲です。ずっと音源にしたいと思って温めていました。作り方としては、私がメロディと歌詞を1コーラス分作ってメンバーに投げ、アレンジを詰めていきました。

 歌詞のイメージは、割と「大行侵」に近い世界観。日常の中で、科学では説明できないような大きな脅威みたいなもの……例えば巨大なUFOが飛来してくるとか。そういう、国どうしで争っている場合ではない未曾有の危機に瀕した時、人の本性はどう現れるか? みたいな。あるいはそういう状況だからこそ、「本当にやりたかったこと」「やらなければならないこと」が露わになるなと思っていて。そういう一石を投じた曲です。

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