VTuberプロジェクト VERSEⁿ発のアルバ・セラ&カシ・オトハ 同日発売の1stアルバムで見せたカラー

アルバ・セラ&カシ・オトハ、アルバムレビュー

 NeOFRONT(ソニー・ミュージックレーベルズ)とHelixesが共同で手がけるVTuberプロジェクト「VERSEⁿ」(ヴァース)。少女・リンと現実で活動する5人のVTuberが物語を紡ぐ本プロジェクトより、アルバ・セラとカシ・オトハによる1stフルアルバム『幽』、『anthology』が2月7日に同日リリースとなった。

 自身の持つ歌の力で世界を救い、人々に寄り添うべく奮闘する二人。アルバムを通じた世界観や歌声のアプローチは当然両者でそれぞれに異なっており、今回の二作をあえて聴き比べることも、本作の楽しみ方のひとつとなるに違いない。

 2021年11月のプロジェクト始動後、同月に物語への参画が始まったボーカリスト、アルバ・セラ。明瞭な響きと芯のあるアタックを特徴とする歌声の持ち主であり、2022年8月にリリースされた1st EP『Ego』においても、その圧倒的な歌唱力の片鱗を存分に発揮している。

 そんな前作の核を担う楽曲「Bloom」「SHELTER」「エゴイスト」をはじめ、今回発売の1stフルアルバム『幽』には全11曲を収録。作品のオープニングを迫力ある音圧で飾る「メシア」提供のゆよゆっぺや、ソリッドでダークな空気感を纏う「God Willing」、アルバ・セラによるラップ調の低音が響く「Aphrodite」を提供した鬱P。トリッキーな曲展開で聴衆を惹きつける「指切り」を手掛けたRockWellなど、錚々たるクリエイター布陣も必聴のポイントだ。

 本作では冒頭の「メシア」から言葉数の多さ、転調などを堂々と歌いこなすアルバ・セラの実力を実感。サビ始まりの「指切り」ではウィスパーボイスも入れ、幅広い表情を見せる。前述したドープな「Aphrodite」含め、ラウドかつ重厚感あるナンバーが前作以上に増え、一つの音楽作品として充実したアルバムと言える。「メシア」「指切り」はMVも公開されており、合わせて見ることで楽曲の世界観をより深く楽しめる。

メシア | アルバ・セラ【OFFICIAL VIDEO】
指切り | アルバ・セラ【OFFICIAL VIDEO】

 確かな実力を持つサウンドメイカーたちの迫力ある音像を背後に携えつつ、アルバ・セラ自身もまた妖しくも精強なその歌声をよりドープに磨き上げ、骨太な楽曲と対等に渡り合うタフネスさと表現力の幅を広げた印象を受ける。

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