a子とはどんなアーティストなのか? “繋がり”から生まれるもの、ポップへの強い意識

a子「惑星」インタビュー

「惑星」でメジャーデビュー 歌詞から何かを感じ取ってくれることも“遺伝”

a子「惑星」
「惑星」ジャケット

——では、新曲「惑星」について聞かせてください。今回はポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsからのリリースですが、メジャーレーベルと契約することも目標の一つだったんでしょうか?

a子:そうですね。a子がやろうとしていること、目指していることを実現するためには多くの人の力が必要だというのはわかっていて。大きいスタジオでレコーディングがしたいし、ドラムを生で録りたい、いずれはストリングスやブラスなども入れたいというのもあるし、MVでもやりたいことがいろいろあって。だんだんやることが増えて「これ以上は大変だな」と思っていたので、このタイミングでメジャーと一緒にやれることになったのはよかったです。今まではミックスも自分たちでやっていたので、エンジニアの方とレコーディングできたのもうれしくて。

——「惑星」のミックスは小森雅仁さん(宇多田ヒカル、米津玄師、Official髭男dism、藤井 風などの作品に関わってきたレコーディングエンジニア)ですね。制作の段階では、どんな楽曲をイメージしていたんでしょう?

a子:メジャーデビューでもあるし、「この先、もっともっと大きいことをやりたい」という気持ちもあるので、より多くの人に届く曲、さらにポップな曲にしたいと思っていました。以前はトラックから作ることが多かったんですけど、最近はメロディを主役にしたいという気持ちも強くなって。「惑星」もサビのメロディから作りはじめました。サウンドに関してはUKロックのテイストもあるし、あとはガラージですね。UKでめっちゃ流行ってて、それをピンクパンサレスがヒットさせて、その後NewJeansも取り入れて……という流れがあるし、自分もやってみたくて。あとはオリヴィア・ロドリゴの新作(アルバム『Guts』)のロックな感じだったり。ドラムはマイク・マリントンさんにお願いしたんですけど、そのあたりも意識して叩いていただきました。

——すごい情報量ですね。

a子:それを組み合わせながらa子らしい音にしていくのが難しいんですけどね。「惑星」も作っている段階でよくわからなくなって(笑)。もちろんいい曲になったと思ってますけど、正解だったかどうかはリリースしてみないとわからないですね。反応待ちです(笑)。歌詞については、今までやってきたこと、これからやりたいと思っていることを含めて、「目標や夢はこれからも変わらない。自分のやりたいことを形にできるようにがんばっていきます」という内容になっていて。MVもそれと繋がっているんですよ。脳細胞と宇宙の構造が似ているという論があるんですが、「自分のなかにも宇宙が広がっていて、そのなかで何を表現しようとしているのか」というイメージですね。あとはアーティストとしてのa子への思いと、プライベートのa子もリンクさせて。

a子 - 惑星 : MUSIC VIDEO (Ako - Planet)

——“アーティストとしてのa子への思い”というと?

a子:a子は……とにかく妥協しないんですよ。理想がめちゃくちゃ高いし、「今の自分では、このラインはどう頑張っても越えられない」ということもあって。それでも自分の実力を最大限に引き出すことを続けているんですよね。手を抜くとか気を緩めることもまったくないし、それはこれからもずっと続けてほしいなって思います。「新しいジャンルを作る」ということを目標にがんばってほしいなって。私だけじゃなくて、中村さんをはじめ周りの人たちもガーッと追求するタイプだし、向上心の塊なんですよ。

——「惑星」を聴いていると、ネガティブな心情を抱えながらも、“どんな未来であっても進んでいきたい”という強い意志が伝わってきます。根本にあるネガティブな部分は今も変わらないですか?

a子:そうですね。さっきも少しお話ししましたけど、小学生、中学生の頃から「人生とは」「人とは」みたいなことを考えていて。自分がこんなにしんどさを抱えながら生きてるんだから、人間の数だけしんどさがあるのかな? とか。そのうえで自分に何ができるか? と思ったときに、やっぱり楽曲を作ること、音楽を作ることなんですよね。自分のしんどいという思い、そのなかで得た答えを歌詞にすることだったり。楽しい、気持ちいいという感じで聴いてもらえるのも嬉しいですけど、歌詞から何かを感じ取ってくれたらいいなと。それも“遺伝”だと思うんですよ。音楽を聴いたり、映画を観ることで、それぞれの生活や仕事に繋げられることもあると思うので。

a子(撮影=Goku Noguchi)

a子(撮影=Goku Noguchi)

a子(撮影=Goku Noguchi)

——a子さんの経験や感情を作品にして、それを受け取った人たちが何かを感じ、生活や人生に生かしていく。

a子:そうなったらいいなと思っています。基本的に人生は生きづらいものだと今も感じているんですが、少しずつ楽しいことも増えてきて。EP『Steal your heart』の頃からは楽しさを反映した曲も作れるようになってきたんです。バンドメンバーやチームのみんなからも「a子ってプライベートなことが素直に作品に出るタイプだよね」って言われるんですけど、確かにそうだなって。ずっと不安や怒りをパワーにして曲を作ってきたから、「幸せになっていくと曲が作れなくなるかも」という怖さがあったんですが、最近は「幸せなことをそのまま曲にしていいんじゃないか」と思うようになってきましたね。

——現在は夏にリリース予定のフルアルバムの制作中だとか。

a子:はい。さっきも言いましたけど、“遺伝子”もテーマになっています。いろいろな音楽を聴いて、映画を観て、影響を受けながら自分の作品を作ってきて。そうやって繋がっているし、私もそのなかにいると思っているので。

——ライブに関してはどうですか?

a子:いっぱいやりたいとは思ってるんですけど、全然慣れていなくて。人前で歌うのはまだちょっと苦手というか、怖いんですよね。エリック・クラプトンが「人前で歌うのが苦手だから、すごく高いステージを作って、観客と距離を取るようにしている」とインタビューで話していて、「同じだ!」って。私はステージを高くすることはできないので(笑)、少しずつでもいいから楽しめるようになりたいです。今は曲をしっかり届ける、ライブという作品を完成させるという気持ちしか持てていないので、今年はライブをもっと楽しみたいですね。海外のアーティストのライブ映像を観るのも好きだし、「こういうこともやってみたい」と勉強していて。今年の1月にメラニー・マルティネスの初来日公演があったんですが、すごく食らって。セットの作り方や表現などもそうですけど、自分のライブにも活かしていきたいです。

■リリース情報
Major Debut Single「惑星」
2024年2月7日(水)配信リリース
配信:https://lnk.to/wakuseiPR

■ライブ情報
『a子 Live Tour 2024 “Umbilical Cord”』
2024年8月3日(土)開場17:00 / 開演18:00
大阪・UMEDA CLUB QUATTRO

2024年8月9日(金)開場18:00 / 開演19:00
東京・LIQUIDROOM

チケット
4,800円(税込/別途ドリンク代別)
受付URL:https://eplus.jp/ako2024/

<主催>
YUMEBANCHI(大阪)/CREATIVEMAN PRODUCTIONS(東京)

<問い合わせ>
YUMEBANCHI(大阪)06-6341-3525(平日12:00〜17:00)
クリエイティブマン:03-3499-6669

Photographer:Goku Noguchi
Stylist:Yuki Yoshida 
Hair&Make-up: NATSUKO (UpperCrust)

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