YOASOBIとNewJeans、世界に羽ばたくアジア発グループの現在地 独自の存在感を築くまで

 一方で、日本の音楽シーンに彗星の如く現れたのがYOASOBIだ。デビュー曲「夜に駆ける」でいきなり特大のヒットを飛ばすと、その後もヒットを連発。昨年グローバルヒットを巻き起こした「アイドル」は、日本国内のランキングを総なめにし、2023年の「YEAR-END CHARTS Billboard Global 200」ではJ-POP史上初のTOP50入りを果たした。

 その音楽のすべてを担うのが、ボーカロイドのプロデューサーとして人気を博していたAyaseである。デスクトップで完結するAyaseの曲作りは、従来のJ-POPにはない自由さがある。機械に歌わせることができるボカロP出身者ならではの、ポップスの常識から外れた展開もしばしば見せる。しかしそれは、生身の人間が表現することの困難さと隣り合わせでもある。

 その難度の高いAyaseの楽曲を歌うのが、ボーカル担当のikuraだ。例えば「アイドル」でも、目まぐるしく変化するメロディを特有の透き通るような混じり気のない歌声で難なく歌唱している。番組では、レコーディング中に何度も「難しい」と訴える場面があったが、今ではライブでも、表情豊かに見事に表現している。こうした斬新な作曲力と卓越した歌唱力、この2つの要素がYOASOBIの大きな魅力と言えるだろう。

YOASOBI「アイドル」(Idol) from 『YOASOBI ARENA TOUR 2023 "電光石火"』2023.6.4@さいたまスーパーアリーナ

 NewJeansとYOASOBIという、同じ時代に登場した2組。両者に目立った共通点があるわけではないが、日韓のポップスが世界的な人気を博すようになった今、どちらも世界を股に掛けるアジア発の音楽グループとして、今後の活動に大きな注目が集まるだろう。

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