GARNiDELiA、国境を越えて歌を届けた2023年 新旧楽曲で沸かせたワールドツアー追加公演

GARNiDELiA、EXシアター公演レポ

 2023年、ボーカリストのMARiAとコンポーザーのtokuによるGARNiDELiAの目の前に広がる世界は、足元から大きく変わった。MARiAは、小林製薬『小林暖宝宝』やロート製薬『肌ラボ』をはじめとした著名な企業の製品の中華圏アンバサダーに就任。中国国内の至るところで輝く華やかなポップアイコンに変貌していた──。

 2016年にYouTubeで公開されたダンス動画「極楽浄土」が、あるファンによって中国の動画プラットフォーム「Bilibili」にて公開されたことをきっかけに、中国のユーザーの間で注目を集め始めたGARNiDELiA。その後の2023年5月5日、中国のオーディション番組『乗風2023』に出演した際に披露した同曲のパフォーマンスが大きな話題を呼び、GARNiDELiAの中国全土における人気を不動のものにした。

 中国のメディアやイベントから引く手あまたになるなかで、約4年ぶりのワールドツアー『GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT』で世界21カ所22公演を成功させると、その追加公演『Thanks』のファイナルが、2023年12月23日にEX THEATER ROPPONGIで開催された。

 幻想的な青の光に満ちた空間で響き渡ったのは、オープンワールドRPG『原神』の3周年を祝福する応援ソング「Future Wing」。〈いつからか大丈夫だよと 嘘をつくことだけ上手くなってた ただ強く 強くならなきゃ それだけで走り続けた〉と、内に秘めた葛藤のなかで前に進む勇気を手に入れた壮大な物語が、視界に広がる。MARiAの歌声は、穏やかでありながらも力強い、まるで天空を駆ける翼のようだ。

 続いて、光と影が交錯するステージで披露された「Beyond the sky」、コール&レスポンスで一体感が生まれた「Burning Soul」。ドライブ感溢れるビートと歌詞に込められた自己表現の強さが、リズムに合わせて躍動する照明と、MARiAとダンサーズの息をのむようなシンクロナイズされたダイナミックな動きによって視覚的に昇華されたのは、〈誰かみたいじゃなく 自分だけの歌を〉というパワーワードを携え、中国語歌唱バージョンも存在する「my code」。

 MARiAが「ガルニデって戦っている曲が多いけど、実は可愛い曲もいっぱいある」と語り、観客を「Arrow of Love」、「フタリ座流星群」、「アイコトバ」というキュンキュンソングの世界へと誘った。小柄ながらも溢れるそのエネルギーは世界を元気づける。強い意志と可愛らしさを兼ね備えたMARiAは、まさにアイコンとしてステージの上に立っていた。言わずもがな、tokuの存在も重要だ。彼はMARiAの内面から溢れ出る情熱とエネルギーを支え、彼の繊細かつ洗練された音楽センスで彼女のパフォーマンスをより一層引き立てる。彼らの音楽は、ただの曲以上のものを伝え、深い感動を生み出している。

 「はじめてのクリスマス」の後に、エッジの効いた純白なドレスに身を包んで登場したMARiAが情感豊かに歌う「further」、「ORiON」。MARiAの力強い歌声には、彼女自身の人間性や信念が込められており、彼女の歌はただ耳に届く音楽ではなく、心に届くメッセージとなっている。インディーズ時代の楽曲「Harmony」をはじめ、来年でメジャーデビュー10周年を迎えるGARNiDELiAだからこそ可能な新旧を組み合わせたセットリストだった。

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