GARNiDELiA、2年間の思いをぶつけて作り上げた最高の今 『Duality Code』ファイナル公演

GARNiDELiA『Duality Code』ツアーファイナルレポ

 昨年12月5日の神奈川・CLUB CITTA’を皮切りに約2年ぶりとなる全国ツアー『GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022 “Duality Code”』をスタートさせたGARNiDELiA。全6公演がスケジュールされたうちのファイナル公演は、1月23日、東京都・中野サンプラザにて開催された。会えなかった期間を埋めるように、客席へ渾身の力をふりしぼって愛を伝えたMARiA。そこには、揺るぎないGARNiDELiAでいられることへの答えがあった。

toku
toku

 ステージを照らす蠢く青いライト。グランドピアノの前に座るtokuの横、MARiAは毅然とした姿でスタンドマイクを片手で握りしめる。信念のある声とシャープな目つき。緩急自在なパートごとに、言葉によらないコミュニケーションをバリエーション豊かに変化させていく。MARiAの心の熱量の高さが人一倍であることは、11月17日にリリースされた最新アルバム『Duality Code』収録の1曲目「Live On!」からライブがスタートした時点ですでに伝わってきた。GARNiDELiAの音楽は、コンポーザーのtokuが産み落とし、そこにボーカルのMARiAが歌詞を乗せる。ファイナル公演ということもあってか、「Live On!」では、そのあとに続く楽曲でのパフォーマンスとは異なる緊迫感が漂っている。

 「いいね!」と客席に声を投げた「True High」、ダンサーとシンクロした「grilletto」と序盤からデジタルロックチューンを飛ばしていくGARNiDELiA。MARiAは、全身を駆使して歌を歌う。その姿に応えるように、上がる客席の熱量。笑顔で客席を指差しては、奥のほうまで見つめるMARiA。言葉はなくても、たしかに愛が溢れだしている。GARNiDELiAらしさで打ちあがった攻めのナンバーは、〈弱虫な僕は消えた 生まれ変わる〉と歌う「Burning Soul」まで続く。

MARiA
MARiA

 ライブの始まりから強調してきた力強さとは裏腹に繊細な一面を見せたのがここからのセットリスト。神秘的な白い衣装に身を包んだダンサーとひとつになり、艶のあるダンスをパフォーマンスする「人魚姫」から“人魚”つながりの「Aquarium」では、エレガントでフェミニンな振り付けと儚さを宿した歌声で、報われない恋を歌う歌詞に込められた切なさが増幅されていく。なかでも、とろけるほどに甘美な歌詞が綴られた「ミルクキャラメル」の演出では、自らがミルクキャラメルになったかのように、ステージにセットされている椅子に腰を下ろし、官能的なムードも作り出す。MARiAはこの間、指先までを意識した繊細な動きと柔和な表情を浮かべている。

 GARNiDELiAの名刺と呼べる「極楽浄土」へ流れるまでに、和装にチェンジしたMARiAは、「極楽浄土」と同様に“踊っちゃってみたカテゴリー”に投稿されている「宵闇胡蝶」、「桃源恋歌」を華麗なダンスで彩っていく。時に力強さだったり、色気だったり、乙女らしさだったり、さまざまな楽曲に順応することのできるMARiAの声質は、真の美しさから生まれてきたのだと思う。

 GARNiDELiAの楽曲にある〈あなた〉や〈君〉の歌詞が、ここに集まったファンのことを指しているように聴こえてくるのは、MARiAが持っている愛のすべてをライブを通して全力で届けているからだろう。スタンドマイクを前に客席に向けて両手を大きく広げながら歌ったTVアニメ『大正オトメ御伽話』のオープニングテーマ「オトメの心得」では、〈愛しています〉という言葉が会場を幸せな高揚感に包む。

 MARiA色に染まる会場に異なる色を一滴零すのは、唯一、作詞、ボーカルともにtokuが務めた『Duality Code』収録の「stellacage」。同じ場所にいて楽しみを共有することの幸せを描いた歌詞とtokuの温かな雰囲気に会場がひとつになる。この曲は、序盤からの勢いを終盤まで絶やさないために必要不可欠な1曲になった。

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