FUNNY THINK、Hi-STANDARDへの憧れと初期衝動 新曲「GOLD YOUTH」で歌う自分たちの進む道
「あの頃のことを思い出して、もう一度イチから頑張りたかった」(金野)
――今、パンクロックやHi-STANDARDとの出会いを伺ったのは、最新曲「GOLD YOUTH」に〈初めは15の夏頃で/STAY GOLDが胸を焦がしていた〉という歌詞があるからで。この曲の歌詞は、Hi-STANDARDに衝撃を受け、バンドを結成して、活動をし続けている金野さんのリアルな感情が綴られているという認識で合っていますか?
金野:はい。本当に思ったことをそのまま書いています。
――リリース時のコメントには「右も左も意味も理解できるようになってしまった今だからこそ、この曲を書くことができた」とありましたが、これはどういうことなのでしょう?
金野:始めた当初は、本当に何もわからない状態だったんです。俺らが育った大船渡という街は田舎で、学校に軽音学部とかもなかったので、誰かが教えてくれるわけでもなくて。すべてが手探りだったけど、そういうところも楽しかったんですよね。2023年になって俺と森くんは25歳になって、バンドも10周年を迎えた。この10年のあいだに、知りたくもないことも知ったし、バンド活動や音楽に対していろいろ理解できるようになってきて、そうすると結成当時のがむしゃらで熱を帯びている感じが薄れている気もしてきて、それがちょっと寂しかったりして。だから、今このタイミングでHi-STANDARDに出会ったあの頃のことを思い出して、もう一度イチから頑張っていきたいという意味でこの曲を作りました。
――これまでを振り返るような曲になったのは、バンドを始めて10年という節目だから?
金野:それが大きいと思います。10年目のFUNNY THINKにふさわしい曲を作りたいと、最初に思いました。
――この10年間を振り返った時に出てきた歌詞が、〈傷だらけの日々に愛を〉〈何万回 負けたっていい/最後に笑えればいいのさ〉。作詞作曲した金野さんは、この10年間をどう感じていますか?
金野:めちゃめちゃ売れているバンドというわけでもないし、震災をきっかけにバンドを始めたわけではないけれど我々自身も被災しているし、コロナ禍もあったし――順風満帆ではなかったと思います。でも、反骨精神とか気合い、根性みたいなものを大事にしているバンドなので「負けたところからスタートだろう」くらいの気持ちではずっといますね。
――うまくいかないことすらバネにしてきた。
金野:そうですね。実際、そういうものが曲になっていることも多いです。
――森さんとMarcyさんは、この曲を聴いた時にどう感じましたか?
森:10年という節目で作る曲というのは制作段階で聞いていたので、それを踏まえて聴いてみると〈初めは15の夏頃〉のところなんかは、シンプルに懐かしいなと思いました。これまでを歌った曲ではあるけれど、これからライブで演奏していくことでさらに思い出も増えていくと思うので、どんどん思い出が詰まっていく曲になるんだろうなと思います。
Marcy:シンガロングも多くて自分たちらしい曲で、なおかつ自分たちの生い立ちやこのバンドのきっかけみたいなところにも触れつつ、リスナーのことも肯定する。10年目にふさわしい、すごく優しい曲だなと思いました。
金野:曲を作った本人として好きなのは、最後の全員で歌っているところ。メロディも歌詞も好きですね。優しくて寄り添ってくれつつも、背中を押してくれるようなメロディと歌詞で、気に入っています。
森:サビの歌詞を聴いてほしいなと思いますね。〈最後に笑えればいいのさ〉とか「本当にそうだな」って自分が聴いてもシンプルにそう思えたので。いろいろなことで追い詰められた時には、特に響くものがあるんじゃないかなと思います。
Marcy:自分は2番の終わりの、ドラムだけでみんなでシンガロングするところ。この曲は全体的にサビの歌詞を推しているんですけど、同じ歌詞でも違う曲調になるようにしていて。ドラムだけになるところは、曲のひとつの波になっていていいなと思うし、一晟さんの歌もより強調される感じもして。ここがあることで、「GOLD YOUTH」のよさがちゃんと出ているんじゃないかなと思います。
――配信ジャケットは、PIZZA OF DEATHのロゴやHi-STANDARDのアルバム『MAKING THE ROAD』(1999年)のジャケットなどを手がけてきたHongolianさんによるもので。〈初めは15の夏頃で/STAY GOLDが胸を焦がしていた〉と歌う「GOLD YOUTH」のジャケットにはまさにぴったりですね。
金野:Hongolianさんのアートワークはもちろん大好きですが、これまで自分たちがお願いするという発想はまったくなかったんです。でも、「Hongolianさんのようなタッチがいいなあ」と言っていたらスタッフさんが打診してくれて、まさかのOKで! めちゃくちゃ嬉しかったです。
――「こういうものを描いてほしい」というオーダーなどはしたのでしょうか?
金野:せっかくホンゴリアンさんに描いてもらうなら、自分たちのことを描いてほしいなと思ったので、「自分たちのことを描いてほしいです」「バンドっぽい感じがいいです」みたいなことを伝えました。
――いざ上がってきたアートワークを目にした時はいかがでしたか?
Marcy:「ヤバイ!」と思いました(笑)。
金野:「俺はPIZZA OF DEATHかもしれない!」って思いましたね(笑)。嬉しすぎて、インスタのアイコンにもしました。