コーディ・ジョンの人気は沸騰寸前 等身大の魅力で多くのファンを虜にした初来日公演

コーディ・ジョン、初来日レポ

 オーストラリアのシンガーソングライター/プロデューサーのコーディ・ジョンが12月6日、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて初の来日公演『CODY JON Live in Tokyo 2023』を開催した。どこか懐かしさもありつつ新しい世代の感覚を持った斬新なサウンド感とその確かなソングライティングのセンスは、早耳のリスナーの間でじわじわと人気が広がっている。この日はそんな彼の貴重な姿を間近で一目見ようと多くのファンが詰め寄せた。

 まずはオープニングアクトとしてシンガーのRainy。が登場。英語と日本語を織り交ぜたRainy。というその名前には「雨のように形を変えて、世界中どこにいても、いつでも音楽の雨を降らせたい」という思いが込められているという。Rainy。はその美しい歌声を会場に響き渡らせると、最後にTVアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマ「...and Rescue Me」を披露して会場を後にした。

 次にエアとエランによる兄弟ラッパーデュオのEAERANがサポートアクトとしてステージに現れた。ヒップホップをベースとしたリズミカルなトラックの上で2人の息の合った掛け合いが繰り広げられる。2人はステージ上を自由に動きつつ、小気味よいマイクパフォーマンスでオーディエンスを煽り、会場を温めていった。最後はユニークかつポップな「うさぎパニック」で華麗に締めて次につなげた。

 そして、いよいよコーディが登場。コーディが颯爽とステージに現れると大歓声が起きた。彼の人気はすでにここ日本でも火がつき始めているようだ。

 1曲目は「what's up」で勢いよくスタート。コーディは曲中でコール&レスポンスのレクチャーをし、何度もやり取りを重ねながら会場を一つにしていった。その姿はまるで親しみやすい近所のお兄ちゃんといった感じで、映画に出てくるヒーローなどではなく、いつも近くで見守っていてくれそうな等身大の魅力を持っている。

 そんなコーディの魅力が存分に表れていたのが、次の「flowergirl」での一幕である。コーディはステージ脇からひまわりの花を一輪だけ手に取ると、歌いながら観客に手渡した。会場から大きな歓声が上がる。そして、さらに2〜3本取り出して、また1本ずつ近くのファンへと渡していく。この粋な計らいを何度も歌いながら行ったことで、会場は完全にコーディの虜になっていた。

 コーディはこうした観客との密なコミュニケーションによって空気を作っていく。ただ歌うだけではなく、歌ったり踊ったり、花を渡したりと、曲に合わせたライブ作りで会場を楽しませた。「DEATH WOBBLES」ではMVを再現するかのように舞台上でスケートボードに乗るような動きをしてみせた。「It's not me...」ではフィルムカメラを取り出して、観客を撮ったり一緒に自撮りしたりしてみせる。「SHOOT!」では地面にしゃがみこみ、〈Oh shoot〉のリリックに合わせてジャンプする動きを会場全体で一緒に取り組んだ。国は違えど、こうした身体を使った表現であれば誰でも意思疎通ができる。この日のコーディはそうしたボーダーレスなライブ作りを一貫していた。

 次に歌ったのは、タイトルにイギリスのアシッドジャズバンドの名を冠した「incognito」。曲前には同バンドのCDを実際に手に持って見せていた。こうした様々なカルチャーに愛があるのも彼の特徴だ。「Bubble」の披露中にはどこからともなく会場にシャボン玉が漂い、幻想的な雰囲気を醸し出した。

 コーディのライブは、こうした一曲一曲の演出をカジュアルに繰り出していく。音楽を素直に楽しみ、心からリラックスしている様子が伝わってくるライブだ。無邪気で天真爛漫なキャラクターもその人気の理由の一つだろう。自由に楽しみながら歌っている彼の姿を見ていると、こちらの気分も自然と明るくなってくるのを感じる。

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