ミセス 大森元貴による絵本が重版 米津玄師、SHISHAMO 宮崎朝子…絵や文章でも実感する才能
歌手やミュージシャンは音楽に留まらない表現活動を行うことも多い。絵や文章など、様々なアウトプットによってその才能を強く実感できる。本稿ではそんなアーティストたちを紹介していきたい。
今年、『紅白歌合戦』への初出場を果たすMrs. GREEN APPLEのソングライター・大森元貴(Vo/Gt)は2021年に絵本『メメント・モリ』を出版しており、今年12月には重版が決定した。この絵本は文章を大森が手掛けており、大森のソロデビュー作『French』に収録された「メメント・モリ」を元にしたもの。絵本では、同楽曲のリリックビデオでもタッグを組んだイラストレーター・大谷たらふが絵を担当した。
「死を想え」を意味する言葉を冠した本作は、大森が楽曲に込めた死生観を平易な言葉とファンタジックな描写で物語として再構築したもの。ポップで華やかなイメージのあるMrs. GREEN APPLEだが大森の綴る言葉は常に不安や寂しさを纏う。そんな大森の抱える思いは絵本という形でも損なわれない。表現形態を変えながら、多くの人々にその想いを届けようとするアーティストだ。
米津玄師は多くの作品のジャケットイラストを自身で描いている。ボカロPとして活動していた頃からジャケットやMVで細やかなタッチのイラストを描いており、楽曲の世界観を明快に演出していた。また『ROCKIN'ON JAPAN』での連載で描いてきたイラストを集めた単行本『かいじゅうずかん』を刊行するなど、絵での表現は多岐に渡る。
米津は漫画家を目指しており、インタビューでも「音楽家だったら音楽しかやらない、イラストレーターだったらイラストしかやらない、みたいな価値観が自分の中にはまったくなかった」(※1)と語るなど、自身の表現手法の一つとして常に絵を備えていたことが分かる。音楽と絵が相互作用を及ぼし合い、アーティストとしての記名性を高める豊かなアウトプットと言える。
SHISHAMOの宮崎朝子(Vo/Gt)も、シングル作品のジャケットのほか、リリックビデオやライブのキービジュアル、グッズに至るまで数多くの作品のイラストを自ら手がけている。
特徴的なのは自分含むメンバーをキャラクター化したイラストで、その和やかなタッチはSHISHAMOのムードを見事に捉えている。バンドの存在感に一貫した彩りを与え、活動や作品を自らの手でデザインしていくDIY精神が宿っていると言えるだろう。