“櫻坂46らしさ”を模索する旅で出したひとつの答え 『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』の意義

 もちろん、このライブの中でも過去にはなかったチャレンジが複数用意されていた。例えば、通常は会場の照明が暗転してからライブがスタートするところを、今回は観客の顔がしっかり見えるほど明るい中で1曲目「Buddies」をパフォーマンス。ステージ上のみならずスタンド席からメンバーが登場するというサプライズもあり、ここで早くも一体感を作り上げることに成功している。その後、MCを挟んでから改めて会場が暗転し、映像・照明演出を経て「Dead end」からライブが本格的にスタート。この曲でも森田ひかるが“瞬間移動”するという新たな演出が用意された。曲が始まるとステージ上に設置された「3」をモチーフにしたオブジェの上で、森田ががダンスを始める。そして、サビに入る前にステージが暗転すると、アリーナ後方のサブステージに森田が姿を現す……という内容なのだが、ちょっとした工夫ながらも観る側の興奮を誘う見事な演出だった。

 三期生の急成長ぶりがしっかり伝わったのも、本公演における大きな収穫だろう。ライブ序盤から谷口愛季センターの「夏の近道」、中嶋優月センター曲「Anthem time」で全力のパフォーマンスを展開し、フレッシュさをしっかりアピール。また、ライブ終盤には「静寂の暴力」(初日のみ)、「マモリビト」(2日目のみ)という“魅せる”楽曲が用意され、それぞれ山下瞳月、小島凪紗をセンターに据えた編成で表現力の豊かさやダンススキルの高さを存分に提示してみせた。三期生はちょうど11月3日から12月3日にかけて開催されていたロングラン公演『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』の合間にこの『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』が行われたこともあり、パフォーマンスにより磨きがかかった状態だったのではないだろうか。リハーサルの大変さなど乗り越えるべき壁は高かったとは思うが、こうして最良の結果を残すことができたのは彼女たち自身にとっても、そしてグループの未来にとっても大きな刺激になったはずだ。

 もちろん、先輩メンバーも後輩に負けていない。最新シングル曲「承認欲求」をはじめ、随所で“櫻坂46の顔”としての存在感を見せつけた森田を筆頭に、「Start over!」でのセンター経験が確実に自信へとつながった藤吉夏鈴、曲ごとに異なる表情を見せるなど懐の深さが感じられた山﨑天、普段は陽のイメージが強いが「流れ弾」での鬼気迫るパフォーマンスにより磨きがかかった田村保乃、5thシングル『桜月』やその後のツアーで得た手応えを良い方向につなげた守屋や大園玲、二期生による初の期別曲「コンビナート」で抜群の存在感を発揮した増本綺良、そして最新シングルのBACKS楽曲「確信的クロワッサン」や2日目の「条件反射で泣けて来る」でセンターを務め新たな魅力を伝えた井上梨名といった二期生の大躍進には目を見張るものがあった。さらに、この公演後に卒業発表をした一期生・小林由依も初センター曲「隙間風よ」で、欅坂46時代から積み重ねてきたものをすべて放出させるようなパフォーマンスを披露、改めて格の違いを実感させられた。初日公演で卒業した土生にしろ、『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』終了後に卒業発表した小林にしろ、二期生や三期生が櫻坂46を引っ張っていけるほどに頼もしく成長した事実を受け、新たな道へ進むことを決意したのだろう……そう納得してしまうくらいに、この2日間の櫻坂46のライブは、第2章の最初の区切りという以上に、2020年12月の1stシングル『Nobody's fault』から始まった“櫻坂46らしさ”を模索する旅にひとつの答えを出したライブだったのだと、筆者は断言したい。

 2日目最後のMCで、二代目キャプテンの松田里奈は「改名したばかりの頃は『櫻坂46ってどんなグループなんだろう?』『どんな色のグループなのか?』って、メンバーもわからないまま、がむしゃらに進んできたところがあって。でも、迷いながらも櫻坂46というグループに胸を張って活動してきたからこそ、そしてBuddiesの皆さんの応援と支えがあったからこそ、今この景色を見られていると思うと本当にうれしくて」と発言していたが、あの2日間を乗り越えた今は、もう迷うことはないだろう。昨年は落選という悔しい思いをした『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にも今年は返り咲きを果たし、2023年というチャレンジの1年を最高の形で締め括った櫻坂46は、年明け2024年も一〜三期生で構成された新生BACKSメンバーによるライブ『7th Single BACKS LIVE!!』が控えている。来年も守りに入ることなく、挑戦者として常に前進し続ける櫻坂46が新たな黄金期に突入する未来を願ってやまない。

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